ジースケイラー【ZS】銘柄分析_クラウド型ゲートウェイで安全・快適なアクセスを提供

米国株の年次決算書・銘柄分析
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ジースケイラー(Zscaler, Inc. / ZS / ゼットスケーラー、ジースカーラーなどとも呼ばれる)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Zscaler, Inc.(ZS)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、サイバーセキュリティソフトウェア

1-2. 事業の概要

ジースケイラーは、クラウド型のセキュリティゲートウェイサービスを提供する企業です。

最近では、企業向けの様々なアプリケーションがクラウドに移行しており、従来の社内イントラネットでは保護しきれない(保護すべきデータが社外に保管されるようになった)場面が増えました。
また、在宅勤務の推進によって、従業員による社外からのアクセスも急増し、この通信におけるセキュリティ対策も必要となっています。

社外からのアクセスは、VPN(仮想プライベートネットワーク)接続を利用することである程度の安全性が保たれましたが、これには毎回接続する手間がかかったり、大人数が一度に接続すると通信速度が低下するといった問題もありました。

これらを解決したのがジースケイラーです。

”Zero Trust Exchangeプラットフォーム”で「全ての通信を信頼しない」ゼロトラストの考え方の元、トラフィックをジースケイラーのデータセンター経由にし、スキャンやポリシーの適用をすることで、セキュリティの向上やアクセスログの収集などを実現しています。

これにより、”常時オン”のセキュリティが提供されると同時に、ユーザーは社内からのアクセスと変わらない利便性を得ることができます。

また、ジースケイラーのプラットフォーム自体もクラウド型なので、PCの動作に負担をかけず、快適に使用することができます。
更に、新たな脅威が検出された場合には、数分以内に顧客全体でブロックできるという強みを持っています。

1-3. 他社との違い「セキュリティゲートウェイ」

セキュリティゲートウェイとは、内部ネットワークやシステムを、インターネット(外部)のサイバー攻撃から守るための機器・ソフトウェアのことです。

不正アクセスを通過させない防火壁である”ファイアウォール”、トンネリング、暗号化、承認といった方法で仮想のプライベートネットワークを実現する”VPN(Virtual Private Network)”、”アンチウイルス”などの機能が備わっていて、内部ネットワークとインターネットの関所のような役割を持っています。

サイバーセキュリティを手掛けるクラウドストライクやセンチネルワンの提供するサービス・ソフトウェアは、エンドポイント(PCなどの末端機器)が攻撃を受けた際の検出・対応を行うものですが、ジースケイラーが提供するサービスであるセキュリティゲートウェイには、エンドポイント到達前の”接続・通信”の段階を保護するという違いがあります。

1-4. チャート

ジースケイラーの株価チャートはこのようになっています。2020年2月のコロナ感染拡大で一時的に下落した後、大きく株価を上げた銘柄の一つです。
市場の波などで2021年2月頃に一度大きく下がりましたが、5月下旬頃から再び上昇に転じ、現在は過去最高の水準にあります。(2021年9月13日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 短期の資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は低め
  • 事業が赤字だが、営業活動・フリーキャッシュフローがプラス

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年決算書におけるZS貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

流動比率は約260%、当座比率は約240%で、短期の資金繰りは問題ありません。
固定比率も約77%と健全な数値です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は23%と低めですが、ひとまず問題があるほどではありません。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

事業は赤字ですが、株式報酬の戻入れと繰延収益が大きいこともあり、営業活動のキャッシュフローはプラス収支です。
投資活動は主に短期投資の購入と満期収入で成り立っており、マイナス収支となりました。
財務活動のプラス収支は、ストックオプションなど、従業員への株式発行によるものです。

2-1-4. 項目まとめ

自己資本比率は低めですが、ひとまず短期の資金繰りは問題なさそうです。
事業自体が赤字であるものの、フリーキャッシュフローが黒字となるなど、若干の改善が見られます。

2-2. 収益性

  • 赤字続き
  • ROE・ROAのマイナスが大きくなっている

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

ZSのROE(自己資本利益率)推移【2021年】

赤字のためROEはマイナスで、2019年7月締めの期を除き、純損失は増加しています。
自己資本も増えていますが、それ以上に純損失額の増加の方が大きく、ROEのマイナスが大きくなっています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

ZSのROA(総資産利益率)推移【2021年】

ROAもROE同様マイナスです。

2-2-3. 項目まとめ

売上を大きく拡大していますが、現時点では赤字続きで収益性はほとんどありません。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率は低い
  • 総資産の半分以上が短期投資
  • 棚卸資産はない

2-3-1. 各回転率

ZSの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率【2021年】

総資本回転率は0.3回と最低ラインよりかなり低いです。
総資産の半分以上を、事業とは直接関係のない短期投資に投じていることも影響しています。

固定資産回転率は約1.6回で、棚卸資産はありません。

2-3-2. 項目まとめ

総資産から見た売上はまだまだ足りません。
また、余剰資金を積極的に短期投資に回しているのがうかがえます。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上高は毎年約40~60%の成長
  • 人員が増え、人件費が増加中
  • 売上高研究開発費率は平均の5倍

2-4-1. 売上高と営業利益

ZSの売上高推移【2021年】

毎年順調に売上を伸ばしており、2021年7月締めの期では前年比(YoY)56%の成長を見せています。
それ以前も42%、59%と伸び率は大きく、継続的な成長がうかがえます。

ZSの営業利益(損失)推移【2021年】

一方で事業に関する費用も大きく増加し、事業からの損失がかなり増えています。

原価率はほぼ変わりなく粗利率が78%を維持している中、特に大きく増えたのは、販売・マーケティング費用と研究開発費です。
この費用増加の主な要因は、従業員が増えたことによる人件費です。

また、事業外の費用ですが、2021年7月期は支払利息が前年の約10倍に増え、純損失拡大の一因となりました。

2-4-2. 研究開発費

2021年7月期の売上高は約673.1百万ドル、研究開発費は約174.65百万ドルだったので、売上高研究開発費率は25.9%となり平均の約5倍です。(科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は5.2%とされている)

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

継続的な売上の成長が今後も続いていくことに期待したいです。
売上拡大と同時に営業費用も増加していますが、現在は黒字化よりも事業の成長に重点を置いており、決算書内で”今後も純損失を計上することが予想される”と明記されています。

3. まとめ

クロとしては、ジースケイラー(Zscaler, Inc.)は成長に期待したい銘柄です。

テレワークとマッチしたサービスの提供を行っているため、コロナ銘柄の一つのようにも感じられますが、2020年以前から売上は順調に成長を続けていました。

今後、急激な需要は一旦落ち着くかもしれませんが、企業のオンプレミス(社内にサーバーなどを設置し管理・運用すること)からクラウドへの移行はまだまだ進むと考えられるため、ジースケイラーのプラットフォームは変わらず必要とされそうです。

また、ジースケイラーはあくまでクラウドセキュリティ、セキュリティゲートウェイサービスを提供する企業であり、エンドポイントのセキュリティを提供する多くの企業と直接競合しないことも強みの一つです。

ただ、もうしばらく赤字が続きそうなので、あまり多く保有するつもりはありません。

今回の記事はZscaler, Inc.の決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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