ペイパル・ホールディングス(PayPal Holdings Inc / PYPL)の2022年度第1Q決算について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。
■ペイパルの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
前四半期はアナリスト予想を下回るEPSでしたが、今四半期は予想値とほぼ同じ結果となりました。(なお、端数で予想値を上回っている)
また、売上も予想値を超えています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
売上は四半期ごとに増減しており、更に純利益に関しては減少が続いています。
なお、2020年度と2021年度を通年で比較した場合も純利益は減少していましたが、事業そのものからの利益を表す営業利益は増加していました。(ちなみに純利益減少の主な要因には、投資などの事業外利益が減少したことが挙げられる)
しかし今四半期を見ると、前年同期比で売上が7%増加したものの、営業利益が32%、純利益が54%減少するという結果になっています。
純利益の減少には一部法人税等の調整による影響もありますが、事業に関する費用が増加し利益を圧迫している点は気がかりです。
3. その他の補足
3-1. ガイダンスについて
2022年度第2Q(4月~6月)のガイダンスでは、最大9%の成長を見込んでいます。
2021年度第2Qの売上は6,238百万ドルなので、9%増加した場合の売上は約6,799百万ドルとなります。
これは、アナリスト予想(※Yahoo!financeより。2022年4月28日閲覧)の7,080百万ドルを下回る内容です。
また、通年での売上ガイダンスは”11%~13%の成長”に引き下げられました。(引き下げ前は14%以上、最大17%とされていた)
2021年度の売上は25,371百万ドルだったため、予想値の上限である13%の成長を達成した場合、2022年度の売上は28,669百万ドルとなります。
こちらもアナリスト予想の29,250百万ドルを下回る内容です。
こういったガイダンス引き下げの背景には、強いインフレやサプライチェーンへの圧力、世界情勢(ロシア、ウクライナなど)への懸念があるようです。
3-2. アカウント数・決済総額
2022年第1Qに、新たに240万の新規アクティブアカウントが追加されました。
これでアクティブアカウントの合計は約4億2,900万となります。
また、2022年度通年では約1,000万の新規アクティブアカウントが増加する見込みです。
決済ボリュームを見ると、2022年第1Qは前年同期比で15%増加しており、3,230億ドルとなりました。
ただ、前四半期の3,400億ドルからは減少しています。
3-3. ビジネスについて
プレスリリースでは、PayPalデジタルウォレットの新機能”貯蓄”の米国での導入や、日本・ドイツでの新しい後払いサービスの開始などが紹介されています。
4. まとめ
ペイパル・ホールディングス(PYPL)の2022年度第1Qは、利益減少、ガイダンス引き下げ(アナリスト予想を下回る)など、少々残念な内容となりました。
インフレなどのマクロ的な要因が大きな原因と見られ、業績がすぐに大きく好転することはなさそうです。
ただ、第1Qの業績は市場の予想よりも良い結果だと受け止められているようで、決算発表後、ペイパルの株価は時間外で上昇しています。
今後は利益の確保に努めていくようなので、その点も注目していきたいです。
(ペイパルの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事はPayPal Holdings Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
過去の分析記事はこちらに一覧化しています。
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