リー・オートモーティブ・ホールディングス(Ree Automotive Holding Inc / REE)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。
なお、2021年7月にSPAC IPOしたばかりの企業なので、記事作成時点の最新決算である2021年第3Q(9月締め)への言及が多くなっています。
- SPAC IPOしたばかり
- EV車両ではなく駆動部分のモジュール提供
- まだ開発段階だが様々な企業と提携している
それでは見ていきましょう。
1. Ree Automotive Holding Inc(REE)について
1-1. 業種
自動車部品(EV)、製造加工
1-2. 事業の概要
リー・オートモーティブは2011年に創業し、2021年7月にSPAC(特別買収目的会社)である10X Capitalとの合併を経てSPAC IPO(SPAC上場)、そして米国拠点も開設したイスラエルのEVベンチャー企業です。
”Connected(接続)”、”Autonomous(自動運転)”、”Shared&Services(シェア&サービス)”、”Electric(電動)”の4つのテーマとプラットフォームの”PL”を組み合わせた”PLACES”を目指して開発を行っています。
EV車両を販売するのではなく、プラットフォームを提供することを目指しているのが特徴で、同社の開発する製品はタイヤやモーター、ブレーキ機能などに関する部品を組み合わせた”REE corner”というモジュールです。
顧客は駆動機能をこのモジュールに任せることで、開発期間の短縮やメンテナンスコスト削減などの恩恵を受けながら、様々なEVを作成することができます。
また、各部品はコンパクトにまとめられている(一枚の板の周りにタイヤが付いているような見た目)ので、バッテリーや容積の向上が可能です。
トヨタグループの商用車メーカー”日野自動車”との共同開発など日本企業とも業務提携契約を結んでおり、先日(2021年12月14日)も日立製作所とEVデータ分析・活用分野で提携することを発表しました。
なお現在は、EVへの切り替え意欲が高いと考えられる商用車をターゲットとし、2022年の大量生産能力確保、そして2023年の商業生産開始を目指しています。
1-3. チャート
リー・オートモーティブの株価チャートはこのようになっています。
SPAC IPO後一度は値上がりしたものの、その後大きく下落し、しばらく4ドル前後で停滞していました。
しかし先日のニコラ(NKLA)の値上がりやEVへの注目の高まりに影響され、現在は上昇しています。(2021年12月29日時点)
2. 決算書(10-K)の分析
2-1. 経営の安全性(資金繰り)
- 2021年にSPAC IPOしたばかりで資金は潤沢
- 事業はまだ開発段階
2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

(単位:百万ドル)
これは2021年9月締めの第3Q(四半期)決算での財務状態です。
SPAC IPOしたばかりなので自己資本が潤沢にあり、貸借バランスは”安定タイプ”です。
2-1-2. キャッシュフロー
まだ製品を開発している段階のため営業活動によるキャッシュフローはマイナス収支です。
ただ、株式による報酬を多く付与しているため、株式報酬の戻入れ額が大きく、純損失額に対してキャッシュの赤字額は小さいです。
2-1-3. 項目まとめ
SPAC IPOによって多額の資金を調達し、ひとまず資金繰りには問題ありません。
2-2. 成長している・していく企業か
- レベル4自動運転システムの私道でのテスト実施
- 2021年第3Qに3件の特許付与、9件の新規出願
- イギリス政府から1,700万ドルの資金を獲得
- 従業員は2020年末の84人から231人へ増加
リー・オートモーティブは、自動運転ソリューションを開発・提供するNavya社と、レベル4自動運転システムの開発における提携を結んでいます。
今回このシステムの検証テストの第一段階が実施され、無事に完了したことを発表しました。
また、新たなパートナーシップ(配送トラックなどの車体・部品メーカーであるJB Poindexter社)なども発表されています。
更に従業員も増加し、積極的に開発を進めている様子がうかがえます。
3. まとめ
リー・オートモーティブ・ホールディングス(REE)は、他のEVベンチャーとは異なるアプローチで開発を進めており、非常に面白い企業だと思います。
様々な企業と提携していることもあり、品質の高い製品の完成も見込めるかもしれません。
ただ、予定通り2023年にこの事業が商業化できたとして、需要がどの程度あるのか少々気になるので、クロとしてはまだ保有するつもりはありません。
既にEV生産には多数の企業が参入しているため、”REE corner”を商業生産できるようになっても、現行の部品からこのモジュールへ切り替えてもらう必要が出てくるだろうと考えているからです。
しかし、この切り替えを行うメリットを明確に示せる優れた製品を完成させれば魅力的な事業となるはずなので、今後も追っていきたい銘柄です。
今回の記事はRee Automotive Holding Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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