株価急騰ボイジャー【VYGR】3月8日新たな提携と決算発表

米国株の四半期決算
スポンサーリンク

3月8日の火曜日、株式市場全体が下げ基調にある中、ボイジャー・セラピューティクス(Voyager Therapeutics, Inc. / VYGR)の株価は、33%も急上昇しました。

今回はこの株価急騰理由と12月締め四半期決算(2021年度第4Q)について、アナリスト予想との比較などを交えつつまとめていきます。

ボイジャー・セラピューティクスの事業内容や年度末決算、銘柄分析を行った記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較(EPS)

今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を大きく上回りました。

VYGRのEPS・売上_アナリスト予想と実績比較_2112

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

VYGRの売上高・純利益(損失)_2112

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:千ドル)

今四半期は売上が大きく増加し、赤字から黒字へ転じました。
ただ、この主な要因はNeurocrine Biosciences社との提携に関する見積・認識の変更があったことで、新しい売上などを獲得したわけではありません。

また、人員削減や外部コストの削減によって、前年同期よりも研究開発費が減少しました。

3. 株価急騰の理由

今回ボイジャーの株価が急騰した大きな理由は、ノバルティス(NVS)とのライセンス契約です。

これによってノバルティスは、ボイジャーのRNA駆動型TRACERプラットフォームから生まれた新規AAVカプシドのライセンスにアクセスできるようになります。
ボイジャーは前金として5,400万ドルを受け取り、更にオプションやマイルストーンの達成によっては、最大17億ドルを得る可能性があります。

ちなみに2021年10月にも、同じような契約をファイザー(PFE)と結んでおり、ボイジャーのAAVカプシドの技術力には期待できそうです。

なお、カプシドとは遺伝子を包むタンパク質の殻のことで、AAVはアデノ随伴ウイルスを指します。
AAVは病原性が無いとされ、感染した際に引き起こす免疫反応も非常に弱いことから、中身の遺伝子を組み換えて人体に挿入することで、新たな治療法が確立されると期待されています。

また、ボイジャーのAAVカプシドは、従来よりも高い効果を発揮する(候補の一つで、組み込んだ遺伝子の発現が従来の1,000倍を超えたデータがある)可能性があるとされています。

4. その他補足

4-1. 通年の結果

通年では売上が大きく減少し、36,741千ドルの黒字から71,197千ドルの赤字への転落となりました。
これは主に、2020年の売上が特別に大きかったためです。

2020年はAbbVieとの契約終了があり、それに伴って多額の収益を認識していました。

なお、通年で見ても、2021年の研究開発費は削減されています。

4-2. ガイダンス

具体的な売上などのガイダンスはありませんが、今回のノバルティスとの契約によって得られる資金で、2024年までの運営費用をまかなえる見通しです。

5. まとめ

ボイジャー・セラピューティクス(VYGR)は新たにライセンス契約を締結し、売上・研究開発資金の目途が立ちました。

2019年、2020年と契約が終了した企業もありましたが、新たに大手と提携できたことで、今後の運営にも多少の安心を感じます。
また、こうして新たな契約が続くことから、ボイジャーの技術力には市場価値が十分あると考えられそうです。

株価は今後も上下する可能性が大きいですが、クロとしては長い目で見て、少量保有し続けようと思います。

(ボイジャーの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のVoyager Therapeutics, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

過去の分析記事はこちらに一覧化しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました