ロビンフッド【HOOD】銘柄分析_2021更新版

米国株の年次決算書・銘柄分析
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ロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets Inc / DUOL)の決算書(10-K)・銘柄分析を、2021年決算の内容を踏まえたものに更新しました。クロの判断は以下の通りです。

なお、銀行などと同様、決算の様式・内容が通常の企業と異なります。

  • 売上が急増も上半期と下半期で差が生まれる
  • PFOF、仮想通貨での同様のリベートが売上の大部分を占める
  • 月間アクティブユーザーが減少
  • ユーザー一人当たりの平均収益も減少

それでは見ていきましょう。

1. Robinhood Markets Inc(HOOD)について

1-1. 業種

ソフトウェア、フィンテック(金融テクノロジー)

1-2. 事業の概要

ロビンフッドは、手数料無料で投資を行えるプラットフォームを提供するフィンテック企業です。

株式や仮想通貨の現物取引だけでなく、月額費用(ロビンフッド・ゴールドに加入)を払えば信用取引・オプション取引なども可能になります。
更に、単元未満株の購入が可能なので、Amazon(株価3,223ドル。2022年2月10日時点)の株を100ドル分だけ買うといったこともできます。

手数料や最低投資金額のハードルをなくしたこと、シンプルなUIによるスマホアプリの手軽さから若者を中心にユーザーが急増し、2021年第2Q(4月~6月)のMAU(月間アクティブユーザー)は2,130万人に達しました。

しかしその後、アクティブユーザー数は減少しており、2021年第3Q(7月~9月)1,890万人、2021年第4Q(10月~12月)は1,730万人となっています。

収益源にはロビンフッド・ゴールドと言われるサブスク収入や、信用取引・預金の金利などがありますが、大きな柱となっているのはPFOF(payment for order flow)です。

PFOFとは、ユーザーの注文情報を機関投資家であるHFT(High Frequency Trading。アルゴリズムなどによる超高速・高頻度取引)業者へ提供して報酬を受け取る、証券会社の慣行のことです。
HFTは個人投資家の注文データをアルゴリズムの向上などに役立てていると言われています。

ロビンフッド・ゴールドに加入すると信用取引の融資が受けられる他、更に詳しい銘柄分析などの情報にアクセスすることが可能となります。

1-3. チャート

ロビンフッド・マーケッツの株価チャートはこのようになっています。
IPO以降、下落が続いています。(2022年2月10日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 売上高と利益の推移

  • 売上は前年比89%増加
  • ただし下半期は上半期よりも売上が減少
  • 費用増加と転換社債の影響で売上の2倍の赤字
  • PFOF、リベートは売上の77%

2-1-1. 総売上高

2021年の売上は前年比89%増加しました。

新型コロナ感染拡大による社会変化を追い風とした2020年から、更に売上が大きく増加しています。

ただ、四半期ごとの売上の推移を見ると、第1Q 522百万ドル、第2Q 565百万ドル、第3Q 365百万ドル、第4Q 363百万ドルとなっており、第3Q以降は失速気味です。

なお、2022年第1Qのガイダンスでは売上を340百万ドル未満としているので、更に減少する可能性もあります。

また、ユーザー一人当たりの平均収益も減少しています。2021年の第4Qでは64ドルでしたが、前年同期は106ドルありました。
これには株式の取引量減少、利息収入の減少などが影響しています。

2-1-2. 純利益

2020年の黒字から一転、2021年は損失額が大きく増加しました。
金額にすると、売上の約2倍の損失が発生したことになります。

2021年の年次プレスリリースでは、”口座数は1,000万以上増加し、プラットフォーム上の顧客数が約2倍になった”としており(ただしアクティブユーザーが減少しているので、口座数が2倍になったと考えられる)人員を増やし、”チームを2倍以上にした”と表現しています。

こうした人員の増加と、IPOに伴い株式報酬が一気に膨れ上がったことも、全体的な費用増加につながっています。
中でも研究開発費は前年比472%増加、一般管理費は365%増加と、大幅に費用が増えました。

また、転換社債の価値変動に関する費用も約2,050百万ドル発生しています。
IPOに伴って普通株式へ転換されたため現在は転換社債を保有していませんが、この費用も損失拡大の一因となりました。

2-1-3. 売上の内訳

2021年の売上の内訳で最も大きいのは、以前と変わらずPFOFや仮想通貨での同様のリベートで、売上全体の77%を占めています。

続いて金利収入が14%、サブスク収入などを含むその他収益が9%となっています。

昨年とほぼ変わらない内訳ですが、PFOF関連の売上が3ポイント減少し、金利収入が2ポイント、その他収益が1ポイント増加しました。

2-1-4. 項目まとめ

PFOF・同様のリベートが売上のほとんどを占めている状況は昨年と変わりません。

また、年間売上高は大きく増加したものの、上半期と下半期を比較すると勢いが衰えたように見えます。

人員増加や転換社債の価値変動などで、大きな損失が発生している点も気になります。
転換社債はもう保有していないためこれ以上の損失を出すことはありませんが、人件費はこれからも増加していくと考えられます。

2-2. 財務状況・キャッシュフローについて

  • ユーザーからの売掛金は約2倍に
  • IPO・資金調達で現金増加

2-2-1. 資産・負債・資本について

非常に多くの現金・短期投資などを保有している状態です。
IPOに伴って純資産も大きく増加しました。

また、ユーザーからの売掛金(今後回収できる予定の金額)は昨年末の約2倍になっています。

2-2-2. キャッシュフロー

営業活動、投資活動はマイナス収支です。
投資活動においては、事業の買収も行っています。

財務活動では、IPOや資金調達の影響で大きなプラス収支となりました。

2-3. 収益性

2021年は大きな赤字で、ROE、ROA共にマイナスとなっているため割愛します。

3. まとめ

ロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets Inc)は現在、アクティブユーザー、ユーザー一人当たりの平均収益がいずれも減少傾向にあり、クロとしてはまだ保有は見送りたい銘柄です。

ロビンフッド・マーケッツの主要な収益源であるPFOFの全面禁止検討が発表されて半年ほどが経ちましたが、今のところ特に続報は無く、これまで通り業務を行えているようです。
実際、2020年と比較すると売上は増加しています。

ただ、依然としてPFOF禁止のリスク(大きな売上減少を招くと考えられる)は続いていますし、2020年の勢いが衰えるどころか、数四半期にわたるアクティブユーザーの減少という局面を迎えていることを考えると、今は購入を控えたいと思います。

今回の記事はRobinhood Markets Incの決算書・目論見書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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