グルーポン【GRPN】銘柄分析_一世を風靡したクーポンサイトの今

米国株の年次決算書・銘柄分析
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グルーポン(Groupon, Inc. / GRPN)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Groupon, Inc.(GRPN)について

1-1. 業種

フラッシュマーケティング、商業サービス

1-2. 事業の概要

グルーポンは、共同購入型(販売数が決まっており、完売すると買えなくなる)のクーポンサイトを運営しています。
期間限定でクーポンを販売するフラッシュマーケティングという手法を取っており、掲載店舗は集客・販売だけでなく、自社の商品に関心のある見込み客の情報を得ることができます。

2020年2月に、製品カテゴリからの撤退とローカル体験カテゴリ(美容・健康や食事などの体験)への注力を宣言しましたが、コロナ感染拡大による混乱などのため、現在も製品を販売しています。
一方でローカル体験カテゴリの充実については、北米の4地域でテスト目標を達成しました。

また、現在は一部製品の在庫を保有し販売していますが、サードパーティ・マーケットプレイスへ移行を進めており、在庫は減少しています。

日本でも2010年からサービスを開始し、一時はクーポンサイトの売上1位を取るなど大流行しましたが、様々なトラブルが起き(特にスカスカおせち事件が有名)信頼が落ちてしまいました。
その後もしばらくは事業が続いていましたが、2020年に日本から撤退し、日本法人も解散しています。

1-3. チャート

グルーポンの株価チャートはこのようになっています。2011年の上場当時は500ドルを超えていた株価ですが、現在は40ドル前後で推移しています。
最近は2020年2月のコロナ感染拡大や決算の不調で株価が下がりました。2021年2月末頃に一度はその前の水準まで戻ってきたものの、3月後半には下降に転じています。(2021年7月20日時点)
また、2020年6月に株式併合を行っています。

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 短期の資金繰りはひとまずセーフ
  • 自己資本比率は8%
  • 2020年はキャッシュフローが良くない

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるGRPN貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”不安タイプ”に近いです。

流動比率は約100%、当座比率は約96%で、若干低いもののセーフと言える数値です。

ただ、固定比率が約440%と高い上、純資産と固定負債の合計より固定資産の方が少しだけ大きい状態です。
この状態はあまり良くありません。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は8%と低いです。
2020年の赤字額が大きかったため、累積赤字が増加し、自己資本が小さくなっています。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

2020年は売上減少やのれんの減損で赤字額が大きく、営業活動による収支もマイナスでした。
また、投資活動では資産やソフトウェアなどの購入でマイナスが大きく、財務活動では債務による収入でプラスが大きくなっています。

2-1-4. 項目まとめ

短期の資金繰りには問題がなさそうなものの、自己資本が減少している点や固定資産と純資産・固定負債のバランス、キャッシュフローの内容が気になります。
ただ、2017~2019年の過去3年間のフリーキャッシュフローはプラスでした。

2-2. 収益性

  • 2020年はコロナの影響で売上減少・のれん減損発生
  • 赤字の年が多く、黒字でもROE・ROAが低い

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

GRPNのROE(自己資本利益率)推移(2020年)

2018年以降赤字のため、ROEもマイナスです。
特に2020年はコロナ感染拡大による売上減少と、その業績悪化を受けてののれんの減損が発生したため損失額が大きく、この損失による自己資本減少と相まってROEのマイナス値が増加しました。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

GRPNのROA(総資産利益率)推移(2020年)

ROAもROE同様です。
のれんの減損などで総資産も減少し、マイナス値は増加しています。

2-2-3. 項目まとめ

赤字の年が多く、黒字の年もROE・ROAは低いです。
収益性が低い状態が続いています。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率は最低ラインクリア
  • 売上減少が続き、年々回転率低下中

2-3-1. 各回転率

GRPNの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率(2020年)

総資本回転率は1回で、最低ラインをクリアしています。
しかし、売上減少に伴って年々回転率が低下している状況です。

固定資産回転率は約3回です。総資本回転率と同じく低下中です。

棚卸資産回転率については、元々在庫がほぼ要らない事業であること、一部保有していた在庫も削減していることから、非常に高い数値となっています。

2-3-2. 項目まとめ

総資本回転率が1回あるのは良いことですが、年々数値は低下しており、この傾向が続くと1回を切ってしまいます。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上は減少が続く
  • 2020年はコロナで前年比36%の売上減少・営業損失発生

2-4-1. 売上高と営業利益

GRPNの売上高推移(2020年)

年々売上高が減少しており、特に2020年はコロナの影響で前年比36%の減少となりました。

GRPNの営業利益推移(2020年)

2020年は大きな営業損失が発生しました。
これには売上が小さかったこと、業績悪化によるのれんや長期資産の減損が発生したこと、戦略とコスト削減のためのリストラ費用が発生したことが影響しています。

2-4-3. 項目まとめ

2020年は売上減少、損失の増加という厳しい一年でした。
また、その前から売上は減少し続けており、最終的な赤字の年が多い状況です。

グッズ・製品カテゴリからの撤退と、ローカル体験カテゴリへの注力など、方針転換を行おうとしていますが、現時点の数字からは成長性を感じられませんでした。

3. まとめ

クロとしては、グルーポン(GRPN)は一旦様子を見たい銘柄です。

不調が続き一部国・地域からの撤退も起きていた中、コロナによって追い打ちをかけられた状態で、このまま累積赤字が増えていけば資金繰りが厳しくなる可能性もあると考えるからです。

ただ、今後は”体験”の提供に力を入れるとしており、これがコロナ後の人々の”外出したい”という需要とマッチすれば、好転する可能性もあります。

なお、2021年第1Qは、前年同期比で売上が減少していますが、純利益を出しています。
ただこの利益は主に日本事業撤退・清算による為替差益によるもので、事業自体は120万ドルの赤字です。

今回の記事はGroupon, Inc.の決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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