テーパリングは年内開始?7月FOMC議事録発表

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2021年8月18日、7月27~28日に行われたFOMC(米国連邦公開市場委員会)の議事録が発表されました。
テーパリングについてかなり突っ込んだ内容となっているので、早速まとめていきたいと思います。

  • 年内にテーパリングが実施される可能性が上昇
  • デルタ株のリスクは不確定要素
  • 物価の安定に対しては目標達成との見方が強い
  • 雇用に関しては目標未達成ながら”ほぼ満足”

1. テーパリング実施は前倒しの可能性

テーパリングについては、”年内に実施が示唆されることはあっても、実施は来年だろう”という見方が優勢でした。
しかし、今回の議事録では、年内にテーパリングが実施される可能性がかなり強まっています

1-1. 委員の大半が”年内実施”

テーパリングを開始するには「最大雇用」と「物価の安定」の目標達成が重要でしたが、今回のFOMCでは大半の委員が”このまま予想通りに経済が発展するとすれば、今年中の資産購入ペース縮小開始(つまりテーパリング)は適切”だと判断しています。

1-2. 雇用目標と物価安定目標の進展

今回のFOMCでは、”2020年12月以降「最大雇用」「物価の安定」の2つの目標に対して、どちらも前進している”という評価がされています。
実際、各数値は予想を継続的に超えているので、その評価は妥当でしょう。

特に物価の安定については、ほとんどの参加者が”基準を達成した”旨の発言をしています

一方で、最大雇用目標への”さらなる進展”という点においては未達だと判断しています。
ただ、雇用の増加について”ほぼ満足している”という発言もあり、年内のテーパリング開始は適切だとされました。

ただ、一部の委員は、雇用目標の達成にはまだまだ程遠く、物価の安定目標への進展も不確実だとして、テーパリングを来年に遅らせるべきという主張をしています。

1-3. 国債とMBSの並行した購入量削減を支持

テーパリングを行う際、どのように買い入れを減らしていくかについても議論が行われました。(現在は毎月国債800億ドル、MBS(不動産担保証券)を毎月400億ドル購入している)

多くの委員が”同時並行”での買い入れ削減を支持していますが、一部の委員は”住宅セクターは例外的な強さを持っている”として、MBSの先行削減を提案しています。

1-4. インフレ・デルタ株のリスク

現在のインフレに対しては一時的なものだとする見方が優勢ですが、一部のタカ派(強硬派)は”インフレが予想以上に続く可能性がある”とし、早めにテーパリングを開始すべきと主張しています。

一方で、収束に向かったと思われていたコロナ感染拡大が、デルタ株の出現によって少々状況を変えています。
不確実性が高い要素ですが、経済回復を妨げるリスクとして、多くの委員に認識されています。

2. 統計発表の予定

テーパリング開始の条件とも言える「最大雇用」「物価の安定」という2つの目標に対して、物価の安定目標は達成されたという見方が強いです。
そうなると、次に気になるのは雇用目標です。

雇用の進捗に対しても”ほぼ満足”という発言はあったものの、今後の雇用統計の結果よっては”思ったより達成されていない”と判断される可能性もありますし、もしくは”テーパリング開始に十分な数値だ”として、年内テーパリング実施の後押しとなる可能性もあります。

2-1. 雇用統計

直近の雇用統計の発表日は9月3日です。(8月の数値を発表)
その後は以下の日程で発表されていく予定です。

    2021年の雇用統計発表予定
  • 9月(8月分) 3日
  • 10月(9月分) 8日
  • 11月(10月分) 5日
  • 12月(11月分) 3日

2-2. 物価統計

既に目標を達成しているという見方が強い、物価に関する指標の発表予定日です。

    2021年の消費者物価指数(CPI)発表予定
  • 9月(8月分) 14日
  • 10月(9月分) 13日
  • 11月(10月分) 10日
  • 12月(11月分) 10日

3. まとめ

テーパリング開始時期が前倒しされ、年内実施の可能性がかなり強まってきました。

この実施時期を決定するのには、9月3日の雇用統計の結果が非常に重要だと考えます。
この雇用統計が良い結果であれば、テーパリングが年内に開始される可能性はさらに高まりますし、市場もそれを織り込んで動き始めるでしょう。

今回のテーパリングの開始時期に関しては長く注目が集まっており、すでに市場はある程度テーパリングの可能性を織り込んでいるのではないかと思いますが、この議事録の発表後、株価は一時的に反発したものの、程なく下落しています。
(ダウ指数は反発後の35,338ドルから34,955ドルへ。ナスダック指数は反発後の14,696ドルから14,526ドル)

これを見ると、やはりテーパリングが決定した際には、株価へ一時的な影響がありそうです。

また、FOMCでは”利上げとテーパリングは別物で相関性は無い”と念押ししており、FF金利の引き上げは今後の経済の進展次第だとしています。

(なお、前回のテーパリング時の金融ETF、一部個別銘柄の株価推移を比較した記事もこちら↓にあります。)

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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