昨夜2022年1月11日、イルミナ(Illumina, Inc. / ILMN)の株価が16.98%(約61.5ドル)も急騰しました。
今回はその理由をまとめていきます。
1. イルミナとは
イルミナは、圧倒的なシェアを持つ、遺伝子解析技術のリーディングカンパニーです。
DNA配列を解析し決定する、シーケンシングマシン(シーケンスマシン)やその周りの消耗品を提供しています。
また、一度はスピンオフしたGRAIL社を再び買収することで、多数の”がん”を一回の検査で診断できるスクリーニングテストの開発も手掛けています。
なお、この買収にはFTCやECからストップがかかり、株価が暴落した過去があります。
■イルミナの事業内容や年次決算などをまとめた記事はこちらにあります。
2. 今回の株価急騰
2-1. チャート
以下のチャートは、イルミナの直近一年間の株価推移を表しています。
最近の値動きの中で、今回の急騰はかなり大きいことがわかります。
2-2. 急騰理由:イルミナの発表
株価急騰に直結したのは、イルミナが発表した2021年第4Q、通年、そして2022年のガイダンスです。
2021年第4Qの暫定売上は前年同期比25%増加の約11億9,000万ドルだとし、2021年通年では前年比39%増加となる約45億1,700万ドルとしました。
この通年売上は、2020年より好調だった2019年と比較しても27.5%増加しています。(2020年は新型コロナ感染拡大によって売上が減少していた)
更に2022年の売上は51億5,000万ドル~52億4,000万ドル(2021年と比較して14%~16%増加)になる見込みだと発表しました。
また、Boehringer Ingelheim社と”がん患者に適した治療法・医薬品の診断”、Agendia社と”乳がん治療におけるゲノム検査”に関するパートナーシップを締結したこと、更にOptum社とゲノミクスによる検査の有効性に関する研究を行うこと、Nashville Biosciences社と医薬品開発加速に関する提携を結んだことも、発表しています。
2-3. 急騰理由:その他
一部銀行が、長らく”売り”としていたイルミナの格付けをアップグレードしたと報道がありました。
この点も株価に影響していると考えられます。
また、同じく昨日行われた上院の公聴会で、パウエル議長が金融政策について強く言及しなかったこともプラス要因となりました。(株価は全体的に上昇した)
3. GRAIL買収問題のその後
今回、イルミナは大きく株価を上昇させることができましたが、過去に大きな急落を引き起こしたGRAIL買収の件は、その後どうなっているのでしょうか。
結論から言うと、GRAIL社買収に関する問題はまだ解決していません。
2021年12月に、EC(欧州委員会)の”買収が適切か調査している間、買収を保留しておく”という命令に対して、”GRAIL社はEUで事業を行っておらず、ECの取引管轄外である”として訴訟を起こしています。
今後の動きとしては、2022年2月25日にはECの調査が完了する予定となっているので、この結果が待たれます。(当初2月4日の予定だったが、延長されている)
4. まとめ
イルミナ(ILMN)の前向きなガイダンスを受け、株価は一気に上昇しました。
売上・利益共に実績のある企業なので、クロとしても買戻したい気持ちはあります。
ただ、ECによるGRAIL社買収の調査がまだ続いており、2月には何らかの動きが予想される状況なので、一旦様子を見たいと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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