GoPro【GPRO】銘柄分析_アクションカメラの先駆け!

米国株の年次決算書・銘柄分析
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今回はゴープロ(GoPro, Inc. / GPRO)の決算書(10-K)やニュースについて分析しました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

2021年更新版はこちら

1. GoPro, Inc.(GPRO)について

1-1. 業種

電子機器、電子テクノロジー、ソフトウェア、サービス

1-2. 事業の概要

GoProは、コンパクトで頑丈かつ防水性を持ったアクションカメラや、独自のモバイルアプリ・ビデオ編集ソフトウェアを開発・提供する企業です。
また、Xbox LiveやPlayStation Network、そしてYouTubeなどにコンテンツチャンネルを持っており、GoPro製品によって撮影された様々な動画も配信しているメディア企業という側面もあります。各種プラットフォームを合計したフォロワー数は2020年末時点で4,590万人に達しました。

また、無制限のクラウドストレージやカメラの交換・損傷保護、ライブストリーミングへのアクセス、アクセサリの割引などを提供するサブスクリプションサービスもあり、2020年12月末時点の加入者数は76万1,000人です。

他にも、バッグやケースなどのGoProブランド製品を展開しています。

なお一時はドローンも扱っていましたが、現在はドローン事業から撤退しています。

1-3. チャート

GoProの株価チャートはこのようになっています。
IPO初期は100ドル近い株価でしたが、2015年後半に大きく下がり、何年もの間10ドル前後で推移しています。2021年4月頃からは上昇傾向にあります。(2021年4月27日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 貸借バランスは安定タイプ
  • 累積赤字で自己資本比率が下降中
  • キャッシュフローは好転したが売上高減少が響いている

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるGPRO貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスはぎりぎり“安定タイプ”の範囲内です。
(貸借バランスのポイントについては、こちら↓の記事で紹介しています)

2020年の流動比率は約210%、当座比率も約165%です。
2020年は増資によって特に高めの値となっていますが、それ以前も十分な数値があるので、短期の資金繰りは問題ありません。

固定比率は約100%で、こちらも特に問題ありません
(貸借貸借表の各比率については、こちら↓の記事で詳しく紹介しています)

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約30%とあまり高くはありません。
問題があるほど低くはないのですが、じわじわと下がってきているのが気になります。

2-1-3. キャッシュフロー

キャッシュフローは、営業活動プラス、投資活動プラス、財務活動プラスという組み合わせです。

2016年からずっとマイナスだった営業活動を、2020年はプラスで終えました。ただ、この主な要因は売掛金と在庫の減少なので、手放しでは喜べません。
売上高自体も2019年より減少しており、最終的な損失額(赤字)は増加してしまっています。

また、投資活動にはあまり資金を投じておらず、財務活動では転換社債による増資を行っています。

フリーキャッシュフローもマイナス続きでしたが、2020年はプラスに転じました。
(キャッシュフロー計算書の注目ポイントなどを、こちら↓の記事で紹介しています)

2-1-4. 項目まとめ

現時点での貸借対照表の内容は問題ありません。
ただ、累積赤字によって自己資本比率が低下しているのが気になります。

キャッシュフロー面では2020年に好転していますが、その要因は売掛金と在庫の減少です。
在庫は適切に管理されたと取ることもできますが、売上高が約300百万ドル減少していることを考えると、売掛金は売上減の影響で減ってしまったと考えられます。

2-2. 収益性

  • 2016年に赤字へ転落以降ずっと赤字
  • 費用削減によって損失額は減少傾向にあった
  • 2019年に売上高が増加に転じるも2020年に大きく減少
  • 2020年はコロナ感染拡大の影響を受けた

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

GPROのROE(自己資本利益率)推移

赤字が続いており、ROEはずっとマイナスです。
売上高がなかなか増加しない中費用を削減して損失額を減らし、2019年には売上高も増加に転じていましたが、2020年はコロナ感染拡大によって再び売上高が減少し損失額が増加しました。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

GPROのROA(総資産利益率)推移

ROAもROEと同様の動きをしています。

2-2-3. 項目まとめ

純利益は2014年、売上高は2015年がピークで、2016年から赤字に転落しています。2016年からは売上高がじわじわと減少する中、費用を抑えて損失額を減少し、2019年に売上を増加させていました。

しかし、2020年はコロナ感染拡大の影響もあり、売上高の大幅減(前年の約75%の売上)・損失額の増加という結果になっています。

2-3. 経営の効率

  • 回転率の最低ラインはクリアしている
  • 総資産がじわじわ減少しているので回転率は高く出ている
  • 資本の内訳が悪化傾向(長期負債増加・自己資本減少)

2-3-1. 各回転率

GPROの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率

総資本回転率は約1.2回です。最低ラインはクリアしています。

固定資産回転率は約4.2回棚卸資産回転率は約9.1回です。
資産の回転率はそこまで低くありません。

2-3-2. 項目まとめ

売上高が減少している状況ですが、資産が膨らんでいないので回転率は悪くありません
ただ、好調だった2014~2015年頃と比較すると総資産は減少(回転率が高くなる)しています。資本の内訳をみても長期負債が増加し自己資本が減少しているので、財務状態はじわじわと悪化しているようです。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上高は緩やかな減少→2019年増加→2020年減少
  • 損失は減少を続けていたが2020年は増加
  • 売上高研究開発費率は平均の3倍だが、金額は年々減少

2-4-1. 売上高と営業利益

GPROの売上高推移

売上高のピークは2015年で、2016年から2018年にかけては緩やかな減少が続いていました。
2019年に一度増加に転じましたが、2020年にコロナ感染拡大の影響を受けて再び減少しました。(2020年は2019年の約75%の売上)

GPROの営業利益(損失)推移

リストラや直接販売へのシフトといったコスト削減によって費用を抑えており、損失額は減少傾向にありました。2020年も営業費用は減少させられていましたが、売上高の大きな減少によって、損失額は増加しました。
なお、営業損失だけでなく、最終的な純損失額も同様の増減をしています。

2-4-2. 研究開発費

2020年の売上高は約892百万ドル、研究開発費は約124百万ドルだったので、売上高研究開発費率は約14%です。
科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員数を抱えた米国企業の平均は4.4%とされており、平均の約3倍の比率で資金を投じていることがわかります。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

2016年から赤字続きという点では期待よりも不安が大きい結果です。しかし営業費用の削減を継続的に行っており、売上さえ増加できれば黒字決算も可能かもしれません。また、これらの取り組みの成果で、利益率は向上しています。
デジタルカメラ事業だけでなく、サブスクリプションサービスや編集ソフトウェア、メディアでの発展を期待したいところです。

また、売上高研究開発費率は2020年の時点でも高い比率ですが、年々その金額は縮小されてきています。人員削減や株式ベース報酬の減少も行っているので、これらが研究開発に影響を及ぼさないか不安でもあります。

3. まとめ

クロとしては、ゴープロ(GoPro, Inc.)は「現時点ではまだ様子見をしたい」銘柄です。

直近は株価が上昇傾向にありますが、2014~2015年頃の売上を取り戻せずに赤字続きなことや、複数回のリストラで技術開発の遅れが発生していないかがいまだに不安です。
2020年の売上減少にはコロナの感染拡大が影響しているので、この影響が落ち着いた後に再び需要が高まることに期待したいです。

また、直販にシフトしてきているのは良い点ですし、動画編集サービスを行う未公開企業の買収なども行っているので、ソフトウェアやサブスクの大きな発展があれば、再び勢いを取り戻すこともできるかもしれません。

今回の記事はGoPro, Inc.の決算書及びコーポレートサイトなどを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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