エバースピン・テクノロジー(Everspin Technologies,Inc. / MRAM)の12月締め四半期決算(2021年度第4Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■エバースピン・テクノロジーの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較(EPS)
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
(単位:千ドル)
四半期ごとに売上・利益が増加しています。
前四半期と比較すると売上は23%増加しており、前年同期比では売上が82%増加・赤字から黒字へ転換という結果になりました。
また、MRAM製品売上のみを見ても、前年同期の970万ドル(9,700千ドル)から、1,260万ドル(12,600千ドル)へ30%増加しています。
なお、今四半期のライセンス・ロイヤルティ等による売上には、一部、前四半期(第3Q)に結ばれた契約の残額(395万ドルが今四半期=第4Qの収益として認識された)が含まれています。
粗利率も上昇しており、前年同期の52%、前四半期の57%に対して63%となりました。
また、営業費用については、前年同期比20%の増加となっています。
3. その他の補足
3-1. 通年の結果
2021年度の売上は55,146千ドル、純利益は4,343千ドルでした。
売上は前年比31%増加、そして純損失8,512千ドルから黒字へ転換という結果です。
ただ、この成長はライセンス・ロイヤルティ、特許の売却によるところも大きく、製品売上が前年比10%の成長にとどまっているのに対し、ライセンスなどを含むその他収益は41%増加しています。
3-2. ガイダンス
2022年第1Qのガイダンスでは、売上が1,340万ドル(13,400千ドル)~1,420万ドル(14,200千ドル)になると予測しています。
これは前年同期比30%~38%の成長が見込まれた数値ですが、今四半期よりは減少する予想です。
また、製品開発費用やサプライヤーからの値上げを反映し、GAAP EPSを-0.03ドル~0ドルと見込んでいます。
エバースピン・テクノロジーは、基本的にGAAP EPSを報告しているため、先述した表のEPSと比較可能です。(前年同期は-0.02ドル、今四半期は0.19ドル)
なお、アナリスト予想(※Yahoo!financeより)は、EPS 0.03ドル、売上13.2百万ドル(1,320万ドル)で、EPSは予想値に達していないものの、売上は僅かにガイダンスが上回る内容となっています。
また、供給面での制限が続くと予想されることから、需要が後ろ倒しになり、第2Qに強まる可能性も示されました。
4. まとめ
エバースピン・テクノロジー(MRAM)は直近の業績を伸ばしてきており、実績ではアナリスト予想もクリアしましたが、次の四半期は一旦減速となりそうです。
また、2021年は製品売上以外が大きな成長を見せた一年だったので、2022年以降に同様の伸びが見込めるかは少々気になります。
しかし、市場のこれからの成長に期待しているので、次年度も黒字となることを願いつつ、今後も追っていきたいと思います。
今回の記事は2020~2021年のEverspin Technologies,Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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