金曜急落の理由【ZS】ジースケイラー_EPS/売上クリアも期待が離れる?

米国株の四半期決算
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2022年2月25日の金曜日、ジースケイラー(Zscaler, Inc. / ZS / ゼットスケーラー、ジースカーラーなどとも呼ばれる)の株価は急落しました。
最終的に15.77%という下落幅で落ち着きましたが、プレでは(記事作成時点)更に0.56%下がっています。

同日に発表された決算(2022年度第2Q)はアナリスト予想をクリアしたように見えましたが、一体なぜこんなにも大きな下落となったのか、今回発表された決算内容を踏まえながら下落理由をまとめていきます。

ジースケイラーの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較

アナリスト予想を達成し続けています。

ZSのEPS・売上_アナリスト予想と実績比較_2201

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

ZSの売上高・純利益(損失)_2201

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

売上は前年同期比63%増加しましたが、純損失も49%増加しました。

マーケティング費用をはじめ、各種事業費用が大きく増加しており、これまで通り営業損失(事業そのものからの損失)が発生しています。
また、この営業損失も前年同期比56%増加しました。

ただ、キャッシュフローという観点から見ると、株式報酬を多用している分戻入が大きく、営業活動はプラス収支となっています。

また、繰延収益は前年同期比70%増加し、760百万ドルになりました。

3. その他の補足

3-1. 6ヶ月間の結果

2022年度(1月締め決算)第1Q~第2Qの6ヶ月間の売上は486百万ドルで前年同期比62%増加純損失は191百万ドルで前年比56%増加しました。
営業費用も売上同様62%増加しており、費用が順当に増えたという結果です。

また、営業費用を差し引く前の粗利率は78%から77%に1ポイント低下しました。

3-2. ガイダンス

ガイダンスは、概ねアナリスト予想と同程度~それ以上といった内容です。

2022年度第3Q(2月~4月期)の売上を270百万ドル~272百万ドル(前年同期比53%~55%の成長)、通年の売上を1,045百万ドル~1,050百万ドル(前年比55%~56%の成長)と見込んでいます。

アナリスト予想(※Yahoo!financeより)では、第3Qの売上が256.67百万ドル、通年売上は1,010百万ドルと予測されており、ガイダンスは予想を上回る数値となりました。
ただ、今回はTradingViewの売上予測と少々差が生じています。
TradingViewの第3Q売上予想値は270.69百万ドルで、こちらはガイダンスと同程度です。

またnon-GAAP EPSは、第3Qに0.1ドル~0.11ドル、通年では0.54ドル~0.56ドルというガイダンスを出しています。
こちらのアナリスト予想(※Yahoo!financeより)は第3Qが0.11ドルでガイダンスと変わらず、通年では0.52ドルでガイダンスが上回っています。

4. 2022年2月の株価急落理由

ここまで見てきた結果、今回の決算(2022年度第2Q)や今後のガイダンスは、期待を大きく裏切る内容ではありませんでした。
ではなぜ株価が大きく下落してしまったのでしょうか。

その主な理由として挙げられるのは、これまでの期待の高まりと、成長の鈍化です。

成長の鈍化(伸び率の低下)を表すものとして、以下の2つの指標の伸び率(いずれも前年同期比の割合)を見ていきます。

  • 売上
    2021年度通年伸び率 56%
    2022年度第1Q伸び率 62%
    2022年度第2Q伸び率 63%
    2022年度第3Q伸び率 53%~55%※1
    2022年度通年伸び率 55%~56%※1
  • 請求額※2
    2021年度通年伸び率 70%
    2022年度第1Q伸び率 71%
    2022年度第2Q伸び率 59%
  • ※1 ガイダンス数値より
    ※2 請求額は、売上に該当期間の繰延収益(サブスクの前払い分)の増減を加えたもの

売上、請求額ともに、伸び率が大きく下がったわけではありませんが、売上のガイダンス、請求額の実績、どちらの伸び率も直前の実績数値より低下しています。

新型コロナ感染拡大をきっかけとした経済施策によって、グロース銘柄への注目・期待が強く集まり、全体的に非常に割高となっていました。
特にジースケイラーは昨年ナスダック100指数にも採用され、期待値が非常に高まっていた銘柄です。

金利が上がってきたことによる割高感の敬遠もなくはないでしょうが、今回の急落は、”強い成長”を表す決算を待ち望まれていた反動も強いのではないかと考えられます。

また、こういった成長率低下がありながら、事業からの損失が増え続けていることも嫌気を誘う要因の一つと言えるでしょう。

5. まとめ

ジースケイラー(ZS)の2022年度第2Qは良い決算内容に見えましたが、売上・請求額の伸び率が低下してきていることがわかりました。
成長を続ければ基準となる前年の実績値が大きくなるため、伸び率が下がるのは仕方ない部分もありますが、大きな成長を期待されている中では物足りないガイダンスとなりました。

ただ、まだ継続的に伸び率が低下している段階ではありません。
今後どのように事業が拡大していくのか、また、損失を削減することができるのか、引き続き追っていきたいと思います。

(ジースケイラーの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のZscaler, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

過去の分析記事はこちらに一覧化しています。

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