テラドック・ヘルス(Teladoc Health, Inc / TDOC)の9月締め四半期決算(2021年第3Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■テラドック・ヘルスの事業内容や年次決算をまとめた記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
アナリスト予想を下回るEPSが続いていましたが、今期は21%の差をつけてクリアしました。
ただ、マイナス値であることは変わりません。

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
売上の増加、純損失の減少が続いています。
前年同期比での売上の伸び率は81%です。
ただ、前年同期と比較すると純損失は135%増加しています。(なお、第3Q終了時点の9ヶ月間を比較すると358%の増加)
純損失が前年より増加している要因としては、売上拡大に伴う費用の増加とLivongo社買収によって増加した株式報酬費用、無形固定資産償却費の発生が挙げられます。
また、純損失が順調に減少しているように見えますが、主に減少しているのは債務消滅損失や法人税に関する費用なので、今期は事業外の一時的な費用が少なかったという面も強いです。
3. その他の補足
3-1. ガイダンス修正
今期の結果を受け、年間ガイダンスが改めて更新されました。
年間の売上高は”20億ドル~20億2,500万ドルの範囲”から”20億1,500万ドル~20億2,500万ドルの範囲”とし、EBITDAは”ー1億2,000万ドル~ー1億ドル”から”-8,000万ドル~-7,500万ドル”に更新しています。
3-2. 顧客満足度1位を奪取
J.D. Power 2021 U.S. Telehealth Satisfaction Study(遠隔医療の満足度調査)において、テラドックが1位となりました。
2020年の同調査ではアメリカンウェル(AMWL)が1位でしたが、今回は遠隔医療のパイオニアでもあるテラドックが支持されています。
3-3. ユーザー数の変化
第3Q終了時点での有料会員数は5,250万人で、第2Q終了時点から50万人増加しています。
年間見通しでは5,250万人~5,350万人としていて、前回のアナウンスより上限値が少々下がったものの、より振れ幅を縮めて公表しています。
また、アクセスはアメリカ国内で40%、その他で19%伸びました。(第3Q前年同期比)
3-4. プライマリケアの提供
より身近で何でも相談できる”プライマリケアサービス”の提供のためテラドックは2021年10月6日に”Primary360”をリリースしました。
これまで試験的に運用されてきたサービスで、初年度の予備調査では「利用者の50%以上が1つ以上の他のTeladoc Healthサービスを利用」、「30%近くが2つの関連サービスを利用」するという結果となっています。
テラドックの更なる利用数・売上の増加に期待したいです。
4. まとめ
テラドック・ヘルス(TDOC)の2021年第3Qはこれまでと比較すると良い内容でした。
個人的には少量の保有を検討しようと思います。
もちろんまだまだ赤字ですしリスクが高いことには変わりありませんが(のれん、無形固定資産が大きいため、その減損のリスクもある)売上の増加に加えて明るいニュースが増えました。
ちなみに、これまでは前年同期と比較した際に純損失の増加が目立っていましたが、第4Qは2020年の純損失がかなり大きい(Livongo買収を行った期)ので、次の決算はそこと比較すると良い内容に見えそうです。冷静に見ていきたいと思います。
(テラドック・ヘルスの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のTeladoc Health, Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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