ジョビー・アビエーション【JOBY】銘柄分析_21年度決算更新版

米国株の年次決算書・銘柄分析
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ジョビー・アビエーション(Joby Aviation, Inc. / JOBY)の事業内容・2021年第4Q・年度決算で発表された内容などをまとめました。
ジョビーは2021年8月11日にSPAC IPOしたばかりで、まだ事業が商業化されていない企業です。

  • FAA認証の5段階のうち4ステージ目
  • 2022年後半の認証取得を目指す
  • 生産機体の製造を開始
  • 2024年の商業化を目指す

それでは見ていきましょう。

2022年第2Qトピックスはこちら

1. Joby Aviation, Inc.(JOBY)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、航空宇宙、防衛

1-2. 事業の概要

ジョビー・アビエーションは、eVTOL(イーブイトール。電気式垂直離着陸機)と呼ばれる電動の空を飛ぶ機体を開発し、”空飛ぶタクシー”を実現しようとしている企業です。
2021年8月11日にSPAC IPOを行い、ティッカーシンボル”JOBY”で取引が始まりました。

eVTOLは”空飛ぶ車”と呼ばれます。滑走路が不要で騒音も少なく、電動なので温暖化ガスの排出もない優れた機体であるとして、様々な国で開発が進んでいます。

ジョビーの開発するeVTOLはパイロットの他に4名が搭乗可能で、1回の充電で約240km走ることができ、最高速度は時速320kmにもなる予定です。
2020年12月にはeVTOLとして初めて米空軍の耐空承認を獲得しており、2021年2月にGarmin社との提携・フライトデッキ機器の提供を受けることを発表しました。

ドイツのeVTOLメーカーLiliumやArcher、中国のEhangなど競合となる企業も多くありますが、ジョビーは2024年の商業化を目指しており、いずれは独自のタクシーサービス、スカイポート・充電ステーションの設置も進めていく予定です。

Uberの空飛ぶタクシー事業”Elevate部門”との提携を行っていた時期もありますが、2020年に同事業の買収を発表しました。
また、2020年にはトヨタなどから5億9000万ドルを調達しています。

なお、合併相手のSPACはReinvent Technology Partnersという社名で、以前はティッカーシンボル”RTP”で取引されていました。

1-3. チャート

ジョビー・アビエーションの株価チャートはこのようになっています。
最近は下落続きです。
ただ、今回の決算発表後、プレでは約7%上昇(記事作成時点)しています。(2022年3月25日時点)

2. 決算結果

2-1. 2021年度第4Q

2-1-1. EPS

商業化に至っていないため、売上はまだありません。

しかし今回はEPSがアナリスト予想を上回り、プラスとなっています。

JOBYのEPS・売上_アナリスト予想と実績比較_2112

ただ、”売上ゼロ”の状態は続いています。

2-1-2. 純利益・損失

JOBYの売上高・純利益(損失)_2112

これは、四半期ごとの純損失・利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

事業がまだ商業化されていないため、売上はゼロのままですが、ワラント・株式の価値変動などによる事業外の収入が大きく、最終的には純利益が発生しています。

事業の費用としては、研究開発費約57百万ドル、販売費・一般管理費約20百万ドルが発生しています。

2-2. 2021年度通年

2021年度通年の純損失は180百万ドル(約1.8億ドル)でした。

事業に関する費用として、研究開発費197.6百万ドル、販売費・一般管理費として61.5百万ドルがかかっていますが、事業外の収入によって赤字額が抑えられています。

また、営業活動のキャッシュフローはマイナスです。

投資活動では不動産・設備の購入にも資金を投じていますが、有価証券購入による支出と、売買・満期による収入が非常に大きな金額となっています。

財務活動では、SPAC IPOによる収入、転換社債発行による収入が発生しています。

3. 財務状況・資金力

資産全体の約1,488百万ドル(約15億ドル)のうち、現金及び現金同等物は955.6百万ドルを占めています。
更に短期投資も343百万ドルあるため、現金・現金化しやすい資産の合計は1,298.6百万ドル(約13億ドル)となります。

資産の流動性は高く、ひとまずの資金繰りに問題はありません。

また、自己資本比率は88%と非常に高いです。
ただ、売上がまだしばらく発生しないことを考えると、累積赤字が増えることはおそらく避けられないため、この数値は下がっていくでしょう。

4. その他発表内容

4-1. 認証・機体製造の進捗

4-1-1. 認証

FAA(米国連邦航空局)の認証取得について、5段階あるうちの4ステージ目に到達しました。
前四半期は2ステージ目だとしていたので、認証に向けて着実に進んでいるようです。

また、2022年後半には認証を取得する予定です。

4-1-2. 機体製造

125,000平方フィートの生産施設の建設を完了し、2022年の初めに生産用1号機の製造を開始しました。
この機体は2022年末までに飛行する予定です。

また、1つ目のプロトタイプ機体は期待通りの動作速度を達成しており、現在は2つ目のプロトタイプ機体がテスト飛行中だとしています。
先日墜落事故があり、その影響が心配されましたが、現在はテスト飛行を行えているようです。

なお、2022年度の設備投資にかかる費用は2021年度よりもやや高くなると予想されています。

4-2. その他

4-2-1. 従業員数

第4Q末時点での従業員は1,000人以上とされています。

4-2-2. 2021年度の提携

日本のANAホールディングス、韓国のSKテレコムと提携し、商用サービス開始を検討しています。

5. まとめ

クロとしては、ジョビー・アビエーション(JOBY)は、様子を見て少量の保有を検討したいと思います。

当面は十分な資金があるようですし、FAAの認証にも進捗が見られ、更に2022年内に生産機が飛行する期待もあります。

ただ、まだ商業化に至っていない点、目標期間を区切っている分それを達成できないと株価に影響が出やすいと考えられる点など、リスクが高い銘柄であることを念頭に置いておきたいです。

今回の記事はJoby Aviation, Inc.の決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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