新型コロナの新たな変異株”オミクロン株”や、パウエル議長の”インフレは一時的ではない”という発言に端を発したテーパリング加速議論などによって下落が続く株式市場ですが、現在、米政府の債務上限が再び問題となっています。
問題の内容や、先日可決されたつなぎ予算との違いなどをわかりやすくまとめていきます。
1. 米国政府の債務上限問題とは
1-1. 問題の概要
米国政府の債務とは国債の発行などによる国の借金です。
そしてその上限である債務上限は、この借金の限度額ということになります。
現在、この限度額が足りなくなっているのです。
もしこの限度額を完全に使い切ってしまうと新たな国債の発行ができなくなり、その状態で手元の現金も尽きてしまった場合、たとえ政府であっても債務不履行(デフォルト)に陥ってしまいます。
過去にも同様の問題はありましたが、その度に議会の承認を経て、上限の引き上げなどの対応がなされてきました。
しかしこの承認を得るには与野党の駆け引きなどが行われ、債務不履行に至ったことは無いものの、何度も政治問題となってきた過去があります。
今回も民主党と共和党の対立から、債務上限引き上げ・一時停止(凍結)は難航しています。
1-2. 経緯と期限
今年(2021年)の9月下旬頃にも同様の問題が持ち上がっていましたが、10月7日、12月までの期限付きで債務上限を引き上げることに成功していました。
今回は、この新たな期限が迫ったことによる議論の再開です。
イエレン財務長官によると、債務上限が引き上げ・一時停止されない場合、12月15日以降の資金繰りに問題が生じる恐れがあるとされています。
1-3. つなぎ予算との違い
12月2日に期限(12月3日が期限だった)ギリギリで可決されたつなぎ予算と一緒に報じられることの多い債務上限問題ですが、つなぎ予算は政府の借金ではなく、政府が資金の使い道を決めるものです。
そのため、つなぎ予算(もしくは通常の予算)が可決されない場合、政府機関に支払うべき資金の手当てができないことになり、政府機関が閉鎖されてしまうリスクが生まれます。
なお、過去には予算が可決されず、実際に政府機関が閉鎖したこともあります。(過去の指数チャートを見ると株価の暴落が続いたというようなことはないものの、数十億~数百億ドルの経済的損失を生んだと言われている)
ちなみに12月2日に可決され成立したつなぎ予算は2022年2月18日までのものです。
2. まとめ
再び熱を帯びてきた米政府のデフォルトリスクに関する議論ですが、クロ個人としては期限ギリギリで解決するのではないかと思っています。
というのももし本当に米国債がデフォルトとなった場合、アメリカの経済に大きな混乱が起きるのは間違いないですし、世界各国への影響の波及も避けられないので、あまりにも問題が大きくなりすぎるからです。
ただ、そこまで大きなリスクだからこそ、市場に下げ圧力がかかる可能性も十分あります。
変異株やインフレ、更に12月3日に発表された雇用統計(非農業部門雇用者数)が予想を大きく下回るなど不安要素の多い状況なので、今は新たな購入を避けて保有株を売却し、キャッシュを多くしておきたいと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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