レストラン・ブランズ【QSR】銘柄分析_バーガーキングなどのファストフード店を運営

米国株の年次決算書・銘柄分析
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レストラン・ブランズ・インターナショナル(Restaurant Brands International Inc / QSR)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Restaurant Brands International Inc(QSR)について

1-1. 業種

サービス、レストラン(ファストフード)

1-2. 事業の概要

レストラン・ブランズ・インターナショナルは、バーガーキング(Burger King)、ティムホートンズ(Tim Hortons)、ポパイズ・ルイジアナ・キッチン(Popeyes)といったファストフードレストランを運営する持株会社です。

2020年末時点では100ヶ国以上で約27,000店を展開しており、ほぼ全ての店舗がフランチャイズとなっています。
そのため、主な収益源にはサプライチェーンの売上とレストランでの売上、そしてフランチャイズによるロイヤルティとフランチャイズ加盟店に賃貸している不動産収入(賃料)があります。

なお、バーガーキングは日本でも有名なハンバーガー店、ティムホートンズはカナダで長く愛されているドーナツ店、ポパイズはフライドチキンをメインとしたファストフード店です。

2020年9月頃には、バーガーキングのドライブスルーとテイクアウトに特化した新店舗デザインを発表しており、今後もイートインの完全再開ではなくテイクアウトに注力すると発言しています。
このテイクアウトに関する方針は、安全・感染予防対策用品の導入費用削減、人員の削減などに繋がるとされています。

1-3. チャート

レストラン・ブランズ・インターナショナルの株価チャートはこのようになっています。2020年2月頃からのコロナ感染拡大で大きく下落したものの、数ヶ月後には概ね株価を戻しました。
その後じわじわと上昇していましたが、2021年6月頃から下降に転じています。(2021年10月9日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • ひとまずの資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は低め
  • キャッシュフローは比較的安定した内容

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるQSR貸借バランス

(単位:百万ドル)

各レストランを買収してきた経緯もあり、非支配持分(株式の保有率が100%より少ない子会社がある場合、その持っていない割合分は非支配持分となる)の自己資本が大きく左右の合計金額に差が出ています。
自己資本に非支配持分も含めて計算した場合の貸借バランスは”ギリギリ運用タイプ”、非支配持分を省いて計算すると不安タイプになります。

流動比率は約140%、当座比率も約130%で、短期の資金繰りに問題はありません。

固定比率が約947%と高すぎる数値ですが、返済期限の差し迫っていない固定負債と純資産(自己資本)でギリギリまかなえているといったところです。
なお、この固定資産の大きさは、主に各レストランのブランドなどに対する無形資産・のれんによるものです。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は16%(非支配持分を含めた場合)、非支配持分を省くと10%となります。
いずれにしても低い数値です。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスという”安定タイプ”の組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

事業の黒字によって営業活動はプラス収支、投資活動では事業に関する資産の取得を行いマイナス収支、財務活動は債務の返済や配当金の支払いなどでマイナス収支となっています。

また、2020年は営業活動からの収入額が減少しています。

2-1-4. 項目まとめ

複数のレストランブランドを買収していることによって固定資産が大きくなっています。
また、長期債務も大きいため、自己資本比率は低いです。
しかしひとまずの資金繰りは問題なく、キャッシュフローの内容も全体的に安定しています。

2-2. 収益性

  • 自己資本が小さくROEは高め
  • 各ブランド価値などが大きな資産として計上されているため
    ROAは米国平均の半分以下
  • 2020年はコロナ感染拡大によって不調

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

QSRのROE(自己資本利益率)推移_2020

ROEは高く出ていますが、自己資本が小さいため過信はできません。
また、2018年のROEが特に高いのは自己資本が他の年よりも小さかったためで、純利益は前年より減少しています。

2020年はコロナ感染拡大による影響もあり、売上、純利益共に減少しています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

QSRのROA(総資産利益率)推移_2020

ROAは若干低下傾向です。
純利益自体は2019年に一度増加に転じていますが、総資産の増加の方が大きかったため、ROAは下降しています。

2-2-3. 項目まとめ

事業は黒字ですが、無形資産やのれんで資産額が大きいこともあって、ROAは低いです。
ROEは米国平均より高いですが、ROAは米国平均の半分にも達していない状況です。

また、2020年はコロナ感染拡大によって不調でした。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率・固定資産回転率は低い
  • 在庫は少なく抑えられている

2-3-1. 各回転率

QSRの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2020

総資本回転率は約0.2回で、総資産に対する売上額は足りない状況です。
これも主な要因となるのは各レストランのブランド価値などが無形の資産として計上されていることで、仮にこれらを省いて計算すると約0.7回となります。

棚卸資産(在庫)は少なく、回転率が高いです。

2-3-2. 項目まとめ

各レストランのブランド価値などが資産として計上されているため、全体的な回転率は低いです。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 2020年は不調
  • 2021年上半期は回復(記事作成時点の最新決算は第2Q)
  • これまでの売上増加には買収も影響

2-4-1. 売上高と営業利益

QSRの売上高推移_2020

売上は増加傾向にありましたが、2020年はコロナ感染拡大の影響で減収となりました。

QSRの営業利益(損失)推移_2020

営業利益も同様に、2020年は減少しています。

しかし2021年は再び売上・利益共に増加し始めており、上半期の売上は前年同期比19%増加、同様の営業利益は47%増加となっています。(記事作成時点の最新決算は第2Q)

2-4-2. 項目まとめ

2020年は不調でしたが、2021年上半期は回復傾向を見せています。
ちなみに2021年上半期の売上は2,698百万ドルで、2019年同期間の売上2,666百万ドルと比較すると微増となっています。

ただ、2017年にポパイズを買収して以来、売上高営業利益率が少々下がっているのが気になります。(売上高営業利益率は2016年40%、2017年38%、2018年・2019年36%と推移)

3. まとめ

クロとしては、レストラン・ブランズ・インターナショナル(QSR)はコロナ後の社会での需要増、新様式の店舗展開に期待したい銘柄の一つなので、他と比較検討したいと思います。

ここ数ヶ月は株価が下げ基調にありますが、決算内容は悪くはありません。
ただ、第3Qはデルタ株の影響(売上などの不調)が出る可能性もあるため、株価の変動を気にする場合は購入する前によく検討しておきたいです。

既にコロナによる下落前の株価水準には戻っていますし、グロース株のような売上増加は見込めないので、キャピタルゲイン目的の投資にはあまり向いていない銘柄ともいえます。
なお、割安性指標はPER:26.34、PSR:3.52となっています。
■PER、PSRがBloomberg(https://www.bloomberg.co.jp)の数値を参照。2021年10月9日閲覧

年間配当は増加を続けており、2020年は2.08ドルありました。記事作成時点の株価約62ドルで計算すると、配当利回りは3.4%となります。
また、2021年7月に10億ドルを上限とした株式の買戻しが承認されたので(期限は2023年8月10日)、今後自社株買いが行われるかもしれません。

今回の記事はRestaurant Brands International Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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