ロッキード・マーチン(Lockheed Martin Corporation / LMT)の9月締め四半期決算(2021年第3Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■ロッキード・マーチンの事業内容や年度末決算をまとめた記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
今期はEPSはアナリスト予想を達成したものの、売上が予想を6%も下回りました。
また、EPSもこれまでの約3分の1に低下しています。

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
売上は前期と比べると6%減少しており、前年同期比では3%の減少となりました。
純利益は特に減少幅が大きく、前期比66%、前年同期比64%減少しています。
ただ、この純利益の減少は事業の不調ではなく、年金費用の支払いが大きかったことが主な原因です。
事業からの利益額を示す営業利益は2,294百万ドルで、前年同期と比べると7%増えています。
しかしサプライチェーンによる悪影響などから、売上は全てのセグメントにおいて、前年同期より減少しています。(ロッキード・マーチンは、航空宇宙、ミサイル・火器、ミッションシステムなどのセグメント別売上を公表している)
なお、売上は減少したものの同じ期間で見た営業利益は増加しています。
3. その他の補足
3-1. ガイダンス修正
年間ガイダンスの売上が下方修正されました。
67,300百万ドル~68,700百万ドルだった売上予測は、67,000百万ドル(670億ドル)以内に更新されています。
更に、2022年の売上見通しについても、66,000百万ドル(660億ドル)に減少する可能性があると発表しました。
営業活動によるキャッシュフローも、8,900百万ドル以内だったものが8,300百万ドル(83億ドル)以内に下方修正となりました。
一方EPSについては、21.95ドル~22.25ドルから22.45ドルへと上方修正されています。
3-2. 株価の暴落
今回の四半期決算での売上の予想値未達、EPSの低下、更にガイダンスの下方修正(EPSは上方修正だが)を受け、2021年10月26日、ロッキード・マーチンの株価は12%近く暴落しました。
これはロッキード・マーチンの株価チャートです。
それまで上昇傾向にあった株価が、10月26日に一気に下落したのがわかります。
3-3. 買収の保留
エアロジェット・ロケットダイン・ホールディングス(AJRD)の買収を2020年12月に発表していますが、独占禁止法(反トラスト法)違反に当たらないかFTC(連邦取引委員会)の調査が行われています。
記事作成時点では調査結果と合併の可否は発表されていませんが、結果次第では株価に影響が及ぶと考えられます。
また、当初は2021年内に合併が完了する見通しでしたが、2022年第1Q内の完了予定に改められました。
このことも株価下落の一因だと考えられます。
4. まとめ
ロッキード・マーチン(LMT)の2021年第3Qはあまり良くない結果でした。
年間ガイダンス・来年の見通しの引き下げまで発表されたため、期待値の低下が株価にも顕著に表れています。
ただ2021年に関しては、ガイダンス通りの上限値通りの売上が上がれば、成長率は鈍化するものの2020年の売上を超える結果にはなります。
また、ロッキード・マーチンは今期も自社株買いを続けています。
9月に50億ドルの承認枠が追加されていますし、今後も自社株買いは継続されそうです。
第4Qの配当についても、2021年第1Q~第3Qの2.6ドルから2.8ドルへの増額(いずれも四半期配当)が宣言され、現時点ではこういった株主への還元姿勢に影響は及んでいません。
保留中となっている買収が進展するのか、サプライチェーンの問題が解決するのか、引き続き注視していきたいです。
(ロッキード・マーチンの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のLockheed Martin Corporationの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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