アイロボット【IRBT】銘柄分析_ルンバに代表されるロボット専業メーカー

米国株の年次決算書・銘柄分析
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アイロボット(iRobot Corporation / IRBT)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待※ただし株価との連動性が低い

それでは見ていきましょう。

1. iRobot Corporation(IRBT)について

1-1. 業種

家電、ロボット

1-2. 事業の概要

アイロボットは、自動掃除ロボット”ルンバ”に代表される家電・ロボットメーカーです。
他にも床拭きロボット”ブラーバ”、プログラミング学習用ロボット”Root”を展開しており、それらを制御するアプリケーションも提供しています。

ルンバはアレクサの音声入力に対応しているので掃除の個所などを声で指示することができる他、専用アプリを使って進入禁止エリアの設定、清掃スケジュールの管理、位置情報との連携で家を離れた際の自動清掃など、様々なカスタマイズを行えます。

また、Rootを利用した授業・教育をサポートするため無料のコーディングアプリを提供しており、公式サイトには、ダウンロードできるRootプログラミング授業の指導案やワークシートも掲載されています。

なお、以前は軍事用ロボットも取り扱っていましたが、2016年に事業を売却しています。

1-3. チャート

アイロボットの株価チャートはこのようになっています。2019年4月から大幅に下げたものの、コロナによる追加の下げの反動に伴って回復しました。
2021年1月に株価が急上昇(個人投資家が集ってコントロールしたと噂されている)しましたが、その後は下げ基調です。(2021年6月22日)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 資金繰りに不安はない
  • 自己資本比率も高い
  • キャッシュフローも安定している

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるIRBT貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

流動比率は約290%、当座比率は約210%で、短期の資金繰りは問題ありません。
固定比率も約38%と優秀です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約67%とかなり高いです。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスという”安定タイプ”組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

過去には事業買収で投資活動が大きくなった年もありますが、全体的に安定した内容となっています。
また、自社株買いを行っている年もあります。

2-1-4. 項目まとめ

安定性は十分です。

2-2. 収益性

  • 2019年に関税などの影響で数値低下
  • 2020年はコロナによる需要増で好調
  • ROAは米国平均~平均以上程度で推移

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

IRBTのROE(自己資本利益率)推移

ROEは上昇傾向ですが、2019年は中国から輸入する際の関税の引き上げなどによって原価コストが増加し、利益が減少しました。

また、2020年はコロナ感染拡大による需要の増加(売上・利益増)がありました。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

IRBTのROA(総資産利益率)推移

ROAもROE同様に上下しています。
また、ROAは米国平均~平均以上の数値です。

2-2-3. 項目まとめ

多少の上下はありますが、米国平均程度の収益性は十分あります。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率は1.2回程度をキープ
  • 固定資産回転率、棚卸資産回転率も特に問題なし

2-3-1. 各回転率

IRBTの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率

総資本回転率は1.2回で、最低ラインを十分超えています。
売上は増加を続けていますが、現金や売掛金、買収による資産の増加などで回転率はほぼ変動がありません。

固定資産回転率は約4.6回と高めで、棚卸資産回転率は7.9回で製造業の平均にギリギリ届く数値です。

2-3-2. 項目まとめ

回転率は最低ラインを超えており、特に問題はありません。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上高は増加を続けている
  • 2020年はコロナの影響で需要増加
  • 売上高研究開発費率は平均の約2倍

2-4-1. 売上高と営業利益

IRBTの売上高推移

売上高は順調に増加しています。
特に2020年はコロナ感染拡大による需要増加によって、好調な一年でした。

IRBTの営業利益(損失)推移

営業利益も増加傾向ではありますが、2019年に一度減少しています。
これには中国からの輸入関税引き上げの影響も大きく、仕方のない部分もあります。

2-4-2. 研究開発費

2020年の売上高は約1,430百万ドル、研究開発費は約157百万ドルだったので、売上高研究開発費率は11%となります。
科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は5.2%とされており、研究開発費率は平均の約2倍となります。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

今後も成長を期待したい数値です。ただ、2020年はコロナによるプラスの影響もあったため、反動で2021年は少し落ち着いてしまうかもしれません。

代表であるルンバの類似商品も多く出ている中、売上高を順調に伸ばし続けている点は優秀です。
販売単価を上げていますが、それでも購入されるだけの品質や新技術など、消費者が魅力を感じる製品づくり・マーケティングが行われているということでしょう。

ただ、アップル(AAPL)のiPhoneのように、いずれ頭打ちになる可能性もゼロではないため、随時情報をチェックしておきたいです。

3. まとめ

クロとしては、アイロボット(IRBT)は安定した売上と利益の増加が優秀だが、株価が下がった時に購入を検討したい銘柄です。

決算書の内容は全体的に安定している一方、ルンバ発売から年月が経ち、目新しい部分があまりない銘柄でもあります。
決算書の好調ぶりと株価があまり連動しておらず、投資家の期待があまり強くないとも言える状態です。

現在の株価は比較的高い水準ということもあるので(2021年6月22日時点)、業績外の要因で一時的に株価が下がったタイミングで改めて購入を検討したいと思います。
また、現在は好調とは言っても、ルンバ発売から約20年が経っているため、需要がこれからも継続されそうかという点には注意しておきたいです。

今回の記事はiRobot Corporationの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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