リビアン(リヴィアン)・オートモーティブ(Rivian Automotive Inc / RIVN)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。
なお、リビアンは2021年11月10日にIPOしたばかりの企業で、売上もごく最近までゼロだったため、主に事業内容に焦点を当てた内容となっています。
- 2021年6月末時点で売上ゼロ
- ピックアップトラック、SUVを開発・製造し直販するビジネスモデル
- 商業市場向け車両ではアマゾンが出資&大量発注
- 2021年9月頃からピックアップトラックの納入が開始
それでは見ていきましょう。
■2021年度第4Q速報はこちら
1. Rivian Automotive Inc(RIVN)について
1-1. 業種
自動車・トラック(EV)、耐久消費財
1-2. 事業の概要
リビアン・オートモーティブは、2021年11月10日にIPOしたばかりのEV(電気自動車)メーカーです。
消費者向けSUV、ピックアップトラックと、商業市場向けバンを開発しており、2021年9月からピックアップトラック”R1T”の納車が既に始まっています。
また、IPOのために提出された書類(S-1)の中では「2021年12月にSUV”R1S”の納入を開始する予定」だとされており、2種類の主力商品が販売されるのはそう遠くない未来となりそうです。
なお、商業市場向けの車両製造・販売はもう少し先の話となります。
既に納車が始まっているピックアップトラックは日本ではあまり馴染みのない乗り物ですが、アメリカでは保険料や税金の安さから人気があります。
特徴はキャビンの後方に開放式の荷台がついていることで、ざっくりと説明すると前半分が普通の乗用車で、後ろ半分はトラックのような見た目をした小型貨物自動車です。
一方SUVは”Sport Utility Vehicle”の略、つまりスポーツ用の多目的車で日本でも人気が高いです。
悪路の走破性が高くパワフルで容量も大きいことから、レジャーやアウトドアに適した車となっています。
また、フランチャイズのディーラーを利用せず顧客直販モデルを採用し、独自のOSやクラウドプラットフォームの提供を行っていることも特徴です。
このプラットフォームには、流通からテレマティクス(車両の搭載機器をネットワークに接続し、渋滞予測や車両管理などに利用すること)、充電、接続管理などが一元化されたサブスクリプションサービスや、運用データの統合と分析を行うことで顧客満足度を高めるための材料を生み出す役割があります。
1-2-1. アマゾンの出資と大量発注
リビアンは、アマゾン(AMZN)が出資し、更に配送用バン10万台を発注したことでも注目されています。
一部”この10万台の発注はリビアンにかなり不利な契約内容だ”とする報道、指摘もありますが、EVの開発が達成されたばかりのリビアンの技術力を信頼した発注で”お墨付き”と受け取る人々も多くいます。
また、リビアンのIPO後、アマゾンは更に約2億ドル分(1株当たり78ドルの公開価格で)の株式を買い増しました。
1-3. チャート
リビアンの株価チャートはこのようになっています。2021年11月10日にIPOした後、78ドルの公開価格を上回る価格が付き、その後も株価は上昇しています。(2021年11月15日時点)
2. 決算書(10-K)の分析
2-1. 経営の安全性(資金繰り)
- 売上ゼロ&債務超過状態だったがIPOで改善
2-1-1. 資産や資本の比率
11月10日のIPOによって多額の資金を調達し、2020年末時点の財務状態から大きく変動しているため、詳細は割愛します。
2020年末時点では、負債の側面を持つ償還可能株式を除くと債務超過となる状態でした。
2-1-2. キャッシュフロー
2020年は営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスでした。
こちらも、2021年に少しずつ車両が納入開始されたことなどで、次回決算では変化が起きるはずです。
2-1-3. 項目まとめ
2020年末時点ではIPO前ということもあり債務超過状態でした。
しかし、IPOを経て資金は潤沢に確保できたため、次回決算では変わっているはずです。
2-2. 成長している・していく企業か
- 2021年6月まで売上はゼロ
- 注文数は約48,390件
- 2025年までにアマゾンへ10万台納入予定
2-4-1. 売上や注文について
2020年末および2021年6月時点で、売上は一度も計上されていません。
2021年7月~9月期もしくは10月~12月期に、ピックアップトラック”R1T”の納入分が売上として出てくると考えられます。
2021年9月末時点でのピックアップトラック”R1T”、SUV”R1S”の予約注文数は約48,390件です。
また、アマゾンから受注している配送用バン10万台は2025年までに納入予定としています。
ただ、車両の開発に伴い、純損失額は年々増加しています。
3. まとめ
クロとしては、リビアン(RIVN)は売上がまだ見えないものの、既に納入を開始しているピックアップトラック、SUVのEVメーカーとして、注目したい銘柄です。
ただ、アマゾンからの大量発注に加え”nextテスラ”という触れ込みもあってか、記事作成時点の株価は約130ドルとなっています。
売上がまだゼロ(納入開始で売上が出ているはずとはいえ、まだその額が公表されておらず、初期段階のため納入台数にも期待はできない)という状況でのこの株価は高いのではないかとも思います。
既に一定の開発成果を得ている新興EVメーカーとして期待したいですが、購入の際にはリスクの大きさを考慮して判断することをおすすめします。
ちなみにテスラ(TSLA)と同じくEVメーカーではありますが、目指す路線の一部は(価格帯は幅広いものの洗練されたイメージの高級車と、より身近でアウトドアにも適するピックアップトラック。両社ともSUVはラインナップしている)は少々異なっています。
今回の記事はRivian Automotive Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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