2022年5月10日に発表された注目企業の決算・トピックをまとめました。
今回は、ユニティ・ソフトウェア(U)、アミリス(AMRS)、ロブロックス(RBLX)に焦点を当てていきます。
1. ユニティ・ソフトウェア
ユニティ・ソフトウェア(Unity Software Inc / U)は、様々な用途に使われる世界最大シェアのゲームエンジン”Unity”によって、メタバースの主要プレイヤーになると目されている企業です。
■ユニティ・ソフトウェアの銘柄分析はこちらです。
1-1. EPS・売上・損失
- EPS 予想-0.08ドル/実績-0.08ドル
4.62%プラス - 売上 予想320.771百万ドル/実績320.126百万ドル
0.2%マイナス
※EPS・売上・%はTradingviewより引用(2022年5月11日閲覧)
EPS・売上ともにアナリスト予想をクリアする期が続いていましたが、今四半期は売上が予想値にわずかに届きませんでした。
売上は前年同期比36%の成長を見せていますが、営業損失は54%増加して171百万ドル、最終的な純損失は65%増加して177.5百万ドルとなっています。
1-2. 顧客の変化
過去12ヶ月で10万ドル以上の売上となった大口顧客は、前年同期の837から1,083に増加しました。
1-3. ガイダンス引き下げ
今回の決算と併せて、ガイダンスが引き下げられました。
今回初めて示された2022年第2Qの売上は290百万ドル~295百万ドル(前年同期比6%~8%の成長)とされ、2022年通年の売上は、1,485百万ドル~1,505百万ドル(前年比34%~36%の成長)という予測から1,350百万ドル~1,425百万ドル(前年比22%~28%の成長)に変更されています。
なお、アナリスト予想(※Yahoo!financeより。2022年5月11日閲覧)は、2022年第2Qの売上が360.97百万ドル、通年売上は1,500百万ドルとなっており、どちらも予想値を下回るガイダンスとなりました。
また、今回のガイダンスを受けて株価は急落(記事作成時点ではプレで29%の下落)しています。
2. アミリス
アミリス(Amyris Inc / AMRS)は合成生物学を用いて、環境負荷を抑え、特定の成分の安定供給を目指す企業です。
サトウキビなど植物由来の糖質を、微生物(酵母など)を利用して他の機能を持つ成分に代謝する技術を持っています。
■アミリスの銘柄分析はこちらにあります。
2-1. EPS・売上・損失
- EPS 予想-0.24ドル/実績-0.34ドル
43.66%マイナス - 売上 予想65.453百万ドル/実績57.709百万ドル
11.83%マイナス
※EPS・売上・%はTradingviewより引用(2022年5月11日閲覧)
最近はアナリスト予想をクリアするEPSを出していましたが、今四半期は、EPS・売上ともに予想値を下回りました。
今四半期(2022年第1Q)の売上は約58百万ドルです。
ただ、前年同期には一時的な売上があったため、それと比較すると今四半期は67%の減少となりました。
一方、アミリスがコア収益と呼ぶ”一時的なものを省いた売上”は、前年同期比75%増加しています。
特に消費者収益セグメントは121%増加し、35百万ドルの売上となりました。
またテクノロジーアクセスセグメントも、33%増加しています。
しかし今四半期は124.5百万ドルの営業損失が発生しており、最終的にも赤字となりました。
費用は全体的に増加していますが、特に販売費・管理費の増加が顕著です。
これは買収などによる報酬費用の増加や、新ブランド立ち上げに関するマーケティング費用の増加などが影響しています。
2-1. ガイダンス・その他
2022年通年のガイダンスは、前回のアナウンス通りでした。
消費者収益セグメントは前年比150%以上の成長、テクノロジーアクセスセグメントは40%の成長が見込まれています。
また、ブラジルの新プラントの試運転が開始されており、第2Qには商業生産を開始する予定となっています。
これによってサードパーティへの製造依存を減らすことができ、利益率の改善につながる予定です。
更に今後の展開として、更年期障害に焦点を当てたブランドやヘアケアブランドなど、新ブランドの準備も進んでいます。(一部は買収による)
3. ロブロックス
最後に紹介するロブロックス(Roblox Corp / RBLX)は、仮想空間での交流やゲームが楽しめる”共同体験プラットフォーム”の提供を行っているメタバース企業です。
■ロブロックスの事業内容・取り組みの概要はこちらにあります。
3-1. EPS・売上・損失
- EPS 予想-0.22ドル/実績-0.27ドル
24.38%マイナス - 売上 予想655.695百万ドル/実績537.134百万ドル
18.08%マイナス
※EPS・売上・%はTradingviewより引用(2022年5月6日閲覧)
アナリスト予想を下回る期が続いています。
売上は前年同期比39%増加して537百万ドルとなっていますが、ユーザーが購入した金額(通常の売上はアイテムなどの使用期間に合わせて繰り延べなどの処理がされている)の合計であるBookingsは3%減少し631百万ドルとなりました。
また、一般管理費を除くコスト・費用が全体的に増加しており、営業損失は前年同期比12%増加、最終的な純損失は19%増加しています。
3-2. ユーザー数
デイリーアクティブユーザー(DAU)は前年同期比28%増加して5,410万人に、エンゲージメント時間は22%増加して118億時間になりました。
3-3. 2022年4月速報値
2022年4月の速報値として、売上は189百万ドル~192百万ドル(前年同期比30%~32%増加)、Bookingsは221百万ドル~224百万ドル(前年同期比8%~10%減少)となる見込みであることが発表されました。
また、DAUは23%増加して5,310万人、エンゲージメント時間は18%増加して38億時間だとしています。
4. まとめ
ユニティ・ソフトウェア(U)、アミリス(AMRS)、ロブロックス(RBLX)の3社の決算、リリースをピックアップしました。
ここ数年は40%以上の成長率を維持していたユニティですが、ガイダンスを引き下げ、上限値でも28%の成長となる見込みであることを発表しました。
またアミリスの消費者収益セグメントの成長には目を見張るものがありますが、損失の大きさも気になります。
ブラジルの新プラントが稼働することで、利益面にどの程度貢献するのか追っていきたい内容です。
ロブロックスについても、ユーザーの増加は良い傾向ですが、会計期間の販売額そのものを表すBookingsの減少が気になります。
新型コロナによるステイホームの特需が落ち着いてきた影響も大きいでしょうが、ユーザー一人あたりの課金額は減ってしまっているのが伺えます。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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