マコーミック【MKC】銘柄分析_増配を続ける世界最大の調味料メーカー

米国株の年次決算書・銘柄分析
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マコーミック・アンド・カンパニー(McCormick & Company Inc)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. McCormick & Company Inc(MKC)について

1-1. 業種

食品加工(調味料)

1-2. 事業の概要

マコーミック・アンド・カンパニーは、世界最大の調味料メーカーです。
日本ではあまり知名度が高くありませんが、アメリカではNo.1ブランドとされ、イギリスやフランスでのシェアは約3割~5割にまで達しています。(なお、日本でもユウキ食品が取り扱っています)

幅広いスパイスやシーズニング、ソースなどを、小売店、食品メーカー、外食産業といった、食品業界全体へ提供する企業です。

事業はコンシューマーセグメント(消費者向け)とフレーバーソリューション(食品メーカー・外食産業向け)の2つを柱としており、コンシューマーセグメントの方が利益率が高いとされます。

主要な拠点・施設は、北米、ヨーロッパ、中国にあるとされており、他にもオーストラリア、中央アメリカ、タイ、南アフリカに拠点を保有しています。

また、マミーコックは配当面でも魅力的です。
記事作成時点では35年連続で増配中となっており、直近の2021年度(11月締め)決算では、四半期配当を1株あたり0.34ドルから0.37ドルへ8.8%引き上げることが承認されました。

1-3. チャート

マコーミックの株価チャートはこのようになっています。
2020年2月頃の新型コロナ感染拡大による急落、そしてその後の急上昇の後、8月頃から下落傾向が続きました。
しかし2021年10月頃からは上昇に転じています。(2022年4月26日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 資産の流動性が低い
  • 自己資本比率は34%
  • 事業は安定した黒字

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

MKC貸借バランス_2021

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”不安タイプ”です。

流動比率、当座比率ともに100%を切っており、特に、在庫など現金化に時間のかかる資産を省いた当座比率は28%と低いです。

また、記事作成時点での最新決算となる2022年2月(第1Q)決算でも、この比率は低い状態が続いています。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約34%で、ひとまず十分な数値と言えます。

2-1-3. キャッシュフロー

営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

事業が黒字で営業活動によるキャッシュフローもプラス収支ですが、投資活動での事業買収による支出がかなり大きな出費となりました。

また、財務活動では配当の支払いや借入の返済が行われていますが、新たな借入額の方が大きい状態です。

2-1-4. 項目まとめ

企業としての信頼があるため借入・債務による資金調達は今後も可能ではあるでしょうが、あまり健全な財務状態ではありません。

ただ、自己資本比率は低くなく、事業は安定して黒字となっています。

2-2. 収益性

  • 2020年度・2021年度は利益増加
  • ROE・ROAは低下傾向も平均程度の数値

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

MKCのROE(自己資本利益率)推移_2021

ROEは年々低下しているものの、米国平均とされる数値の範囲内です。

利益額を見ると2019年度に一度大きく減少しており、その後の2020年度、2021年度はそれぞれ前年度の利益を超えています。
ただ、それ以上に自己資本額の増加が大きいため、ROEは下がっている状態です。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

MKCのROA(総資産利益率)推移_2021

ROAもROE同様、低下傾向です。
総資産も年々増加が続いています。
なお、2021年度のROAは米国平均を若干下回りました。(平均値は6~8%とされる)

2-2-3. 項目まとめ

直近は少しずつ利益が増加していますが、資産の増加の方が大きく、収益性は低下気味です。
ただ、それでも米国平均に近い数値を達成しています。

2-3. 経営の効率

  • 買収の影響で全体的な回転率は低め
    →これを省けば許容範囲内
  • 在庫は比較的多い

2-3-1. 各回転率

MKCの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2021

総資本回転率は約0.5回と、最低ラインの半分程度です。
事業買収を何度も行っているため、のれん資産などが大きいことが影響しています。
こういった資産を省いて計算すると許容範囲内の数値にはなりそうです。

棚卸資産回転率は製造業の平均に達しておらず、比較的低い数値です。

2-3-2. 項目まとめ

回転率はあまり高くありません。
のれんを省けば許容範囲内の数値となりますが、事業を得るためにそれだけ資金を投じたことを表す資産でもあるため、回転率向上に期待したいです。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 成長率は高くないが売上は年々増加
  • 営業利益も増加傾向
  • 2021年度の粗利率は1ポイント低下
  • 売上高研究開発費率は低め

2-4-1. 売上高と営業利益

MKCの売上高推移_2021

2021年度の売上は、前年度比13%増加と大きなものになりました。
新型コロナに対する巣ごもり需要がコンシューマーセグメントを、一方新型コロナによって打撃を受けていた外食産業の回復がフレーバーソリューションセグメントを後押ししています。
また、買収による売上増加も影響しました。

なお記事作成時点の最新決算となる2022年度第1Q(12月~2月)は、売上が前年同期を上回ったものの、営業利益・純利益が減少しています。

MKCの営業利益(損失)推移_2021

営業利益も売上同様増加が続いていますが、その伸び率は控えめです。(2021年度は前年度比約1.5%の増加)

粗利率を見ると、2019年度~2020年度の40%~41%から、2021年度は39%へ低下しているのがわかります。

また、買収後の事業統合に関するもの、マージンの低い事業からの撤退に関するものなど、一時的な費用が発生したため、これらも利益を圧迫したようです。

2-4-2. 研究開発費

売上高は約6,317.90百万ドル、研究開発費は約87.30百万ドルだったので、売上高研究開発費率は1.38%となります。
科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は3.5%とされているため、マコーミックの売上高研究開発費率は平均より低いと言えます。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

大きな成長はありませんが、2021年度に利益率の低い製品ラインの見直しや、価格の再設定を行いました。
これらの施策は、2022年度の利益率に良い影響を及ぼしそうです。
ただ、今なお続くインフレは大きな逆風となるため、あまり楽観的に見ることもできません。

なお、マコーミック自体の製品ブランドや知名度が高いこともあり、多少の波があったとしても、将来的な需要は続くものと考えられます。

3. まとめ

クロとしては、マコーミック(MKC)は、市場の様子を見つつ保有を検討したい銘柄です。

大きな成長には期待しづらい銘柄ですが、幅広いラインナップと大きなシェアを持っており、今後も安定した需要があるのではないかと期待しています。

ただ、現在の米国株市場は金融引き締め議論や世界情勢などによって不安定な状態なので、一気に購入してしまうのは控えようと思います。

今回の記事はMcCormick & Company Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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