SPAC IPOして約1年半のジョビー・アビエーション(Joby Aviation, Inc. / JOBY)の株価が、27%近く急騰しています。
この急上昇の主な要因は、日本の”ANAホールディングスとの提携”をはじめとしたニュースの影響です。
今回は、このニュースの詳細や期待できる点、そしてJOBYが開発中の”空飛ぶタクシー”eVTOL(イーブイトール。電気式垂直離着陸機)の市場予測についてまとめていきます。
1. ジョビー・アビエーションとは
ジョビー・アビエーションは、eVTOL(イーブイトール。電気式垂直離着陸機)と呼ばれる電動の空を飛ぶ機体を開発し、”空飛ぶタクシー”を実現しようとしている企業です。
現状はまだ開発段階にあり、商業機体は完成はしておらず、売上もゼロの状態です。
しかし、パイロットの他に4名が搭乗可能(5人乗り)、電動で環境負荷が少ない、走行可能距離約240km、最高時速約320kmというスペックを目指して開発が進められています。
以前から2024年の商業化を目標とすることを公言していること、トヨタが多額の出資をしていること(約4億ドルを出資し、この時の出資ラウンドで最も大きい額となった)、eVTOL企業として初めてFAAと航空機のG-1(ステージ4)認証を受けたことなどから期待と注目を集めている企業です。
■ジョビーのより詳しい事業内容などはこちらでまとめています。
2. ANAと提携
今回、日本の航空会社であるANAホールディングスとの提携が発表されました。
これから日本国内での旅客輸送サービスを実現するために、運航システムの開発やパイロットの訓練、必要なインフラ整備などを共同で進める予定です。
2-1. トヨタも協力?
ANAとジョビー・アビエーションによる運航が始まれば、その乗降場所までの送迎サービスをトヨタが行うことになると報道されています。
ジョビーに多額の出資を行っているトヨタが、事業の面でも参画していくことになりそうです。
2-2. 2025年の大阪万博で飛ぶ?
2025年に大阪で行われる予定の国際博覧会(万博)で、ジョビーのeVTOL飛行が実現するかもしれません。
実際、ジョビーのプレスリリース内にも、この国際博覧会でのサービス実現を意識した文言があります。
また、現在自動車で1時間程度かかる”大阪駅ー関西国際空港”間を、ジョビーの機体であれば15分以内で移動できることもアピールされています。
ジョビーは2022年内の第1号機の生産を目指しているとされていますし、更に今回2025年の国際的なイベントを新たに目標に追加したことからも、ジョビーが2024年の商業化実現という未来を引き続き見据えていることが伺えます。
3. eVTOLの市場規模
株式会社グローバルインフォメーションのレポートによると、2021年のeVTOLの市場規模は85億ドルだとされています。
それから年平均成長率15.3%で拡大し続け、2030年には308億ドルに達すると予測されています。
これから先9年間で、約3.6倍に増加する予測です。
更にモルガン・スタンレーによると、2040年には1兆5000億ドルの市場規模になると見込まれています。
※2021年、2030年の市場規模及び年平均成長率は、株式会社グローバルインフォメーションのサイトを参照。2022年2月16日閲覧:https://www.gii.co.jp/report/mama1036807-evtol-aircraft-market-by-lift-technology-vectored.html
※2040年の市場規模予測はニュースイッチの記事を参照。2022年2月16日閲覧:https://newswitch.jp/p/24211
4. まとめ
ジョビー・アビエーション(JOBY)はまだ機体の開発途中という段階ですが、商業化実現に向けて、着々と事業地盤の形成が進められています。
ただ、売上は引き続きゼロですし、明確な期限を設定している(目標を2022年内、2024年までと区切っている)分、万が一それが達成されなかったときの失望は株価に大きな影響を与えそうなので、リスクが高い銘柄であることは変わりありません。
日本でジョビーの機体が飛ぶと考えると楽しみですが、投資の際にはリスクも考慮に入れておきたいです。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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