2020年急増した「SPAC」上場とは?

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今回は、最近よく聞く”特別買収目的会社「SPAC」”について解説していきます。

1. 特別買収目的会社「SPAC」とは何か

1-1. 概要

SPACとは、一言で言うと上場して他社を買収することを前提とした、事業を一切持たない企業です。
そしてその企業に買収されることで上場と資金の調達を行うことを”SPAC IPO”などと呼んだりします。
また、この一連の流れそのものをSPACと言うこともあります。

このSPAC(上場して他社を買収することを前提とした、事業を一切持たない企業)は上場して買収を行うまで、事業も資産も何も持っていません。
この時点では、名前だけのペーパーカンパニーとも言えます

ちなみにSPACはSpecial Purpose Acquisition Companyの略語で、訳すと”特別買収目的会社”となります。

1-1-1. SPAC IPOの流れ

SPAC IPOの主な流れは以下のようになります。

  1. SPAC(特別買収目的会社)が「事業を持つ企業の買収を行う」前提で上場
  2. 投資家から資金を集める
  3. 期限(24ヶ月)内に買収候補を検討し株主の承認を得る
  4. 一定数の承認を得られたら買収を行う
  5. (多くの場合)買収した企業の社名に変更し、事業も継続

上場時点では事業も資産も何も持たなかった企業が、買収によってそれらを得て、そのままその事業を続けていくことになるのです。

また、被買収企業の事業などをそのまま続けることになるため、企業名も被買収企業のものに変更されることが多いです。同時にティッカーシンボルも、被買収企業のものになります。
被買収企業は買収されることによって、実質的に上場を果たす(SPAC IPOする)ことができるのです。

1-1-2. 上場したものの買収に失敗した場合

SPAC(特別買収目的会社)が上場後、株主の同意を得られなかったり、買収企業との交渉に失敗したりして期限内に買収を行えなかった場合、上場で集めた資金を株主に返還しなくてはなりません

そのため、中身が見えないSPACではありますが、投資家はリスクを抑えて投資することが可能です。(ただし、買収完了後は通常の公開株式と同様のリスクがある)

2. SPACのメリット

2-1. 投資家側のメリット

SPACへ投資することのメリットは「リスクを抑えつつ未公開株式へ投資できる」ことです。
SPACが買収するのは上場していない企業なので、SPACの株を買うことは未公開株へ投資することとほぼ同じ意味合いを持ちます。
通常、一般投資家は未公開株を購入することができませんが、SPACを利用すれば未公開株式の大きな成長の可能性に投資することが可能なのです。

そして万が一SPACが買収を行えなかった場合でも、投資家を保護する規定が定められており投資資金が還ってくるので、リスクを抑えることができます。

また、SPACが無事に買収を完了した場合、被買収企業は上場企業となるので、投資家は通常の公開株式と同様に売買できるようになります

2-2. 被買収企業側のメリット

被買収企業側のメリットは「上場手続き・審査のハードルが下がる」ことです。
通常の上場(株式公開)のためには機関投資家へのプレゼンや証券取引所の審査などが必要となり、手間と費用が掛かる上に、希望通りの価格で上場できない・審査で問題が発生するなどの難しい点が多々ありました。

しかし、SPACが上場する際は、これらがかなり簡略化されます。事業自体を持たないため、プレゼンするものも審査するものも無いからです。
そのため被買収企業はSPACに買収されることによって、通常よりも簡単に速く上場を果たすことができるのです。

3. SPACのデメリット

被買収企業のデメリットは特に大きなものはありません。

3-1. 投資家側のデメリット

投資家側のデメリットは「SPACが買収した企業が確実に利益を出せるかわからない(通常の公開株式よりそのリスクは高い)」ことです。

SPAC IPOを行う企業(被買収企業)の中には、通常の手順では上場できないような企業が多くあります。
SPAC IPOは、証券取引所の審査に通らないであろう”まだ完全に確立できていない技術”を開発しているベンチャー企業や、上場計画が頓挫した企業が上場して資金を集められる方法として広まった側面があるからです。
そのため、通常の公開株式よりも株価暴落や倒産のリスクが高い企業が多いのです。

たとえばニコラ(NKLA)のように(テスラの競合とまで言われ一時株価は90ドルをつけていたが、虚偽の広告を行ったと疑惑が持ち上がり、創業者兼会長が辞任した)突然の暴落が起きてしまう可能性もあります。

SPACの株主が買収の可否を判断するとはいえ、長く利益を生み出せる企業を買収できるかは、SPAC代表の審美眼・交渉術にかかっているのです。

3-2. SPAC側の抱えるリスク

デメリットとは少し違いますが、SPAC側も投資家同様「買収した企業が確実に利益を出せるかわからない」というリスクを抱えています
特にSPACは限られた時間(上場後24ヶ月以内)の中で買収を完了させなければならないので、そのプレッシャーは投資家以上のものとなります。

4. なぜSPACが増えたのか?

2020年、SPAC IPOを行った企業は141社にものぼります。
これまで過去最高件数だった2019年でも58社だったので、2020年に一気に増加したと言えるでしょう。
これほどまでにSPAC IPOが過熱したのには、以下のような理由が挙げられます。

  • 通常の上場よりも簡単かつ低コスト
  • 著名人がSPAC投資へ参加するようになり信用度が増した
  • コロナ感染拡大で通常の上場計画が頓挫した企業の選択肢となった

また、以前はSPAC設立者が上場によって得た資金で私服を肥やすなど悪用されることもありましたが、現在は証券取引委員会の規定整備が進んだため、以前よりも投資家が守られるようになりました。
そのため、投資家もSPACへの投資に積極的になってきています。

5. まとめ

SPAC事業や資産を持たない”他社を買収する前提”で上場する企業です。
そしてそのSPACに買収されることで、被買収企業は実質的に上場を果たし(SPAC IPO達成)資金を調達することができます

投資家から見れば”未公開株式に投資する”ことに近く、うまくいけば投資企業の大きな成長が見込める手段でもあります。

ただ、SPAC IPOの手順は通常の手順でのIPO(上場)よりも簡単かつ速いため、通常の手順で上場できない企業にも人気の手法になってきました。
SPACやSPAC IPO企業は魅力のある投資先ですが、リスクがあることを忘れずに、もし購入する際は他の投資とのバランスを取っておくことをおすすめします。

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