サナ・バイオ【SANA】銘柄分析_移植細胞の免疫抑制なしでの生存に成功

米国株の年次決算書・銘柄分析
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サナ・バイオテクノロジー(Sana Biotechnology Inc / SANA)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Sana Biotechnology Inc(SANA)について

1-1. 業種

バイオテクノロジー、ゲノム、医療

1-2. 事業の概要

サナ・バイオテクノロジーは、2018年に設立し、2021年にIPOした比較的新しい企業です。
遺伝子と細胞に焦点を当てた治療法を開発しており、細胞の制御や修復を目指し、体内の損傷した組織の取り替えを可能にするべく、日々様々な研究を行っています。
また、確立した治療法に患者がアクセスしやすくなるよう、製造コストなども重視することをビジョンに掲げています。

ただし、現時点(2022年6月21日時点)で販売可能な製品や、臨床試験に到達したプログラムはありません。
最も進んでいるものでも、治療薬の安全性や有効性などを調査する非臨床(前臨床)段階です。

開発中の製品パイプラインには、がん、糖尿病、中枢神経系の疾患、心血管疾患、肝臓関連の遺伝性疾患、異常ヘモグロビン症に対するものがあり、このうちCAR-T細胞(がん細胞を強力に攻撃できるように遺伝子操作したT細胞)を利用する、がん治療プログラム2種類は、2022年内のIND申請を目指していることが明言されています。
また、2023年には1型糖尿病治療のIND申請を、それ以降も毎年複数のIND申請を提出することを目標としています。

サナ・バイオテクノロジーはin vivo(生体内)とex vivo(生体外)両方の研究開発を行っていますが、ex vivoにおいては低免疫技術ソリューション(HIP)を持っています。
これは移植の際の免疫による拒絶反応に対処するための技術で、移植した細胞を患者の自己免疫から隠すことに重点を置いています。
このプラットフォームが完全に確立されれば、患者の免疫を抑制することなく移植が可能となるとされています。

なお先日、この低免疫プラットフォームで、非ヒト霊長類における初めての成果を上げたことを発表しました。

1-3. チャート

サナ・バイオテクノロジーの株価チャートです。
何度も上下を繰り返していますが、長期的に見ると右肩下がりになっています。(2022年6月21日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

SANA貸借バランス_2021

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”で、ひとまずの資金繰りには問題ありません。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は65%とかなり高めです。
2021年2月にIPOしたばかりなので、この時点では潤沢な自己資本があります。

2-1-3. キャッシュフロー

営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

まだ販売するものが無いため売上はゼロの状態で、営業活動によるキャッシュフローもマイナス続きです。

投資活動では余剰資金を有価証券(売買・満期保有目的)の購入にあてており、マイナス収支となっています。

また財務活動では、IPOによる収入が大きい一年でした。

2-1-4. 項目まとめ

しばらくの間は資金繰りに困ることはなさそうです。

ただ、現時点では臨床試験を開始したプログラムもないため、いずれは追加の資金調達が必要になる可能性が高いです。

2-2. 収益性

  • 売上はゼロで毎年赤字

2-3. 経営の効率

  • 売上ゼロのため判断不可

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上はいまだにゼロ
  • 年内にIND申請を予定
  • 営業損失は増加中
  • 研究開発費は今後も増加の見込み

2-4-1. 売上高と営業利益

販売できる製品はまだなく、他企業とのコラボレーション収益などもないため、売上はゼロの状態です。

SANAの営業利益(損失)推移_2021

営業損失は年々増加しています。(2018年度は設立以降分)

まだ販売を行っていないため、営業費用の内訳は研究開発費、一般管理費となっていますが、もう一つ、研究開発に関する成功報酬・条件付き対価も計上されています。
この研究開発に関する成功報酬・条件付き対価は、買収やライセンス契約に伴うもので、時価総額の変動や研究成果などによって、費用もしくは利益が計上されます。

2-4-2. 研究開発費

2021年度の研究開発費は約248.63百万ドルでした。
研究開発費は営業費用の大部分を占めており、当面の間は今後も増加すると見込まれています。

2-4-3. 項目まとめ

現在はIND申請、そして臨床試験に向けて様々な研究開発を行っている段階です。
また臨床試験を開始できたとしても、試験自体に数年単位での時間が必要となるため、短期的に大きな成長を遂げるのは難しいでしょう。

ただ、免疫抑制なしで移植細胞が生存したことが発表されているので、こういった技術力がいつか実を結ぶかもしれません。

3. まとめ

クロとしては、サナ・バイオテクノロジー(SANA)を今すぐ保有するつもりはありませんが、移植治療の新たな道を切り開く可能性のある事業なので、長期的に見守っていきたい銘柄です。

ただ、製品開発中のバイオテクノロジー企業では、研究開発費が増え、新たな資金調達が必要となることも多いので、その点は注意しておきたいです。

今回の記事はSana Biotechnology Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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