イルミナ(Illumina, Inc. / ILMN)のGRAIL買収をEUが調査し始めてかなり時間が経ち、既に当初の調査期限を過ぎています。
しかし、未だに結論が出ていないのが現状です。
今回はこの続報をまとめていきます。
1. イルミナとは
イルミナは、圧倒的なシェアを持つ、遺伝子解析技術のリーディングカンパニーです。
DNA配列を解析し決定する、シーケンシングマシン(シーケンスマシン)やその周りの消耗品を提供しています。
■イルミナの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
2. GRAIL・買収の問題点
GRAILは元々、イルミナからスピンオフした企業です。
多数の”がん”を一回の検査で診断できるスクリーニングテストの開発を手掛けており、これが実現すれば患者に負担をかけず早期にがんを発見できると期待が寄せられています。
しかしイルミナがGRAIL買収を発表すると、FTCやEUからストップがかかりました。
理由は”独占禁止法”への違反です。
この買収が、バイオ市場におけるイルミナの大きなシェアを更に強化し、支配力を持ってしまうことを懸念しているとしています。
■詳しくはこちら↓の記事で紹介しています。
3. 買収に関する現在の状況
冒頭で触れたように、EUの調査はまだ結論が出ておらず、イルミナはGRAILを別会社として保有している状態です。
この状態では機密情報の共有ができないなど、イルミナにとっての問題点があります。
またつい先日、EUはまだイルミナのGRAIL買収、それに伴う解決策に難色を示しているという旨の報道がありました。
この解決策というのはイルミナから出されたもので、”GRAILを買収しても独占的・支配的な事業を行うことはなく、これまで通り製品・技術を平等に供給すること、価格を安価にすること”を明言しています。
イルミナは今回のGRAIL買収によって”研究開発が加速し、多くの人々の命を救うことができ、医療費削減につながる”と訴えていますが、EUの反応次第では更に譲歩が必要になる可能性もゼロではありません。
また、EUはイルミナからの情報提供を待つ間、一時的に調査を中止しており、これによってさらに調査期限が先延ばしになっています。
2月の一時中止を行う前は3月25日が期限とされていましたが、おそらく更に期限は伸びると思われます。
4. まとめ
イルミナのGRAIL買収問題は訴訟や実態調査にまで発展していますが、未だにその結論が出ていません。
既に一旦完了してしまったGRAILの買収が白紙に戻されると損失は大きそうですが、買収の解決・救済策には製品の値下げなどが盛り込まれているので、無事GRAILの保有を承認されたとしても収益構造に影響が出る可能性があります。
いずれにせよ、随時情報を追っていきたいと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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