先日発表されたヴァージン・ギャラクティック（Virgin Galactic / SPCE）の四半期決算を、アナリスト予想と比較しつつご紹介します。
■事業内容や2020年末の決算についてはこちらでまとめています。
■2021年7月11日に創業者搭乗のテストフライトが発表されました。
このフライトの概要や配信予定などについてはこちらでまとめています。
1. アナリスト予想との比較
2020年度末決算はアナリスト予想通りのEPSでしたが、それ以外の四半期では予想を下回っています。
現時点では宇宙旅行の実現・販売を目指すことを主な事業としているため、まだ販売できるものがない状態です。
詳細な数値については、ヴァージン・ギャラクティックのEPS（一株当たり利益。今回は全て損失が出ているため赤字）についてアナリスト予想と実際の数値、差異をまとめた以下の表をご覧ください。
次は、実際の売上高と損失額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益（今回は全ての期で純損失）をまとめた表です。
（単位：百万ドル）
2020年6月締めの四半期以降、売上は発生していません。その一方で、この1年間、四半期ごとに損失額は増加しています。
宇宙旅行の実現に向けて開発を行っている段階なので仕方ないですが、開発に成功しない限り、このような状態が続きそうです。これより前の期には下請け業務などで売上を得ていましたが、それも今は無くなってしまいました。
ちなみに2020年第1四半期（3月締め）の損失額は376.83百万ドルで、2021年同期の損失額はそれより減少しています。
3. その他の補足
3-1. テストフライトの予定
この四半期決算が明けてからテストフライトが行われるとも言われていましたが、その予定は発表されませんでした。現在テストフライトのタイミングを検討中としており、全体的にスケジュールが遅れる可能性もあるとしています。
当初は今頃宇宙旅行を開始している予定でしたが、コロナ感染拡大やテストフライトの失敗によって予定は遅れており、そして今回、航空機体に疲労による問題が見つかったことを明らかにしました。
2021年3月末時点で現金資産を617百万ドル（6.17億ドル）保持しており、まだ資金繰りには問題なさそうですが、四半期決算の結果やテスト飛行の予定が先延ばしになっていることで、株価は下がり続けています。（2021年5月10日時点）
決算発表後に”来週にはテストスケジュールを更新したい”旨の発言があったので、その予定発表が待ち遠しいところです。
3-2. 決算発表の遅延と訂正
今回の2021年第1Qの決算発表には、予定より数日の遅れが発生しました。これは過去の決算書について訂正が必要となったためであり、ワラント（”新株引受権”と呼ばれる、定められた期間内に、事前に取り決めた価格で株式を購入できる権利）に関する修正が行われました。
これによって過去の決算書の自己資本が減少・負債が増加し、損失額が増加しています。
3-3. 競合の宇宙旅行チケット販売
Amazon設立者ジェフ・ベゾス氏のBlue Originが、宇宙旅行のチケット販売を開始しました。
今回販売されているのは7月20日に飛行予定の弾道飛行ロケット”New Shepard”の1席のみで、オークション形式での販売となっています。
4. まとめ
ヴァージン・ギャラクティック（Virgin Galactic）は現在、アナリスト予想を下回る四半期決算やフライト予定の遅延、更には競合Blue Originがチケット販売を開始するという、不安要素が重なった状況です。
宇宙へのフライトが成功すれば一気に状況が変わる可能性がありますが、現時点ではリスクが高い銘柄であることには変わりありません。
（ヴァージン・ギャラクティックの事業内容や2020年末決算の内容を紹介した記事もこちら↓にあります）
今回の記事は2020～2021年のVirgin Galacticの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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