米国株続落_インフレや長期金利・デフォルトリスク

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2021年9月28日の株式市場はセクターを問わず下がり、NYダウ指数は1.6%、ナスダック指数は2.8%の下落となりました。
今回は、その要因とグロース株への影響をまとめました。
■2021年10月1日に、つなぎ予算の可決・デフォルトリスクの継続について追記しました。

1. 株価下落の要因

ここ数日の株式市場は少々不安定で、VIX指数も上昇しています。
中国の不動産大手のニュースももちろん多少影響しているでしょうが、アメリカ国内での主な要因として、以下の3つが挙げられます。

1-1. インフレと金利引き上げ

これまでもインフレの長期化は懸念されていましたが、9月28日にFRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長が”インフレ率の上昇・高止まりは予想以上に長く続く可能性がある”という旨の発言をしたことで、更にその不安・警戒が強まりました。

インフレがこのまま長引いて経済に悪影響を及ぼす場合には、金融政策の引き締めは避けられません。
FOMCの各委員による将来の金利予測(ドットチャート)でも金利引き上げが来年に前倒しされており、”金利の引き上げは来年にも行われるのではないか”という見方が強まっています。

1-2. 10年国債利回りの上昇

前述したインフレと金利引き上げが懸念されることが大きな要因ではありますが、テーパリングの11月開始が示唆されてから、長期金利の指標とされる10年国債利回りの上昇が続いています。

これまでは金融緩和による国債買い入れの甲斐もあり、国債の価格が上昇し、金利が低く抑えられていました。

しかし金利が上昇すると見込まれる場合、より魅力的な投資対象に資金を回すため(国債はローリスク・ローリターンで利回りが低い)に国債が売却されるようになり、価格が低下し長期金利の上昇に繋がります

その一方で、金利が上がれば、よりリスクの少ない国債や他の債券に資金を移す投資家も現れ、それらの動きが強まれば株価の下落を引き起こします。
こういった複数の要素が相互に影響し合い、現在の長期金利と株価を決定しているのです。

1-3. 政府機関閉鎖・デフォルトリスク

アメリカでは現在、つなぎ予算の審議の難航と債務上限が迫っていることによる、政府機関の閉鎖リスク、債務不履行(デフォルト)リスクが浮上しています。

9月30日が会計年度末となっており、このままつなぎ予算が承認されなければ多くの政府機関が一時的に閉鎖(予算不足のための業務停止)されてしまいます。

2021年10月1日追記

12月3日までのつなぎ予算が可決され、政府機関の閉鎖リスクはひとまずなくなりました。
しかしこの中に政府の借入上限の引き上げなどは盛り込まれておらず、債務不履行(デフォルト)の恐れは現在も続いています。

【さらに追記】

10月6日の報道で、共和党が”12月までの2ヶ月間”債務上限を一時的に拡大する案を提案したと出ています。
民主党からの正式な見解はまだですが、共和党の提案を受け入れるものと見られています。

9月28日時点でつなぎ予算に関する審議入りが上院で否決されており、政府機関が閉鎖される可能性が高まっています。
また、政府の債務上限も迫ってきており、このままでは10月下旬にも債務不履行(デフォルト)となる可能性があるとされ、上限の引き上げもしくは停止が必要な状態です。

政府機関の閉鎖は過去にも何度か行われており、数十億~数百億ドルといわれる経済的な損失も生んでいます。
ダウやナスダックの指数を見ると、閉鎖期間中ずっと株価が下がっているということはありませんが、一つのリスクとして頭に入れておきたい要因です。

2. グロース銘柄には厳しい地合い?

長期金利上昇による株安の影響を最も受けるのは、成長が大きいグロース株だとされています。

2021年2月の10年国債利回り、ダウ、ナスダック指数の変動率比較

これは前回長期金利が大きく上昇した、2021年2月頃の10年国債利回り(長期金利の指標)、ダウ指数、ナスダック指数の変動割合(長期金利の上昇が始まった1月末を起点をする)を表したチャートです。

ローソクで表されているのが10年国債利回り、オレンジ色はダウ指数、水色がナスダック指数です。
グロース銘柄が多いとされるナスダック指数より、バリュー銘柄が多いダウ指数の方が下落幅が小さいのがわかります。

これにはグロース株が基本的に割高な株価となっていることが影響しており、金利上昇の局面では”その株価が妥当なのかどうか”が見直されること、比較的割安だとされるバリュー株の価値が再認識されることが主な要因です。

グロース株が割高でも買われるのは、低金利の状況であれば”未来の企業の価値を現在の価値に割り引いても割引額が小さい(現在に割り引いても企業の価値は変わらない)”という考えのもと、将来の企業価値上昇へ期待されるからです。
そのため、配当や利息ではなく”株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)”を得ようとする投資家に好まれます。

しかし、グロース銘柄のこの特徴は”金利が上がると将来の価値を現在に割り引いた際の割引額が大きくなる(現在に割り引くと企業の価値が小さくなる)”という側面も持っています。
そのため、グロース株の割高感がより強いマイナス要素となるのです。

更に、金利上昇による債券の魅力上昇や、景気回復による好決算の増加により、投資行動の変化も起こり得ます。

3. まとめ

乱高下している株式市場ですが、テーパリングやその先の金利引き上げを織り込んでいこうとしています。

長期的に見るとグロース銘柄の伸びは大きいですが、現在の地合いを見ると少々厳しそうです。
一部の資金をバリュー銘柄・金融関連に一時的に移すことも十分検討できる状況だと考えます。

クロとしては、保険関連銘柄へ追加投資し、更なる株価の下落(買い場の到来)に備えて一部を現金化しておこうと思います。
いずれ長期金利などが落ち着いたタイミングを見て、グロース銘柄へ再投資するつもりです。

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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