ジョビー・アビエーション(Joby Aviation, Inc. / JOBY)の9月締め四半期決算(2021年第3Q)について、発表された内容をまとめていきます。
■事業内容と2021年度第4Q最新決算はこちらでまとめています。
1. 事業概要
まだIPOして間もない(2021年8月11日にSPAC IPO)会社なので、改めて事業の概要を簡単に紹介します。
ジョビー・アビエーションは、eVTOL(イーブイトール。電気式垂直離着陸機)と呼ばれる電動の空を飛ぶ機体を開発し、”空飛ぶタクシー”を実現しようとしている企業です。
トヨタなどから資金提供を受けていることや、2024年の商業化を目指すと明言していることなどから、あと数年内に画期的なサービスが開始され収益が得られるのではないかと期待が集まっています。
2. アナリスト予想との比較(EPS)
商業化に至っていないため、売上はまだありません。
EPSはアナリスト予想を下回りました。
ただ、”売上がゼロで赤字”ということは多くの投資家が予想していたと思われるので、これが株価を大きく下げるようなことはおそらくないでしょう。
3. 売上高と損失額
これは、四半期ごとの売上高と純損失をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
事業自体はまだ商業化に至っておらず、他社への技術提供による収益化なども行っていないようで、売上はありません。
事業を行う上で損失の大きな要因となっているのは、研究開発費52百万ドル、販売費や管理費16百万ドルです。これらには人件費も含まれます。
4. その他の補足
4-1. 従業員数
第3Q末時点で従業員約1,000人を抱えています。
その分人件費もかかっているようです。
4-2. 資金力・自己資本比率
第3Q末時点で、現金・短期投資の合計は約14億ドルあります。
また、負債がまだあまり大きくなっていないので、自己資本比率は約85%です。
現時点では自己資本比率が非常に高い部類です。
4-3. 機体製造の進捗について
現在は初期生産体制の確立を目指しているところです。
具体的には、パワートレイン(エンジンやその動力を伝達する部品)製造ラインを確立させ、テスト機体用の電動推進ユニット(EPU)の初めての納入を行いました。
2台目のAFP(Automated Fiber Placementの略。先進的な航空機の構造を製造する技術)システムが導入されたことに対しては、工場の生産能力が確保されたとしています。
また、NASAとテストを行って機体の運用データや騒音などを確認したこと、FAAの認証を取得するための5つのステージのうち2ステージ目に到達したことも示されています。
その後、第4Qの進捗状況はこちらでまとめています。
5. まとめ
ジョビー・アビエーション(JOBY)の目標通りに準備が進めば、あと3年で空飛ぶタクシーが実現することになります。
飛行機の設計や製造工程は正直詳しくわかりませんが、機体の心臓とも言えるパワートレインの製造ラインが確立されたことは一つの成果ではないかと思います。
ただ、今回公表された資料の中には電池性能についての文言が見当たりませんでした。
日々出てくるeVTOL関連のニュースを読んでいると、ジョビーの設計する定員数や飛距離を安定して飛行するには現状の技術では足りないと考えられるので、これから研究が進んでいくことを願います。
■eVTOLの市場規模やANAとの提携についてまとめた記事もこちらにあります
今回の記事は2021年のJoby Aviation, Inc.の四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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