ルート【ROOT】銘柄分析_テクノロジーを活用した自動車保険を提供

米国株の年次決算書・銘柄分析
スポンサーリンク

ルート(Root, Inc. / ROOT)の決算書(10-K)分析、事業内容などをまとめました。クロの判断は以下の通りです。

なお、銀行同様決算書がやや特殊なので、主に利息や全般的な収益・利益、事業ごとの伸び率に焦点を当てて見ていきます。

  • 2020年は売上増加・損失も増加
  • 直接損害率は低下したものの82%
  • 2020年10月にIPOしたばかり

それでは見ていきましょう。

1. Root, Inc(ROOT)について

1-1. 業種

損害保険

1-2. 事業の概要

ルートは、2020年10月にIPOした、主に米国内の31の州で”テクノロジーを利用して保険料を定める”自動車保険を提供する企業です。

従来の自動車保険とは異なり、一人ひとりの運転を評価して保険料を決定します。
顧客は、事故に繋がる運転行動が行われていないかを測定され、安全運転だと認められれば保険料が安くなる仕組みです。

顧客の獲得はモバイルアプリを通じて直接行われており、スマートフォンアプリのダウンロードと、数週間の運転を行うだけで、見積もりを受け取ることができます。(この数週間の間にスマートフォンのセンサーなどを通じて顧客の運転が評価され、保険料提示or保険加入不可の通知がなされる)

更に2021年6月10日には、GMのコネクテッドカーのドライバーであれば試運転期間を待たずに見積もりが受け取れる(これまでの走行データの提供を受けて見積もりを行う)”RootReady”も発表されました。

また、アプリに様々な機能が集約されており、事故に遭った際の請求などの手続きもアプリを通じて行えます。

ビジネスモデルの面では、顧客が増えれば増えるほどデータが蓄積され、運転評価の精度が向上するため、より損害率を低下させることができるとしています。
なお、クロスセルにも着手しており、2019年7月に賃貸用保険商品を、2020年5月には住宅保険商品を発売しました。

1-3. チャート

ルートの株価チャートはこのようになっています。IPO後は株価が大きく下がりました。
2020年末頃から一度は上昇したものの、2021年2月から再び下落し、現在は10ドル前後で推移しています。(2021年7月12日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 売上高と利益の推移

  • 2020年は売上増加・損失も増加
  • 収益のほとんどが自動車保険によるもの
  • 赤字続き
  • コロナ感染拡大の影響も有り

2-1-1. 総売上高

ROOTの総売上推移(2018~2020年)

売上は増加していますが、2020年はコロナ感染拡大の影響によって成長の鈍化があったとしています。

2-1-2. 純利益

ROOTの純利益(純損失)推移(2018~2020年)

赤字が続いており、その損失額も売上の増加と同様に増えています。

過去3年間とも、支払われる保険金・準備金とそれにかかる費用(人件費やソフトウェア費用なども含む)が大きく、それだけで売上高を超えてしまっている状況です。

2-1-3. 売上・損失・損害率の補足

売上のほとんどは自動車保険契約の販売から生まれています。

なお、元受保険料は約605百万ドルで、再保険会社へ出再した約283百万ドルを引いた322百万ドルが売上(収益)として計上されています。(総売上との差25百万ドルは、手数料収入や投資収益によるもの)

また、2020年の直接損害率(出再分を差し引く前の元受保険料に対して支払った保険金の割合)は82%で、2019年の99.9%から改善されています。

2-1-4. 項目まとめ

売上の増加や直接損害率の低下など、成長は見られます。
しかし、まだまだ収益化には程遠い状態です。

2-2. 財務状況・キャッシュフローについて

  • IPOで現金が大きく増加
  • 事業が赤字で、キャッシュフローは良くない

2-2-1. 資産・負債・資本について

IPOによって資本が増加しています。
これによって、現金・同等物が大きく増加した他、再保険料の前払いなども増加しています。

負債では、保険金や支払いに対する準備金が増えています。

また、転換優先株式はなくなり、普通株式のみになりました。

2-2-2. キャッシュフロー

2020年のキャッシュフローは、営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

これは、事業自体が赤字であることや、IPOによる株式発行(資金調達)によるものです。
また、一部投資による資産運用も行っています。

2-3. 収益性

  • 赤字続きでROE・ROAどちらもマイナス

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

ROOTのROE(自己資本利益率)推移(2018~2020年)

赤字なので、ROEはマイナスです。
2020年は純損失が増えていますが、IPOによる自己資本の増加があったため、マイナス値自体は小さくなりました。

なお、IPOによる一時的なものでしょうが、2020年の自己資本比率は59%あります。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

ROOTのROA(総資産利益率)推移(2018~2020年)

ROAもマイナスで、ROE同様に上下しています。

2-2-3. 項目まとめ

純損失が出ていること、また前述した保険料収入と保険金のバランスがまだまだ悪いことから、収益性はほぼ無い状態です。

3. まとめ

クロとしては、ルート(ROOT)の購入は見送りたいと思います。

スマホアプリを利用した手軽さは強みですが、データドリブン型保険が注目されてきている中、ルートのみが画期的なサービスを展開し続けるのは難しいと考えるからです。

テスラの一部車種のドライバー向けに、オートパイロットを利用していれば保険料が割引されるというサービスも打ち出していましたが、2019年からテスラ自身が自動車保険を販売し始めてしまいました。
他にもフォードがマイル単位の保険を販売するなど、走行データを容易に収集できるであろう自動車メーカー自体が自動車保険を販売し始めており、ルートが優位性を保つのは難しそうです。

ただ、今回GM車に対して発表された”RootReady”の拡大が進めば(拡大に取り組むことは明言されている)シェアを獲得することも可能です。

今回の記事はRoot, Inc.の決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました