2021年5月の米国CPI発表!市場への影響は?

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2021年6月10日8時30分(アメリカ時間)、5月の米国CPIが発表されました。
今後の金融緩和施策の行方やテーパリングの実施時期を占うとも言われ、世界中の投資家から注目が集まっていた今回の発表が、どのような結果になったのか。早速見ていきましょう。

1. 2021年5月のCPIは5%

今回発表されたアメリカのCPIは”5%”でした。
2021年4月は4.2%で、そこからさらに0.8%上昇した結果です。

コロナ感染拡大の影響でのベースの低さや、経済が再び動き出そうとしていることが表れています。
なお、この5%という数値は、2008年8月以来の最高値でもあります。

インフレーション率とCPI
インフレ率とは、CPI(消費者物価指数)がどれだけ上がったかを表します。
CPIとは、ある時点を基準に、同程度のものを購入した場合にかかる費用の変動を表しています。

1-1. 市場予測との比較

5月CPIの市場予測は”4.7%”でしたが、結果は5%で市場予測を0.3%上回る形となりました。

なお”3月のCPI2.6%”は市場予測2.5%を0.1%超え、”4月のCPI4.2%”も市場予想3.6%を0.6%超えており、3ヶ月連続の市場予測超えとなります。

2. 高いCPIから考えられる影響

CPIの上昇が続いたり、市場予測を超えたCPIが発表された場合、金利の上昇株価の下落が起きると言われています。
ただ、6月10日の株式市場では、大きな混乱はありませんでした。

2-1. 金利の上昇

インフレは物価の上昇と同時に、貨幣の価値の低下を意味します。
そうすると、貨幣の価値の維持のために金融の引き締め(市場に流れている資金を減らすこと。金利の上昇に繋がる)が行われる可能性が出てきます。

また、インフレに伴って市中金利が上昇するため、相対的に金利が低くなる既発国債の価格は下落し、金利の上昇につながります。
特にこの場合は、償還までの期間の長い国債ほど売られやすく、長期金利の上昇に影響しやすいとされます。

2-2. 株価の下落

金利が上がると、株式市場から債券市場へ資金が流れることなどから株価は下がることが多くあります。
直近では4月末~5月前半にかけて、長期金利の指標となる10年国債利回りの上昇と株式市場の下落が起きていました。

特に、グロース株と呼ばれる成長率が高い銘柄や、テクノロジー系の銘柄が影響を受けやすい傾向にあります。

2-3. 今回は株式市場にマイナスの影響はない?

今回、3回連続で市場予測を上回るCPIが発表されましたが、株式市場は大きな下落もなく、上昇傾向を見せています。
CPI発表から数時間に焦点を当てて、実際のチャートを見ていきましょう。

6月11日の米国債10年利回りチャート

これは長期金利の指標と言われる10年国債利回りの半日分のチャートです。
CPIの発表直後に瞬間的に約3%上昇したものの、その後すぐに下降し、発表前を下回っています。

6月11日のナスダック指数チャート

これはナスダック指数のチャートです。
21時30分(日本時間)にCPIが発表されたにも関わらず、株式市場が開くと同時に約1%上昇しています。
その後大きく下降しましたが、再び上昇の兆しがあります。

6月11日のダウ指数チャート

これはNYダウ指数のチャートです。
ナスダック指数と同様、市場が開くと同時に約1%急上昇した後に同じ水準まで下落し、再び上げ基調となっています。

このように、ある程度のCPI上昇を市場は既に織り込んでおり、すぐにマイナスの影響が出ることはありませんでした。
しかし、今回の高いCPIの影響は、次の金融政策に影響を与える可能性があります

2-4. 今後の金融政策・テーパリングに要注意

連続してCPIが市場予測を上回ったことで、「インフレは一時的で、いずれ落ち着くだろう」という見方をしていたFRBも、方針を転換する可能性があります。

テーパリングなどの金融政策が早まる可能性もあるので、動向は注視しておきたいです。(テーパリングの影響や予測のなどの関連記事もこちら↓にあります)

2-5. FOMCを注視したい

FRBが、公開市場の操作方針を決定するために定期的に開催している”FOMC(米国連邦公開市場委員会)”は、今後以下の日程で開催予定です。

直近は6月15~16日で、インフレや金融政策について、何らかの発言があるかもしれません。
また、テーパリング示唆などを警戒して、売り圧力が強まる可能性もあります。

    2021年FOMC開催予定
  • 6月 15~16日
  • 7月 27~28日
  • 9月 21~22日
  • 11月 2~3日
  • 12月 14~15日

3. まとめ

今回発表されたCPIは高かったものの、市場はある程度織り込み済みで、大きな混乱はなかったと言えます。
しかし、インフレによる金利上昇や株価下落は経済が回っていく中で実績があることなので、今後も注視しておきたいところです。

また、今回の発表を受けて、テーパリングの予定が早まる可能性も否定できません。

ちなみに、今後のCPI発表予定は以下の通りです。

3-1. CPI発表予定日

    2021年の直近CPI発表予定
  • 7月(6月分) 13日
  • 8月(7月分) 11日
  • 9月(8月分) 14日
  • 10月(9月分) 13日

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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