先日発表されたエヌビディアの最新決算や今後期待できる点をまとめました。
最近は再び下落傾向となっているエヌビディアですが、株価上昇を期待できるのでしょうか。早速見ていきましょう。
1. エヌビディアとは
エヌビディア(NVIDIA Corp / NVDA)は半導体プロセッサ”GPU”の大手開発企業です。
主にゲーム用やデータセンター、マイニング市場で支持を集めています。
また、先日はデータセンター向けCPU”Grace”を発表し、新たな市場でどこまで健闘できるのか注目されます。
他にも、メタバース・プラットフォームである”Omniverse”を提供しています。
■続く株価の下落理由やマイニング市場におけるGPU需要の変化については、こちら↓の記事でまとめています。
2. 決算・ニュース
2-1. EPS・売上/第2Q結果
- EPS 予測0.5ドル/実績0.51ドル
- 売上 予測6,699百万ドル/実績6,704百万ドル
2023年度第2Q(5月~7月)も、エヌビディアはアナリスト予想(※TradingViewより引用。2022年8月29日閲覧)をクリアしました。
ただ、前回決算時のガイダンス”売上81億ドル(8,100百万ドル)±2%”は達成されませんでした。
今回の売上6,704百万ドルは、前年同期比では3%の増加となりますが、前四半期と比較すると19%の減少という結果です。
売上の大まかな内訳としては、最も大きいデータセンター向けの売上が3,810百万ドル、ゲーム用が2,040百万ドル、メタバースなどのセグメント(プロフェッショナルな映像・視覚化技術)が496百万ドル、自動車向けが220百万ドルとなっています。
売上の半分以上を占めるデータセンター向けGPUの売上は、前年同期比では61%増加していますが、前四半期と比較するとわずか1%の増加にとどまります。
この伸びの鈍化には、中国のロックダウンや景気の低迷、サプライチェーンの混乱が影響していると述べられました。
また、ゲーム用GPUは販売価格の見直しも行われ、売上は前年同期比33%減少、前四半期からは44%減少という厳しい状況となっています。
このゲーム用GPUの不調には、以前から懸念されていたマイニング市場での需要の低下が大きく影響していると考えられますが(ゲーム用GPUが一部マイニングに使用されているため)その影響度合いを測るのは難しいとしています。
利益面でも結果は芳しくなく、前年同期、前四半期は65%程度あった粗利率が44%に低下しており、更に研究開発費の増加などによって営業利益が大きく減少(前年同期比では80%減少、前四半期との比較では73%減少)しています。
なお粗利率の低下には、需要予測の修正による在庫引当金1,220百万ドルと保証引当金122百万ドルの設定が大きく影響しています。
2-2. 2023年度第3Qのガイダンス
2023年度第3Q(8月~10月)の売上ガイダンスは、59億ドル(5,900百万ドル)±2%としています。
これは今四半期よりも更に売上が減少(前年同期比でも減少)する予測です。
マイニング市場の影響で需要の低下が見られるゲーム用GPUについては、新製品発売に向けた在庫調整を行うとしています。
ただ、粗利率は62%まで上昇し、一方で営業費用は2,590百万ドルと見込まれる(今四半期の2,416百万ドルから大きく増加しない)ため、営業利益はある程度回復すると見られています。
2-3. 巻き返しに期待したいポイント
2023年度(1月締め決算)後半~それ以降での巻き返しに期待できそうなポイントとしては、今四半期は不調だった中国のデータセンター向けGPUの需要回復や、新製品(データセンター向けCPUなど)の展開、メタバース関連での展開などが挙げられます。
また、AI、自動運転開発・実現においても、エヌビディアのGPUやソフトウェア・プラットフォームは支持を集めており、今後の発展に期待が持てます。
3. まとめ
エヌビディア(NVDA)の今四半期は、自身が提供した売上ガイダンスに到達しないという残念な結果でした。
引当金を設定したことで利益も圧迫され、更に次四半期も減収となる見込みです。
ただ、これらが明らかになったことで、不安点・悪材料が一旦出尽くしたと捉えることもできます。
在庫などの引当金が設定されたことで、今後の販売不調が業績に与える影響をある程度抑えることができますし、今回発表された弱気なガイダンスも株価へ織り込まれていくでしょう。
クロとしても、株価の動きや新たな発表など、引き続き追っていこうと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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