ユニティ【U】銘柄分析_双方向のリアルタイムコンテンツ作成・実行・収益化プラットフォームを提供

米国株の年次決算書・銘柄分析
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ユニティ・ソフトウェア(Unity Software Inc / U)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

2021年度更新版はこちら

1. Unity Software Inc(U)について

1-1. 業種

ソフトウェア、電子テクノロジー、メタバース

1-2. 事業の概要

ユニティ・ソフトウェアは、Unity Technologies(ユニティ・テクノロジーズ)としてリアルタイムな双方向通信ができるコンテンツ開発・制作・実行・収益化のためのプラットフォームを提供する企業です。

ゲームエンジン”Unity”は、その機能や価格面の魅力もあり(一部は無料で利用でき、企業向けのプランであってもロイヤルティの徴収は無い)世界最大のシェアを誇ります。

NintendoやSQUARE ENIXといった大手企業にも採用されている他、世界的に大流行したNiantic社のPokemon GOにも使用されました。
このPokemon GOはAR・VR技術も大いに活用されたアプリです。

ちなみにゲームエンジンとは、ゲームで頻繁に必要となる画像処理や音声処理などの機能があらかじめ組み込まれた、開発の土台となるソフトウェアのことを言います。
これを利用することで、開発者は効率的に作業を進めることができるのです。

Unityは、iOSやAndroidをはじめPCのOSや家庭用ゲーム機など様々なプラットフォームに向けて書き出しを行うことができVRにもいち早く対応しているため、最近話題のVRデバイス(メタ・プラットフォームのOculusなど)などでも利用可能です。

また、Unityはゲーム以外の業界からも注目を集めています。
”ARやMRの開発も行いやすい”という特徴から、自動車設計、医療現場、建築などで利用されるようになっており、その描画の速さ・修正のしやすさは映画などの作品に活かされています。

最近話題となっているメタバース(仮想空間)の構築にも重要な役割を果たすだろうと言われており、実際にCEOから”メタバースの定義・創造・運営の主要プレイヤーになる”という旨の発言もありました。

開発プラットフォームを利用するサブスクリプション収益、広告プラットフォーム”Unity Ads”をはじめとしたユーザー獲得・収益化のエコシステムなどによる運用に関した使用量ベースの収益が売上となっています。

1-3. チャート

ユニティ・ソフトウェアの株価チャートはこのようになっています。
2020年9月にIPOした後年末まで上昇を続けたものの、一旦下落し、しばらく100ドル前後での推移が続きました。
その後再びじわじわと上がっていたところに好決算とメタバースブームの追い風を受けて株価は急上昇しましたが、程なく急落し以前の価格まで戻っています。(2021年12月13日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • IPOによって資金が潤沢
  • 自己資本比率は76%
  • 事業は赤字

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるU貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

IPOしたばかりということもあって、流動比率は約413%、当座比率は約403%と短期的な資金繰りには全く問題ありません。
固定比率は29%と低く抑えられています。

2-1-2. 資本の比率

IPOの影響もあり、自己資本比率は76%と高いです。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

株式報酬の戻入れや資産の変動の戻入れ、サブスクリプションという収益形態による繰延収益が大きく、事業が赤字ながらも営業活動はわずかにプラス収支となりました。

投資活動ではIPOによって得た資金で売買・満期保有を目的とした有価証券を購入した他、事業の買収などをおこなったことによってマイナス収支です。

財務活動はIPOによって大きなプラス収支となっています。

2-1-4. 項目まとめ

IPOしたばかりということもあり、資金繰りには余裕があるようです。

2-2. 収益性

  • 赤字のためROE・ROAともにマイナス
  • 2020年はIPOで資産が増加してマイナス値縮小
  • 粗利益は出ているが営業費用が大きい

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

UのROE(自己資本利益率)推移_2020

事業が赤字のため、ROEはマイナスです。

2020年にマイナス値が一気に小さくなりましたが、これはIPOによる自己資本の増加によるものです。
純損失額(赤字額)は毎年増加しています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

UのROA(総資産利益率)推移_2020

ROAもROEと同様にマイナスです。

2020年の数値が改善している理由も同様で、IPOによるものです。

2-2-3. 項目まとめ

現時点では純損失が増加しており、収益性はあまりありません。
売上から原価を差し引いた粗利益は出ていますが、事業の運営費用が総売上高を上回っています。

2-3. 経営の効率

  • IPOで資産が増えたこともあり総資本回転率は低い
  • 棚卸資産は保有なし

2-3-1. 各回転率

Uの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2020

総資本回転率は最低ラインの3分の1程度です。

売上は年々増加していますが、IPOによって増加した資産分、回転率は低下しています。

2-3-2. 項目まとめ

IPOによって資産が急増したこともあって、現状の回転率は低いです。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 毎年40%程度の売上成長
  • 営業損失も増加
  • 記事作成時点の最新決算でも成長継続中
  • 売上高研究開発費率は平均の10倍
    (売上の半分以上の金額を投入)

2-4-1. 売上高と営業利益

Uの売上高推移_2020

売上は増加を続けています。

2020年の売上成長率は前年比43%で、2021年第3Qまでの9ヶ月間でも(記事作成時点の最新決算は第3Q)前年同期比44%増加しています。

ちなみに2019年も売上を前年比42%増加させており、毎年40%程度の成長を維持しています。

Uの営業利益・損失推移_2020

2020年は営業損失も大きく増加しました。

粗利率は78%ありますが、事業の運営費用が大きく、利益を圧迫しています。
2020年は人員増加に伴って費用が増えたことに加え、更にIPOや株式寄付など一時的な費用も発生しました。

また、研究開発費が非常に大きく、売上の半分以上の金額を投入しています。

2-4-2. 研究開発費

売上高は約772.45百万ドル、研究開発費は約403.52百万ドルだったので、売上高研究開発費率は52.2%で、平均の約10倍です。(科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は5.2%とされている)

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

売上高研究開発費率の高さが目を引く内容です。
現状は利益よりも製品品質・技術の向上や、顧客獲得に重点を置いていると考えられ、しばらく赤字の状態が続きそうです。

また売上の伸びはグロース銘柄の中では控えめな印象を受けますが、伸び率が下がることなくコンスタントに成長しています。

Unityは様々な分野で利用されていますし、研究開発や買収によって様々な技術を実現していることもあり、まだ売上の成長は続いていきそうです。

3. まとめ

クロとしては、ユニティ・ソフトウェア(U)は様子を見て少量保有してみたい銘柄です。

赤字でリスクが高いという点は念頭に置いておきたいですが、今後も様々な業界で需要が増すと考えられるプラットフォームなので、タイミングを見て少量保有したいと思います。

現時点ではグロース銘柄に厳しい地合いであることや、ユニティ自身株価が急落しているので様子を見ておきたいと思います。

また個人的には、メタバースでの広告プラットフォーム実現や、現状のビジネスモデルとして開発プラットフォームではロイヤルティを得ていない(利用料のサブスクのみ)ので、その点に変更があれば収益性もガラリと変わる可能性があるのではないかと考えます。

今回の記事はUnity Software Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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