先日ANAホールディングスとの提携を発表したジョビー・アビエーション(Joby Aviation, Inc. / JOBY)の株価が、2022年2月17日の夜、今度は9%の急落を見せました。
今回はその理由をまとめていきます。
1. ジョビー・アビエーションとは
まずジョビーの事業内容を簡単に説明します。
ジョビーことジョビー・アビエーションは、eVTOL(イーブイトール。電気式垂直離着陸機)と呼ばれる電動の空を飛ぶ機体を開発し、”空飛ぶタクシー”を実現しようとしている企業です。
現状はまだ開発段階にあり、商業機体は完成はしておらず、売上もゼロの状態です。
しかし、2024年の商業化という目標を以前から公言しており、eVTOL企業として初めてFAAと航空機のG-1(ステージ4)認証を受けたこと、1,000回以上のテストフライトを成功させていることなどから、eVTOL企業の中でも一歩先を行っている印象のある企業でした。
また、トヨタの多額の出資やAVAホールディングスとの提携(日本でも事業を行う予定であることが発表されている)ことから、日本人としても気になる要素が多い企業です。
■ジョビーのより詳しい事業内容などはこちらでまとめています。
2. ジョビーの株価下落理由
2-1. テストフライトでの事故
2022年2月16日、ジョビーのテストフライトで事故が起きてしまいました。
遠隔操作でテストを行っていたプロトタイプの事故なので、幸いなことに負傷者はいなかったようですが、事故の詳細は明らかにされず、近い将来旅客を乗せるとされている(2022年内には第1号機の生産、2024年には商業化を目指している)こともあってか、市場の嫌気を誘いました。
ジョビーとしては「実験的に機体性能の限界を見極めているため、事故の可能性は残念ながらある」とするコメントを発表しています。
また、NTSB(米国国家運輸安全委員会)がこの事故を調査しており、ジョビーもこの調査に協力するということも併せて述べています。
ただ、ジョビーはプロトタイプをもう一基保有しているため、テストフライト自体は継続される可能性があります。
2-2. 株式市場全体の下げ圧力
昨日(2月17日)は世界情勢に対する不安が強まり、株式市場は全体的に下げ相場でした。
実際、代表的な各種指数も下降しており、ダウ指数は1.78%、ナスダック指数は2.88%、S&P500指数は2.12%の下落となっています。
こういった市場の波も、ジョビーの下落を後押ししたと考えられます。
2. まとめ
ジョビー・アビエーションはANAとの提携を発表したことで株価が急騰したばかりでしたが、今度は残念なニュースで株価が下落してしまいました。
新興企業ながらテストフライトの実績を多く持ち一部認証を取得するなど、技術力はある企業だと思われるので、今回の事故の原因をいち早く突き止め、迅速な改善が行われることに期待しています。
また、今回の事故が水を差すことになってしまいましたが、まずは年内の1号機完成という目標が達成されるのかという点にも注目したいです。
■ジョビーの取り組むeVTOLの市場規模予測や、ANAとの提携ニュースなどはこちらの記事で紹介しています。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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