2021年12月23日の木曜日から、ニコラ(NKLA)の株価は急上昇しています。
一時は虚偽広告問題で株価が急落したこともあるニコラにどんなニュースがあったのか、今回は事業内容やその広告問題も含めまとめていきます。
- ニコラはSPAC IPOしたEV・FCVメーカー
- 虚偽広告・虚偽説明があったと問題になり会長は辞任
- 元会長は起訴、ニコラは制裁金支払いで和解
- 先日初のトラック納入を完了した
1. ニコラ(NKLA)とは
1-1. 会社概要
ニコラ(Nikola Corp / NKLA)は新興EVメーカーで、主にトラックに焦点を当てて開発を行っていること、そして水素を用いた燃料電池を採用した車両も開発しているのが特徴です。
燃料電池車はFCV(Fuel Cell Vehicle。Fuel Cell Electric VehicleでFCEVとも言う)と呼ばれ、BEV(Battery Electric Vehicle。テスラなどはこれにあたる。EVというと、このBEVを指すことが多い)の蓄電池とは異なり自ら発電を行うことができ、開発に成功すればBEVより長距離の走行が可能になるとされています。
なお以前はニコラモーター・カンパニー(Nikola Motor Company)という社名でしたが、現在はニコラ(Nikola Corp)の子会社という扱いです。
また、SPAC IPOブームにいち早く乗り、ナスダックへ上場した企業でもあります。
より詳しい事業内容や財務状態などをまとめた銘柄分析記事もこちらにあります。
1-2. 虚偽広告問題
一時は株価が90ドルを超えるほど期待を集めたニコラでしたが、次第に株価は下がり始め、虚偽の広告を行ったとするレポートが発表されると更に下落する事態となりました。
この虚偽情報として注目されたのが、自社が開発したFCVトラック”Nikola One”の走行している様子を撮影したPR動画です。
動画ではモーターの力で走っているように見えたトラックが、実は坂道を惰性で下っていただけのものだったのです。
他にも、自社開発の部品だとしていたものが外部から調達したものだったり、格安で水素を供給できるという発言や予約数に関する発言が嘘だったりと、様々な疑惑・虚偽が発覚しました。
2021年7月にはニコラの創業者で元会長であるトレヴァー・ミルトン氏が詐欺容疑で起訴(ミルトン氏は無罪を主張。その後保釈金を支払って保釈となっている)されていますが、ニコラという企業自体は起訴されていません。
2. なぜ株価が上がったのか
2-1. EVトラックの納入に成功
12月23日、ニコラの公式Twitterが「最初の顧客への(トラックの)納入を行った。そしてこれから更にあるだろう」といったツイートを、実際の納入の様子を写した写真付きで投稿しました。
リビアン(RIVN)やルーシッド(LCID)も最初の納入を完了させたことによって期待が高まっていますが、ニコラもその段階をクリアしたことになります。
また、ニコラは前述した虚偽広告・虚偽情報で少々懐疑的な目を向けられていましたが、実際に開発は進んでいたことを証明することにもなりました。
ただ、今回納入されたのは燃料電池を使用したFCVではなく、バッテリー式電気自動車のBEV車両です。
なお、実際に納入が行われたのは1週間前の12月18日でした。(この時もTotal Transportation Services社へ初の顧客納品を行ったと発表している)
休暇中という時期的な要素や、グロース銘柄に厳しい地合いも相まって、今回の市場の反応には少々時間が空いたようです。
2-2. 新たな合計100台の受注
運送会社であるHeniff Transportation Systems社へ10台のトラックを、2022年前半に納入する予定を発表しました。
また、テスト期間を経た後、90台を追加で納入できる予定です。
2-3. 虚偽広告・詐欺問題が和解
2021年12月21日、SEC(米国証券取引委員会)は一年の調査の末、制裁金1億2500万ドルでの和解となったことを発表しました。
”虚偽の情報によって投資家から資金をだまし取った”という疑惑について、ニコラに責任があるというSECの判断ではありますが、今回の和解金でやっとこの問題に終止符を打てたのではないかという見方があるようです。
2-4. EV分野全体への注目度
テスラ(TSLA)の快進撃や世界的な環境意識の高まり、更に期待を集めるリビアンやルーシッドといったベンチャーEVメーカーの初回納入完了のニュースなどを受け、2022年は更に盛り上がるのではないかと電気自動車・燃料電池車業界(またその関連企業)は非常に注目を集めています。
その真っ只中に飛び込んできた明るいニュースだったため、ニコラがこれから盛り返していくのではないかと期待が集まった側面もあるでしょう。
3. まとめ
ニコラ(NKLA)は一時テスラの競合の筆頭として挙げられていたメーカーですが、虚偽説明によってその状況は一変しました。
しかし最近の一連のニュースによって、事態は改善してきています。
ただ、個人的にはまだニコラを保有したいとは思いません。
過去に大きな虚偽説明を行ったという点だけでなく、水素や燃料電池で有名なプラグパワー(PLUG)の決算などを見ていると、燃料電池に関してはまだまだ利益化が難しいと考えているからです。
EVに関してはテスラの利益の伸びを見て期待が集まっている側面がありますが、燃料電池も使用するとなると話はかなり変わるのではないかと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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