ストーン(StoneCo Ltd / STNE)の9月締め四半期決算(2021年第3Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■ストーンの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較(EPS)
最近のEPSはアナリスト予想を下回り続けています。

なおこの表では、ブラジルレアルでの決算報告をTradingView上で米ドル換算した数値(2021年11月17日閲覧時)を記載しています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(※こちらの表の単位は”百万ブラジルレアル”です)
今期は債権問題でクレジットソリューションが一時停止となっていたものの、売上の大きい期となりました。
内訳で最も大きかったのは金融事業からの収益で、クレジットとLinx(先日買収した金融ソフトウェア企業)関連を除いた金融収益は、前年同期比で約100%増加しています。
また、Linx買収による影響もあり、サブスクリプション・レンタル機器サービス事業の売上は前年同期比301%の成長を見せました。(Linxを除くと64%の成長)
一方、各種費用も増加しています。
これにはLinxの統合費用の発生・資産の償却額の増加、事業設備への投資、マーケティングへの投資、人件費の増加、前払い残高の増加、ブラジルの金利上昇といった要因が挙げられます。
また、今期は約13億4,000万ブラジルレアルという多額の有価証券評価損が発生しました。
これは前期に行ったブラジルのデジタル銀行”Banco Inter”への投資(同行顧客をストーンの決済プラットフォームへ誘導することを図った)によるもので、ブラジルの経済状況が悪化し同行の株式が暴落したことが起因となっています。
3. その他の補足
3-1. クレジットソリューションのその後
クレジットソリューションを休止したため、2021年第3Qは”クレジット商品が売上に貢献していない”としています。
しかし、今回のリリース内で”クレジット商品の小規模なテストをまもなく開始する”というアナウンスがありました。
再始動に向けての準備は進んでいるようです。
なお、前年同期はクレジット商品で156.5百万ブラジルレアルの売上をあげていました。
3-2. 顧客規模の変化
第3Qの顧客の純増数は約294,000で、有効顧客の合計は約140万人となりました。
また、中小企業向け金融事業では、総支払額が前年同期比81%増加しています。
3-3. 競合
お互いに事業の拡大を続けているため、中小企業を主な顧客とし、デジタル決済、POSシステム、デジタル口座などを提供するパグセグロ・デジタル(PagSeguro Digital Ltd / PAGS)との競合度合いが加速しています。
4. まとめ
ストーン(STNE)の今期(第3Q)は売上が増加したものの、4期連続アナリスト予想を下回るEPSとなりました。
また、今期は大きな赤字となったことも残念です。
大きな要因は直接事業から起きたものではないとはいえ、株式を持っている限り同様の問題は今後も起こり得ますし(ただし経済が上向いて保有株式の価格が上昇すれば、前期(第2Q)のような事業外利益が発生する可能性もある)、クレジット商品の問題も解決していない点が気がかりです。
また、保有株式に限らずストーンの事業もブラジルの経済状況、金利に左右されるため、米国企業とは違ったリスクがあります。
個人的に少量保有しており、クレジット問題が解決すれば売上の伸びも大きくなるのではないかと思っていますが、ブラジル経済が見通せない今はあまり積極的に買い増しをするつもりはありません。
(ストーンの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のStoneCo Ltdの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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