先日、ブロックのビットコインチームであるTBDが”Web5”プロジェクトを発表しました。
今回はWeb5の掲げるメリットや特徴はもちろん、近年話題のWeb3についても、わかりやすく解説していきます。
1. Web3とは
Web3(Web3.0)は、次世代インターネットと呼ばれる概念・技術です。
一言で言うとユーザーがトークンを介して自身のデータを自己管理する「分散型」のインターネットで、現状の”一部に情報や権力が集中したインターネット”の問題点を解決すると言われています。
Web3では、ユーザーはインターネット上の財産や権利などをトークンとして所有し管理するようになります。
なお、情報や権力が集中している”一部”とは、GAFAなどの巨大IT企業のことを指します。
現在インターネットを利用する際には、これらの企業のサービスを利用することは不可欠となっており、多くのユーザーの行動データや個人情報がこれらの企業に集約されています。
こういった現在のインターネットはWeb2(Web2.0)と呼ばれます。
1-1. ブロックチェーン
このWeb2からWeb3への転換を可能にするとされるのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンでは情報・取引が全て数珠つなぎに記録されること、そしてその記録を複数のユーザーが管理することが特徴です。
これにより、途中でデータの改ざんなどが起きても、その前のデータとの照合(記録は数珠つなぎになっているため、途中で変更を加えると後続データにも影響が出る)によってすぐに発見することができ、高い信頼性を実現できます。
また、複数のユーザーが同様の記録を保持するため、システムダウンへの耐性も強固です。
このように、一部に情報を集約するのではなく、参加ユーザー全員で記録を保有することから”分散型台帳”とも呼ばれます。
現状は一つのサーバーに対して各端末からアクセスするWeb2と呼ばれる状態ですが、ブロックチェーンのような分散型ネットワーク技術を用いることで、各端末が相互に繋がるWeb3が実現するのです。
1-2. Web3のメリット
現状のインターネットは中央集権型のWeb2と呼ばれる段階であること、これをWeb3と呼ばれる分散型インターネットにするためにはブロックチェーンが大きく関わっていることがわかりました。
ではこれらの過程を経てWeb3に移行することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
- Web3のメリット
- 自分のデータを自ら管理できる
→個人情報の入力の手間がなくなる
→一部企業へのデータ集中によるハッキングリスク減少
※自ら管理するため個人の責任は重くなる
→行動履歴収集などのプライバシー侵害が解決 - 全てのユーザーが自由に利用可能に
最も大きな変化は個人情報や行動履歴といったプライバシーに関するデータを、ユーザーが自己管理できるようになる点です。
ブロックチェーン技術での仕組みの変更により、住所やメールアドレスなどの個人情報をいちいち入力し登録する必要がなくなります。
こういった変化はセキュリティ面でもプラスに働くと考えられます。
なぜなら、現状は一部の企業(インターネットサービスを提供する側)に非常に多くの個人情報が集約されており、その企業がサイバー攻撃などの問題に直面した場合には大量のデータが流出するリスクがあるからです。
しかし情報がそれぞれに分散されるWeb3であれば、こういったリスクは無くなります。
また、サービス提供側の企業が自由に個人情報を収集できなくなるため、近年話題となっているプライバシー侵害の問題解決にもつながります。
ただし、現状は企業が管理しているデータが個々人の管理下に移動するため、メリットがある一方でユーザー自身の責任が重くなるという側面もあります。
また、現状のWeb2で動作している検閲システムなどがWeb3では存在しなくなり、全てのユーザーが制限なくインターネットサービスを利用できるようになると考えられています。
1-3. Web3実用化の現状
ここまでWeb3の特徴やメリットを見てきました。
しかし現状はまだWeb2の段階と言われる通り、実際のところWeb3やブロックチェーン技術の普及・対応は一部の分野にとどまっています。
ブロックチェーンの実用例としては、分散型金融DeFi(管理者・仲介者を介さないブロックチェーンによる分散型金融サービス)が代表的です。
また、Web3を活用している例としては、NFTのキャラクターや武器を利用するブロックチェーンのオンラインゲームアプリ”My Crypto Heroes”、NFTコンテンツのマーケットプレイス”OpenSea”、Web3のブラウザ”Brave”、”HTTP”に替わる分散型プロトコル”IPFS”などがあります。
このようにWeb3はまだまだ新しい概念で、現在は移行の真っただ中です。
そのため、法的な整備もまだ整っていないのが現状です。
2. ブロックが発表したWeb5とは
ブロック(Block Inc / SQ)のTBDが発表したWeb5は、ビットコインを基盤とした分散型インターネットで、”データとアイデンティティ(ID)の所有権を個人の元へ戻す”ことを掲げています。
また同時に、次世代技術として話題になったばかりのWeb3を早くも打ち壊すことを宣言しました。
2-1. Web3には問題がある?
ブロックのCEOであるジャック・ドーシー氏は以前から”Web3になっても、出資している一部の大手ベンチャーキャピタルしか恩恵を受けられないだろう”といった旨の発言をしており、Web3に対する批判的な立場を見せていました。
実際、ベンチャーキャピタルのWeb3への出資が非常に大きいという点は否めません。
しかし、Web3が分散型インターネットを実現すると信じる人々はもちろん多いため、こういった発言は様々な議論を呼んでいます。
2-2. Web5の特徴
TBDは発表の中で、Web3のビジネスモデルにおいて重要になると見られるトークンが、Web5では必要とされないとしています。
これはWeb5がビットコイン上に構築され、他のトークンが無くても機能するためです。
”この試みが実現すれば、ビットコイン以外の仮想通貨の必要性がなくなるかもしれない”とも述べており、Web3とは考え方が異なるのがわかります。
TBDの発表によると、Web5では、ユーザーは個人データやIDをデジタルウォレットで管理し、履歴情報は全て分散型Webノードに保存されるため、例えば複数の音楽配信サービスを横断してプレイリストを作成するといったことも可能になるとされます。
3. まとめ
現在注目を集め、まさに移行中だと言われているWeb3、そしてブロックが発表した新しいプロジェクトのWeb5は、どちらもブロックチェーンを用いた技術・構想です。
しかし、様々な仮想通貨が関わるWeb3とは異なり、Web5はビットコイン上に構築され他のトークンを必要としないといった特徴があります。
どちらも中央集権型のインターネットを分散型にすることを目指しており、実現すればインターネットの革命とも言える変革が起きるでしょう。
Web3への一部批判的、懐疑的な見方(ベンチャーキャピタルの投資規模だけでなく、ブロックチェーン自体の消費電力や処理速度なども含め)もありますが、現在圧倒的な強さを見せるGAFAが今後どのような対応を見せるのかなど気になる点も多い議題です。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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