ヴォックス【VOXX】銘柄分析_ブランド買収にも力を入れるOEM・家電メーカー

米国株の年次決算書・銘柄分析
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今回はヴォックス(VOXX International Corporation / VOXX)の決算書(10-K)やニュースについて分析しました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. VOXX International Corporation(VOXX)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、通信機器、家電

1-2. 事業の概要

VOXXは、自動車用電子機器、家庭用電子機器及び付属品、そして一般オーディオやカー・オーディオといったオーディオ機器の製造・販売を行っています。自動車用の電子機器では衛星ラジオ、テレビチューナー、衝突回避システム、セキュリティ用品などを、そして家庭用ではホームシアター用品、スピーカー、ヘッドホン・イヤホンなどを取り扱っています。

存続が危うくなったブランド名を買い上げての製品販売も多く、Acoustic ResearchやCode Alarmなどのブランドを保有しています。

また、バイオメトリクス事業も行っており、虹彩識別などのセキュリティ関連製品の設計・販売も行っています。

1-3. チャート

VOXXの株価チャートはこのようになっています。
赤字が続くようになってから、10ドル以下の株価の期間が長くありました。2021年1月の四半期決算で前年同期を大きく上回る利益を報告したことで、株価は一時的に上昇しましたが、現在は下降傾向にあります。(2021年5月17日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 短期の資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は高い
  • 今回の決算でキャッシュフローが改善

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年決算書におけるVOXX貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは“安定タイプ”です。

流動比率は約220%、当座比率も約110%あるため、短期の資金繰りは問題ありませんまた、固定比率も約60%と問題のない数値です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は74%とかなり良好な数値です。

2-1-3. キャッシュフロー

キャッシュフローは、営業活動プラス、投資活動マイナス、財務活動マイナスという”安定タイプ”の組み合わせです。

今回の決算は売上高が増加し黒字で終えることができた(2014年以降、ほとんどの年が赤字)ため、フリーキャッシュフロー含め健全な形になっています。

また、事業の買収を行うことが多く、投資活動のマイナス金額が大きい年が多くあります。

2-1-4. 項目まとめ

全体的に安心できる数値です。ただ、赤字の年が続いていたため、過去にはキャッシュフローが良くない年も多くありました
今後も利益を出し続けないと、また悪化してしまうでしょう。

2-2. 収益性

  • 2021年2月の決算で黒字に転じた
  • ROEは平均の半分以下
  • ROAは平均以下

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

VOXXのROE(自己資本利益率)推移

2021年2月決算のROEは約7%です。2014年以降は赤字の年が多く、安定した利益を得られていません
また、プラスの年の数値自体も米国平均といわれる16~18%の半分以下の値です。ただ、自己資本が大きいため、ROEが低く出やすくもあります。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

VOXXのROA(総資産利益率)推移

ROAもROEと同様の上下をしています。ROAも米国平均(6~8%)より少々低い数値です。

2-2-3. 項目まとめ

2014年以降は赤字の年が多く、黒字の年の利益率も平均以下という結果です。
次の決算期に継続して利益を出し、事業を拡大していけるのかを注視したい内容です。

2-3. 経営の効率

  • 総資本から見た売上高は最低ラインをクリア
  • 製造業としてみると棚卸資産回転率が低い

2-3-1. 各回転率

VOXXの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率

総資本回転率は約1回で、最低ラインをクリアしました。

また、固定資産回転率は約2.4回棚卸資産回転率は約4.3回で、今回の売上高増加によって全体的に回転率は上昇しました。
ただ、製造業の棚卸資産回転率の平均は7~9回といわれているので、VOXXの在庫は平均より少々多い状態です。

2-3-2. 項目まとめ

今回の決算で最低限の売上高はクリアしました。
今後も同様の売上をキープしつつ、在庫の調整などで回転率を上げることができれば、効率は改善しそうです。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上減少と営業損失増加が続いていたが今期は一転
    売上増加、営業利益を生み出した
  • 売上増加にはコロナによる一時的な需要の影響がある可能性
  • 売上高研究開発費率は平均以下

2-4-1. 売上高と営業利益

VOXXの売上高推移

減少を続けていた売上高ですが、今回の決算で大きく増加しました。

コロナ感染拡大や一部事業(スマートホームセキュリティ)撤退によって売上が減少したセグメントもある中、買収に関連して設立された子会社(自動車用電子製品など)からの売上貢献や、プレミアムオーディオ製品の売上増加が著しい一年でした。

VOXXの営業利益(損失)推移

営業損失が増加を続けていましたが、今期は売上が大きく増加したことで営業利益を出すことができました。
また、今期は無形資産の減損費用も発生せず、費用が抑えられたことも影響しています。

2-4-2. 研究開発費

2020年の売上高は約564百万ドル、研究開発費は約21百万ドルだったので、売上高研究開発費率は約3.7%です。
科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員数を抱えた米国企業の平均は4.4%とされており、VOXXの売上高研究開発費率は平均以下となります。

なお研究開発費はこの数年減少傾向にあります。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

減少を続けていた売上が今期は大きく増加したことによって、全体的に数値が改善しています。
来期以降の売上が気になるところですが、プレミアムオーディオ製品の売上増加118.6百万ドルは、コロナ感染拡大による需要増加が影響している可能性もあり、来期以降も同様の売上があるかには少々不安もあります

また、研究開発費は平均以下の比率となっており、現状は自社での開発に注力するのではなく、買収による技術入手を重視していると考えられます。

2-5. 補足:オンキヨーのAV事業引き継ぎ

VOXXは、子会社である11 Trading Company LLCを通じて、オンキヨー&パイオニアのオーディオ機器の米国での独占販売を2020年7月から行っていました。
オンキヨーの上場廃止に伴い、ホームAV事業譲渡・買収の協議を行っており、2021年5月3日にシャープ株式会社をパートナーとして買収する意向書を締結したことが発表されました。
この協議が合意に至った場合は、オンキヨーの定時株主総会(2021年6月25日に予定)で株主に提示される予定です。

3. まとめ

クロとしては、ヴォックス・インターナショナル(VOXX International Corporation)は「現状は様子を見たい」銘柄だと判断します。

様々なブランドや技術を買収し活用していますが、近年は売上も減少が続いており損失の出る年が多く、安定した収益を得られていません。
今期は比較的良い結果を出すことができましたが、これには一時的な需要の影響も考えられ、来期以降もこの結果が維持されるかに不安が残ります

今回の記事はVOXX International Corporationの決算書及びコーポレートサイトなどを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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