コダック【KODK】銘柄分析_破産から巻き返しを狙うフィルム超大手

米国株の年次決算書・銘柄分析
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今回はイーストマン・コダック(Eastman Kodak Company / KODK)の決算書(10-K)やニュースについて分析しました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

2021年度更新版はこちら

1. Eastman Kodak Company(KODK)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、機械、印刷・プリント、化学原料

1-2. 事業の概要

イーストマン・コダックは、かつて富士フイルムとシェアを二分していたフィルム・カメラの大手メーカーです。
デジタル化の波に乗り遅れ2012年に一度破産しましたが2013年に再び上場し、現在は主にカメラ用品、映画用フィルムの製造・販売や、ダイレクトメール、書籍出版、新聞、雑誌などの印刷サービスを提供しています。

他にも写真の無断使用をAIで追跡しカメラマンの著作権を守るプラットフォーム”KodakOne”や、そのライセンス支払いに用いられる独自の仮想通貨”KodakCoin”も発表されていましたが、これらに関しては決算書内で記述がなく、コダックの公式Webサイトからも情報が削除されており、事実上中止となっているようです。

1-2-1. 医薬品分野に進出?2020年7月の株価の急騰

2020年7月28日、当時のトランプ政権は、コダックの医薬品原料を生産する新部門「コダック・ファーマシューティカルズ」の立ち上げに、7億6500万ドルの融資を行う計画を発表しました。
これは、トランプ政権にとって海外への医薬品原料の依存度を下げるための施策であり、コダックとしても巻き返しの一歩となるはずでしたが、インサイダー取引の疑惑が持ち上がったため、この計画は保留となりました。

計画の発表後、ロビンフッドでの取引が過熱したこともあり、約2ドルだった株価は最高値60ドルをつけていました。しかし程なくインサイダー取引の疑惑が取りざたされ瞬く間に急落し、それ以来10ドル前後を行き来しています。

なお、2020年の決算書内では、”時間の経過と政権交代を考慮し、融資が進まない前提で活動している””規模を抑えて医薬品分野に進出することを検討する”としています。

1-3. チャート

イーストマン・コダックの株価チャートはこのようになっています。
2020年7月、7億6500万ドルの融資が報じられた際に急騰していますが、今年に入ってからはほぼ8ドル前後で推移しています。(2021年4月28日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 当座比率がある程度あるので、短期の資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率が低く、負債に頼っている
  • キャッシュフローがマイナスな点も不安

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるKODK貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは“おおむね安心タイプ”です。
(貸借バランスのポイントについては、こちら↓の記事で紹介しています)

2020年の流動比率は約210%、当座比率も約125%です。
短期の資金繰りに困ることはあまりなさそうです

固定比率は約800%で、かなり高すぎる数値です。
自己資本が非常に少なく、負債に頼っている状況です。
(貸借貸借表の各比率については、こちら↓の記事で詳しく紹介しています)

2-1-2. 資本の比率

固定比率同様、自己資本比率は6%と不安な数値です。
なお2018年は赤字決算(主に売上高減少と法人税等による)によって累積赤字が増加し、債務超過状態でした。この点は、2019年からは改善しています。

2-1-3. キャッシュフロー

キャッシュフローは営業活動マイナス、投資活動マイナス、財務活動プラスという不安な組み合わせです。

営業活動・フリーキャッシュフロー共にマイナスの年が多いです。
2019年はプラスでしたが、これには不動産や株式資産の売却(投資活動の収入)が大きく影響しています。
(キャッシュフロー計算書の注目ポイントなどを、こちら↓の記事で紹介しています)

2-1-4. 項目まとめ

短期の資金繰りだけなら何とかなりそうですが、全体的には不安の多い内容です。
大部分を負債に頼っているので、返済に追われるのは避けられません。営業活動によるキャッシュフロー、フリーキャッシュフローがマイナスな点も心配です。

この財務状態を見る限り、まだまだ破産から立ち直り切れてはいないようです。

2-2. 収益性

  • 2020年はコロナ感染拡大の影響で売上が減少
  • それ以前から売上高の減少が続いている
  • 2019年のROE・ROAは米国平均程度だが、営業損失を出している
    →事業外の収入(税金調整など)で黒字となった

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

KODKのROE(自己資本利益率)推移

自己資本がかなり小さいため、ROEは高く出ています。
また、2020年はコロナ感染拡大の影響を受けて赤字(2019年の利益116百万ドルに対し、2020年は541百万ドルの赤字)でした。
2017年、2019年は黒字となっていますが、営業利益の時点では赤字(営業損失が出ている)です。

なお、2018年は赤字かつ債務超過のため、掲載していません。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

KODKのROA(総資産利益率)推移

ROAもROEと同様の動きをしています。

2-2-3. 項目まとめ

2019年の収益率は平均程度ありましたが、その前後の2018年、2020年は赤字です。
黒字の年も事業外の収入で利益を出しており、純粋な事業の収益と費用だけを見ると赤字です。

売上高も少しずつ減少しており、現時点の収益性は低いと言わざるを得ません。

2-3. 経営の効率

  • 総資本から見ると売上高が今一つ足りない
  • 棚卸資産(在庫)の回転率が低め

2-3-1. 各回転率

KODKの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率

総資本回転率は約0.8回、固定資産回転率は約1.7回、棚卸資産回転率は5回です。
総資本から見た売上高は今一つ足りません。
また、棚卸資産回転率は製造業の平均が7~10回と言われているので、それと比べるとコダックは少々効率が悪い状態です。

2-3-2. 項目まとめ

全体的に今一つ回転率が低い結果です。
ちなみにここ数年、あまり数値は変化していません。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上は減少を続けている
  • 営業損失を減少できて(コスト削減)きている
  • 2020年はコロナ感染拡大で売上大幅減
  • 売上高研究開発費率は平均以下

2-4-1. 売上高と営業利益

KODKの売上高推移_2020

年々売上高が減少しており、特に2020年はコロナ感染拡大の影響を受けて約210百万ドルの売上減少(2019年と比較)となりました。

KODKの営業利益(損失)推移_2020

リストラなどによるコスト削減の成果が出ており、営業損失は徐々に減少しています。

2-4-2. 研究開発費

2020年の売上高は約1,029百万ドル、研究開発費は約34百万ドルだったので、売上高研究開発費率は約3.3%です。
科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員数を抱えた米国企業の平均は5.2%とされているので、コダックの売上高研究開発費率は平均以下ということになります。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

営業費用を削減できてきているのは良い点ですが、その他からはあまり成長を感じられません。
売上増加を実現できれば削減されたコストによって利益率を上げることができるでしょうが、研究開発にもあまり資金を回せておらず、売上増加のきっかけをつかむのが難しそうです。

3. まとめ

クロとしては、イーストマン・コダック(Eastman Kodak Company)は「現時点ではあまり成長に期待できない」銘柄だと判断します。

2020年の大きな赤字は一時的なものかもしれませんが、いずれにしても雑誌やダイレクトメールそのものの電子化が進んでいる昨今では、印刷の需要を高めるのは難しいと考えます

医薬品原料の生産に本格的に進出するかどうかが起死回生の意味でも気になるところですが、融資の実現はあまり期待できなさそうです。

今回の記事はEastman Kodak Companyの決算書及びコーポレートサイトなどを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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