フォームファクター【FORM】銘柄分析_半導体のテスト・測定機器を販売

米国株の年次決算書・銘柄分析
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フォームファクター(FormFactor, Inc / FORM)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. FormFactor, Inc(FORM)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、半導体装置、検査・テスト

1-2. 事業の概要

フォームファクターは、ウェーハ(半導体の材料。シリコンを薄い円板に切り出したもので、様々な加工を施された後にチップ状に切り離される)の電気的検査に用いられる”プローブカード”や、それを利用して検査を行う機械などを開発・製造・販売する企業です。
開発や製造テスト等の段階で使用される商品が多くあります。

顧客のウェーハやチップ、要求されるテスト環境に合わせてカスタマイズされたプローブカードの提供が可能で、例えば自動車用のレーダーチップの半導体デバイスを”幅広い温度範囲でテスト”するといったこともできます。

また、プローブステーションと呼ばれる機械には、プローブ、顕微鏡、熱制御システム、ソフトウェアといったアクセサリ一式がラインナップされており、電気的性能や信頼性を正確に測定・評価できるよう設計されています。
製品によっては真空・圧力制御された環境での測定や、極低温、数百度といった環境での測定も可能です。

顧客にはファウンドリー&ロジック、DRAM、フラッシュ、ディスプレイ、センサーといったの市場の半導体関連メーカー・企業、大学などが挙げられます。
幅広い顧客を抱えている一方で一部の企業の売上割合が大きく、各四半期において売上の10%以上を占める企業が1社~数社あります。
特に割合が大きいのはインテルで、2019年~2020年の2年間のすべての四半期で、各期の売上の21~36%を占めました。
また、サムスンやマイクロン・テクノロジの売上も大きく、同様の2年間のうち、それぞれサムスンは5期(5回の四半期)、マイクロン・テクノロジは3期で10%以上を構成しています。

1-3. チャート

フォームファクターの株価チャートはこのようになっています。コロナ感染拡大による2020年2月頃の下落移行は大きな波がありつつも上昇傾向でしたが、2021年に入って値上がりが止まり、第1Q決算発表を皮切りに急落しました。
現在はじわじわと再び上昇してきています。(2021年10月1日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は高い
  • キャッシュフローも問題なし

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるFORM貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

流動比率は約320%、当座比率も約240%で、短期の資金繰りに問題はありません。
固定比率も約64%と問題のない数値です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は77%と高いです。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスという”安定タイプ”の組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

事業が黒字であることと、減価償却や株式報酬の戻入れなど現金支出を伴わない費用の調整(実際は現金が減っていないので加算される)が大きいことによって、営業活動はプラス収支です。

投資活動では、資産の購入、事業の買収、有価証券の購入といった大きな支出が有価証券の満期による収入を上回り、マイナス収支となっています。
また、財務活動では毎年株式の発行(従業員への株式報酬などによる)やローンからの収入がありますが、ローンの支払いの方が大きく差し引きするとマイナス収支です。

2-1-4. 項目まとめ

財務面では安定している内容です。
気になる点を挙げるとすればローンの支払いが毎年かなり大きいことですが、資金繰りは問題なさそうです。

2-2. 収益性

  • ROAは米国平均程度
  • 資産・純利益共におおむね増加傾向

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

FORMのROE(自己資本利益率)推移_2020

自己資本も年々増えていますが、ROEの上下には純利益の増減が反映されています。
なお2018年の純利益の大きさは、法人税の調整(2018年はプラスだった)によるものです。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

FORMのROA(総資産利益率)推移_2020

ROAもROE同様に上下しています。

自己資本比率が高いこともあってROEは米国平均に届いていませんが、2020年のROAは米国平均と同程度の数値です。

2-2-3. 項目まとめ

資産が増加していますが、純利益もおおむね増加傾向にあります。
ROAの数値から収益性は米国平均程度はあると言えるでしょう。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率は少々低め
  • 棚卸資産回転率は製造業の平均と同等か若干低い程度

2-3-1. 各回転率

FORMの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2020

総資本回転率は0.7回と少々低めです。
また、ここ数年での売上の増加よりも総資本の増加の方が大きく、総資本回転率は若干低下しています。

棚卸資産回転率については、製造業の平均もしくは平均より若干低い数値です。

2-3-2. 項目まとめ

回転率は少々物足りない数値ですが、ギリギリ許容範囲と言えそうです。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上は、上げ幅は大きくないものの増加傾向
  • 営業利益も増加傾向
  • 売上高研究開発費率は平均の約2.5倍

2-4-1. 売上高と営業利益

FORMの売上高推移_2020

売上高は2018年にいったん減少したものの、その後再び増加に転じています。
2018年のこの売上減少は、製造技術の移行の遅れによって主要な顧客1社からの需要が減少したためです。

また、2020年の売上増加(前年比約18%増加)には、5G対応デバイスや在宅勤務の需要が強まったことなどが影響しています。

売上の地域別内訳を見ると、2020年度はアメリカの比率(前年の26%から18%へ)、韓国の比率(20%から13%へ)が減少し、中国(18%から25%へ)、台湾(15%から22%へ)の比率が増加しています。

FORMの営業利益(損失)推移_2020

2020年は営業利益が前年比69%と大きく増加しました。
この伸びは主に、売上の大半を占めるプローブカード販売の粗利率上昇、営業費用以上の売上の増加によるものです。

なお、2020年の売上高営業利益率は12%で、前年の8.4%から上昇しています。

2-4-2. 研究開発費

2020年の売上高は約693.62百万ドル、研究開発費は約89.03百万ドルだったので、売上高研究開発費率は12.8%で、平均の約2.5倍です。(科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は5.2%とされている)

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

2020年は売上だけでなく事業からの利益である営業利益が増加し、比較的好調です。
売上高営業利益率12%は特別良い数値ではないものの、2018年から2年連続上昇となりました。
ただ、2021年上半期(記事作成時点の最新決算は第2Q)では11.5%と若干低下しています。

なお、大きな伸びはないものの、2021年上半期も売上高、営業利益自体は増加しています。(前年同期比、売上17.6%、営業利益5%の増加)

3. まとめ

クロとしては、フォームファクター(FormFactor, Inc)は少量の保有を検討したいと思います。

2017年から黒字を継続し、売上と利益を少しずつ増加させ、累積赤字も段々と減ってきている企業です。
飛躍的な成長には期待しづらいですが、半導体需要が強い間はコツコツと売上を伸ばしていけるのではないかと考えています。

ただ、売上の比率が増えてきている中国、台湾(2021年上半期では中国20%、台湾26%※記事作成時点の最新決算は第2Q)の情勢に少々不安があるので、もう少し慎重に購入を検討します。
また、売上の10%以上を占めるような顧客もいる(特定の顧客の売上への依存度が高い)という点もリスクの一つです。

今回の記事はFormFactor, Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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