インフレ削減法案成立_恩恵受ける銘柄は?

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2022年8月、米国でインフレ削減(低減)法案が成立しました。
今回はこの法案の概要と、メリット・デメリットを受ける銘柄・セクターを紹介します。

1. インフレ削減法案の柱

今回成立したインフレ削減法案の柱は、気候変動対策、法人税増税、医療費(処方箋)の引き下げです。
法人税増税、医療費の引き下げは財政赤字の削減につながり、インフレを牽引するエネルギー関連に対して投資を行うことで、インフレ圧力を緩和する効果があると期待されています。

1-1. 気候変動対策

今回の法案において最も投資家の注目を集めているのは、この気候変動対策でしょう。

今回の法案には、太陽光や風力、水素など再生可能エネルギーへの取り組みに関する税額控除が盛り込まれているため、該当する企業は恩恵を受けることができます。
2030年までに温室効果ガスの排出量を40%削減することが目標となっており、今後10年間で3,700億ドルを投資する見込みとなっています。

また、消費者に対しても、エネルギー効率の良い家電を購入する際のリベートや、EV(電気自動車)の購入への税額控除といった施策が実施されます。
EV購入時の控除額は、新車で最大7,500ドル、中古車に対しては最大4,000ドルです。

1-2. 法人税増税

大企業に対して、最低税率15%が設定されました。
また、自社株買いに対しても1%課税されることになります。

こういった施策によって、政府の財政赤字が削減される見込みです。

1-3. 医療費の引き下げ

医療費の引き下げも財政赤字の削減につながると期待されていますが、消費者・家計の負担を緩和する内容も含まれています。
具体的には、”メディケア”という米国連邦政府が運営する公的医療保険の”パートD”(処方薬に対するプログラム)加入者に対する自己負担額の上限設定などがあり、段階的に施策が実施される予定です。

一方、製薬会社にとっては少々デメリットのある内容となっています。
具体的には「インフレ率以上の医薬品の値上げを行った場合、製薬会社はメディケア(政府)へリベートを支払う必要がある」「メディケアは製薬企業と価格交渉を行う権利を持つようになる(これまでは規定によって価格交渉できなかった)」といった内容が挙げられます。

価格交渉については2026年から一部の医薬品を対象としての開始が予定されていますが、2003年のメディケア・パートD創設以降初めての取り組みとなるため、その影響が気になるところです。

2. 恩恵を受ける銘柄

今回のインフレ削減法案によって恩恵を受けられそうな注目企業(再生可能エネルギー関連企業やEVメーカーなど)を紹介していきます。

2-1. プラグパワー(PLUG)

Amazonやウォルマートなどの大手顧客を持ち、水素エネルギーソリューションにおけるリーディングカンパニーの一つとも言われる企業です。
産業機器向けの燃料電池などを手掛ける他、グリーン水素プラントも保有しています。

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2-2. エンフェーズ・エナジー(ENPH)

太陽光エネルギーの発電・管理プラットフォームを提供する企業です。
マイクロインバーターによる効率的な発電を可能にし、業績を伸ばしています。

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2-3. サンパワー(SPWR)

サンパワーブランドの太陽光パネルを製造していましたが、その事業はマキシオン・ソーラーとしてスピンオフし、現在は発電・蓄電システムの販売やソフトウェアなどのサービス、管理業務を行っている企業です。

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2-4. エクセラレート・エナジー(EE)

液化天然ガスソリューションによって、世界各地に天然ガスを供給する企業です。
IPOは2022年4月ですが、既に世界8ヶ国に支社を置いています。

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2-5. ブルックフィールド・リニューアブル(BEPC)

資産運用会社の子会社で、再生可能エネルギーに特化した電力会社です。
水素エネルギーの最先端を走る企業の一つと言われるプラグパワーに電力供給を行っています。

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2-6. フューエルセル・エナジー(FCEL)

定置型燃料電池発電所(分散型発電所)のソリューションを提供する企業です。
二酸化炭素の抽出・隔離技術や、水素によるエネルギー貯蔵技術にも取り組んでいます。

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2-7. テスラ(TSLA)

有名な資産家イーロン・マスク氏がCEOを務める人気のEVメーカーです。
最近はリビアンルーシッドなどEVベンチャーの納車が始まってきていますが、テスラは既に大きな売上・利益を実現しています。
なお、先日株式分割を行ったため、保有しやすくなりました。

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3. まとめ

今回成立した法案はインフレ削減法案とされていますが、その内容にはカーボンニュートラルへの取り組み支援が多く含まれており、これによって米国の”2030年までの温室効果ガスの排出量削減目標”も引き上げられました。

クリーンエネルギーに取り組む企業の事業・開発の進展や、税控除効果による消費者の購入意欲の増進に期待したいです。
ただ、自社株買いへの課税や製薬会社とメディケアとの関係性の変化といった部分がどのような影響を及ぼすのか、少々注意しておきたいと思います。

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。


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