2021年6月四半期決算【PACB】PacBio

米国株の四半期決算
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先日発表されたパシフィック・バイオサイエンシズ・オブ・カリフォルニア(Pacific Biosciences of California, Inc. 略称PacBio / PACB)の6月締め四半期決算(2021年第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。

PacBioの事業内容や年度末決算について紹介した記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較

アナリスト予想と実際のEPSの差は小さく、予測値を前後しています。

PACBのEPS_アナリスト予想と実績比較

ちなみに、第2Qの売上高は予想をギリギリ達成しました。

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

PACBの売上高・純利益(損失)

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

2021年第2Qは、第1Qと比較して売上が増加し、純損失は減少しました。

第1Q(3月締め四半期)には、イルミナから受けていた融資の返済が費用として52百万ドル計上されており、損失額が膨らんでいました。
(イルミナからの継続融資は元々、PacBioが1億ドル以上を調達できた場合は無利子で返済する契約になっていた。PacBioは転換社債で資金を調達したため、返済を行った)

純損失が減少したとはいえ、第2Qも原価に17百万ドル(粗利は約14百万ドル)、研究開発費22百万ドル、販売費や管理費で29百万ドルがかかっており、営業損失は売上を超える37.57百万ドルとなっています。

なお、2021年第2Qは、前年同期比で売上が80%増加、純損失が78%増加しています。

3. その他の補足

3-1. 上半期の比較

2020年はコロナ感染拡大によって顧客の操業停止やシステム導入の延期などの悪影響があったこともあり、2021年上半期の売上などの伸び率は大きいです。

2021年上半期と2020年上半期を比較すると、総売上高は82%増加、粗利は90%増加しています。

しかし同時に費用も増加しており、最終的な純損失額は490%近く増加しました。(※イルミナへの返済を除くと250%の増加)

なお、原価77%の増加で、売上の増加より少々低い結果となっています。
研究開発費や販売・管理費等の運営費用の合計は39%の増加です。

3-2. 買収

ショートリードDNAシーケンス(DNA配列)のプラットフォームを開発するOmniome社、高分子DNA抽出を手掛けるCirculomics社の買収を発表しました。

PacBioの手掛けるDNAシーケンシングはロングリードなので、Omniome社のショートリードプラットフォームも手に入れることで、製品ポートフォリオを充実させることができます。
Omniome社の買収価格は普通株式940万株と現金3億ドル合わせて約6億ドルとなっており、これに伴って第三者割当増資で株式を発行し、約3億ドルの資金を調達することになっています。

Circulomics社の買収条件は公表されていませんが、ロングリードに適したサンプル処理製品などを扱っている会社なので、PacBioは今回の買収によって”より簡単で高品質なサンプル抽出・ライブラリの作成への取り組みを加速できるだろう”としています。

4. まとめ

PacBio(Pacific Biosciences of California, Inc.)は、売上は増加傾向にあるものの、費用も増え続けています。

事業の幅を広げる買収を行っているので、それによる展開には期待していますが、現時点ではまだあまり大きな成長を感じられません。

(PacBioの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のPacific Biosciences of California, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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