【ILMN】イルミナの株価がGWに急落_その理由は?

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2022年5月6日(日本時間)、イルミナ(Illumina, Inc. / ILMN)の株価が急落しました。
一日で約40ドル下落し、その後も下げ基調が続いています。

昨年の急落は強引な買収完了によるものでしたが、今回は一体何があったのでしょうか。
早速見ていきましょう。

イルミナの事業内容・銘柄分析はこちらにあります。

目次 クリックで該当項目へスキップできます

1. イルミナの急落理由

1-1. 決算

イルミナの決算は5月5日の市場引け後(米国時間)に発表されました。
EPS・売上のアナリスト予想と実績値の比較は以下の通りです。

  • EPS 予想0.9ドル/実績1.07ドル
    19.26%プラス
  • 売上 予想1,219百万ドル/実績1,223百万ドル
    0.32%プラス

※EPS・売上・%はTradingviewより引用(2022年5月10日閲覧)

EPS・売上ともにアナリスト予想を上回る結果となりました。
売上も前年同期比12%増加しましたが、利益額は86百万ドルとなり、前年同期の147百万ドルよりも41%減少しています。

これは運賃の上昇による粗利率の低下(前年同期の70%から67%に低下)、研究開発費の増加、買収したGRAIL分の各種費用の上乗せなどの影響によるものです。
ただ、GRAILの買収を完了させたことで、イルミナ単体での販売費・管理費は減少しました。

またガイダンスの引き上げはなく、通年で14%~16%の売上成長、GAAP EPSは2.33ドル~2.53ドル、non-GAAP EPSは4ドル~4.2ドルという予測が維持されました。

1-2. 特許侵害判決

5月6日の夜から5月7日にかけて、イルミナの株価に打撃を与えるもう一つのニュースがありました。
デラウェア地区の地方裁判所で、イルミナが故意に特許を侵害したという判決が下されたことです。

この特許の保有者は、中国のゲノミクス企業BGIグループの子会社”Complete Genomics Inc.(CGI)”で、イルミナは9,222,132号と10,662,473号の2つの特許を侵害したとされており、賠償金334百万ドル(3億3,400万ドル)の支払いが命じられました。

また、イルミナの米国特許9,217,178号、9,303,290号、9,970,055号の3つの特許が無効とされています。

イルミナは上訴することを明言していますが、この上訴が失敗した場合、2029年1月に特許が失効するまでの間、ロイヤルティの支払いを命じられる可能性があります。

ちなみにバイオ・ゲノム市場の大手であるBGIグループとイルミナは、過去にも裁判で争ったことがあります。

2. まとめ

イルミナの今回の大きな下落は、決算の影響もあるでしょうが、裁判で特許侵害が認められた影響も大きいと考えられます。

ヘルスケアの投資企業Deerfield Managementとの提携による医薬品開発など意欲的な展開を見せているイルミナですが、今回の裁判の行方次第によっては、ロイヤルティ支払などで長期的にコストが増加することになります。

GRAILの買収を調査中に完了させてしまった件も解決しておらず(2022年7月のEC管轄権の裁判についてはこちら)気がかりな点が多い状況が続きそうです。

また、世界情勢や金融引き締め議論によってグロース銘柄は全体的に大きな打撃を受けており、そういった要因も下落を後押ししています。

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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