ゴールドマン・サックス(The Goldman Sachs Group, Inc. / GS)の6月締め四半期決算(2021年第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■ゴールドマン・サックスについて、事業内容や年度末決算をまとめた記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
過去4期は、アナリスト予想を大きく上回るEPSを達成しています。
ただ、直近の第2Q(6月締め四半期)は、前回よりも低く、予想により近い結果でした。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
2021年第2Qは、第1Qと比較すると減収減益となっています。
しかし、第2Qを前年同期比と比較すると、売上が16%増加、純利益では1,370%もの増加となります。(2020年第2Qは、貸倒れや訴訟・規制の引当金を多く計上したため純利益が少なかった)
JPモルガンと同様、景気の回復見込みから、第1Q、第2Qどちらも貸倒引当金を取り崩して利益としています。
3. その他の補足
3-1. 2020年・2021年の第2Q比較
投資銀行事業は、完了したM&A案件の増加、新規株式公開に伴う株式引受業務の好調によって増収増益(赤字から黒字へ)となっています。
ただ、債券引受業務などの一部収益は減少しています。
グローバルマーケット事業は売上が約32%減少したものの、利益は3倍近く増加しました。
売上の減少には主にFICC(債券、為替、コモディティ)市場の活動低下が、利益の増加には、費用が抑えられたことと、税金の調整(2020年第2Qの方が法人税分の差引が大きかった)が影響しています。
資産運用事業は、売上144%増加、純利益269%増加と、大きな増収増益となりました。
中でも株式投資の収益は過去最高です。
コンシューマー&ウェルスマネジメント事業も増収増益で、2020年第2Qの赤字から黒字に転じました。
ローンや預金、クレジットカードの残高が増加したことが影響しています。
4. まとめ
全体的な売上・利益を前年同期と比較すると、非常に好調なゴールドマン・サックス(The Goldman Sachs Group, Inc.)の2021年第2Qですが、事業別に見るとグローバル・マーケット事業の売上が減少しました。
前回テーパリングが行われた際も、実施示唆・実施序盤あたりからグローバルマーケット事業が不調となっており、 今回はまだ示唆されていない段階ですが(記事作成時点)それに近い影響が出ていると考えられます。
(ゴールドマン・サックスの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のThe Goldman Sachs Group, Inc. の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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