保険・コンサル大手マーシュ・アンド・マクレナン【MMC】銘柄分析_2021決算更新版

米国株の年次決算書・銘柄分析
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マーシュ・アンド・マクレナン(Marsh & McLennan Companies, Inc. / MMC)の決算書(10-K)・銘柄分析を、2021年決算を踏まえた内容に更新しました。クロの判断は以下の通りです。

なお、現状は監査前の数値での更新となるため、後日修正となる場合があります。何卒ご了承ください。
未発表の数値を使用する部分は後日更新します。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Marsh & McLennan Companies, Inc.(MMC)について

1-1. 業種

保険ブローカー、金融、サービス

1-2. 事業の概要

マーシュ・アンド・マクレナンは、リスク、戦略、人材の分野において、顧客へアドバイスやサービスを提供するグループで、保険ブローカーである”マーシュ”や人事コンサルティングの”マーサー”など、複数の企業で構成されています。

リスク・保険サービス事業コンサルティング事業の2つを柱とし、具体的には、人材やブランドなどの専門的なコンサルティング、リスク管理サービス、保険や再保険(保険者側が、責任の一部~全部を別の保険者に移転=更に保険をかけること)の仲介、資産運用などの事業を行っており、130ヶ国以上で展開しています。

コンサルティング分野は、保険会社のコンサルや経営コンサル、投資コンサルなど多岐にわたります。

また、顧客用のアナリティクス・プラットフォーム、保険を提供するための仲介プラットフォームなどデジタル・ITによるサービスも提供しています。

1-3. チャート

マーシュ・アンド・マクレナンの株価チャートはこのようになっています。
2020年2月のコロナ感染拡大で一時的に下落したあと、2021年末頃までは上昇を続けていました。
しかしその後、一部投資ランクの格下げや市場全体への下方圧力によって下落が続いています。(2022年1月31日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • ひとまず資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は高くないが問題はなし
  • キャッシュフローも安定

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年決算書におけるMMC貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”ギリギリ運用タイプ”です。

流動比率は約124%、当座比率は約110%で、ひとまず短期の資金繰りは問題ありません。
また、昨年とほぼ変わらない数値を維持しています。

固定比率は約233%ですが、今回も純資産と固定負債でまかなえているので問題ありません。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約33%で、昨年から少々上昇しました。
また、特別高い数値ではないものの、問題はありません。

2-1-3. キャッシュフロー

2021年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスという”安定タイプ”の組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

事業は黒字で、営業活動のキャッシュフローは大きなプラス収支です。

支出としては、財務活動での自社株買い、配当金の支払い、債務の返済の3つが大きく、いずれも10億ドル以上を投じています。

2-1-4. 項目まとめ

債務が若干大きいですが、キャッシュフローは安定していますし、資産も流動性も最低限確保されているため、問題はありません。

2-2. 収益性

  • 純利益が増加中
  • 2021年は収益性向上…平均を少々上回る

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

MMCのROE(自己資本利益率)推移_2021

2021年は、純利益・自己資本がどちらも増加していますが、ROEも上昇しています。
米国平均とされる16%~18%を大きく超える結果です。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

MMCのROA(総資産利益率)推移_2021

2021年はROAも米国平均を若干上回りました。

2-2-3. 項目まとめ

2021年は収益性が向上し、米国平均を超える結果となりました。

2-3. 経営の効率

  • 買収を繰り返しており、のれんが大きい
  • 棚卸資産はなし

2-3-1. 各回転率

MMCの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2021

総資本回転率は昨年より若干上昇したものの、まだ最低ライン1回には届きません。
これは買収を繰り返してきたことによって、のれんなどの資産が大きく膨れ上がっていることが主な要因です。

棚卸資産はありません。

2-3-2. 項目まとめ

買収を繰り返して成長してきたため、資産(主にのれん)が大きく、回転率の上昇が妨げられています。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上・営業利益が大きく増加
  • 報酬費用・福利厚生費は他の費用より大きく増加
  • 2021年も買収を行い事業拡大には積極的

2-4-1. 売上高と営業利益

MMCの売上高推移_2021

売上は増加を続けています。2021年の伸び率は前年比15%となりました。

MMCの営業利益・損失推移_2021

2021年は前年比41%増加と、営業利益も大きく増加しました。

売上が大きく伸びた一方で、報酬費用や福利厚生以外の営業費用は2020年とあまり変わらなかったため、その分利益が大きくなりました。

2-4-3. 項目まとめ

積極的な買収による事業拡大と売上・利益の増加が続いており、成長に意欲的な姿勢が見られます。

一方、2019年以降の”報酬費用や福利厚生”と”その他営業費用”の増加率を比較すると、前者の方が大きく(その他営業費用はむしろ若干減少している)、多くの企業で懸念されている賃金のインフレが今後更に利益を圧迫しないか気になります。

3. まとめ

クロとしては、マーシュ・アンド・マクレナン(MMC)は引き続き追っていきたい銘柄です。
市場全体の不安定さがあったため一度売却してしまいましたが、今後の四半期決算などを見つつ、タイミングがあれば保有したいと思います。

2021年は収益性が上昇し全体的に好調な結果でしたが、今後の金融引き締め施策の影響は注視しておきたいです。

今回の記事はMarsh & McLennan Companies, Inc.の決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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