ストーン(StoneCo Ltd / STNE)の12月締め四半期決算(2021年度第4Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■ストーンの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較(EPS)
EPSはアナリスト予想を下回り続けています。
なおこの表では、ブラジルレアルでの決算報告をTradingView上で米ドル換算した数値(2022年3月18日閲覧時)を記載しています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(※こちらの表の単位は”百万ブラジルレアル”です)
売上は前年同期比で87%増加しました。
ただ、今四半期は前四半期に続き赤字となっています。(前年同期は黒字だった)
この赤字には、前年同期と比較して各種費用が大幅に増加したことや、前四半期に続いて有価証券評価損が764百万レアル発生したことが影響しています。
特に各種費用の増加に関しては、事業拡大に伴うものの他、Linxの事業に関する費用もかなり大きな割合を占めました。
また、財務面では、前払い残高の増加、ブラジルの金利上昇などが引き続き影響を及ぼしています。
3. その他の補足
3-1. 通年の結果
2021年度通年の売上は4,824百万レアル(前年比45%増加)、純損失が1,377百万レアル(前年は837百万ドルの黒字だった)となりました。
2021年度は、Linxの買収による売上の上乗せ、そして費用の拡大も大きく影響しています。
また、有価証券の評価損が非常に大きく(年間で1,264百万レアル)損失が更に膨らみました。
3-2. クレジットソリューションのその後
債権問題によってストップしている”クレジットソリューション”ですが、2022年に再開する予定であることが発表されました。
3-3. 顧客規模の変化
第4Qの顧客の純増数は377,700とされ、決済クライアントは180万に到達しました。
TPV(決済総額)も増えており、全体では前年同期比55%増加、中小企業向けの金融サービスでは87%増加となりました。
中小企業に関しては、前四半期の81%をも超える伸びを見せています。
3-4. ガイダンス
第1Qの売上は1,850百万レアル~1,900百万レアルと予測しています。
これは前年同期比113%~119%増加する見込みです。
これに対し、アナリスト予想(※Yahoo!financeより。2022年3月18日閲覧)の売上は345.41百万ドルです。
記事作成時点のレートでは1レアル=0.2ドルなので、アナリスト予想の売上は1,727.05百万レアル相当だと言えます。
ガイダンスはこのアナリスト予想数値を上回っています。
また、2022年第1Qにはマージンが改善し始める予想だとしており、non-GAAP税引前利益は今四半期(2021年第4Q)の17.2百万レアルを大きく上回る140百万レアルとなる予想です。
なお、事業再編についても発表がありました。
今後は、ストーンが主軸となる”金融サービス”セグメントと、買収したLinxをはじめとした”ソフトウェア”セグメントの2つを事業の柱とし、これからはそれぞれセグメントごとの実績報告が行われるとしています。
4. まとめ
ストーン(STNE)は今四半期もアナリスト予想を下回るEPSでした。
しかし次四半期(2022年度第1Q。3月締め)は、予想を超える売上、そしてnon-GAAPではありますが利益の回復を見込んでいます。
2021年はかなり苦しい一年となりましたが、今後の成長のために多くの投資を行っている点、顧客数やTPVが増加し続けている点、そしてマージンの改善を見込んでいる点から、期待を込めて追っていきたいと思います。
ただ、ブラジル経済に大きく左右されるリスクがあることは念頭に置いておきたいです。
(ストーンの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事はStoneCo Ltdの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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