なぜ株価暴落?FOMC12月議事録で明らかになった方針

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2022年1月5日、株式市場は非常に厳しい相場となりました。
ダウ指数は1.07%、S&P500指数は1.94%、グロース銘柄の多いナスダック指数にいたっては3.34%と大幅な下落を見せています。

今回は、その引き金となった12月のFOMC議事録のポイントをまとめていきます。

  • テーパリング加速(発表済)
  • 政策金利引き上げ条件の最大雇用は比較的目前
    →利上げ前倒しが更に濃厚に
  • バランスシート縮小は前回より速いペースで

1. 暴落の2つの要因

テーパリング加速は既に声明で発表済みですが、以下の2点(特にバランスシート縮小)についての議論が予想以上に積極的に行われていたこと、そして多くの議員の見方がタカ派(強硬姿勢。利上げやバランスシート縮小などのインフレを抑える施策に積極的)寄りだと受け止められたことで、株式市場は大きく下落しました。

テーパリングについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

1-1. 政策金利引き上げ前倒しが濃厚

先日発表された声明で”2022年内に0.25%ずつ3回引き上げる”ことを示唆していましたが、”最大雇用の達成を実現してからの利上げ”という条件付きの文言となっていました。

しかし今回の議事録の内容を見ると「このままいけば最大雇用は比較的早く達成するだろう」という見方をする委員が多く、中には「既に最大雇用がほぼ達成されている」とする意見もありました。

また「インフレが更に進んだ場合などは、最大雇用の達成を待たずに利上げを行うか」という議論も見受けられます。

こういった見方が維持されるのであれば、政策金利(FF金利。短期金利)引き上げはより前倒しされる可能性が高いです。

1-2. バランスシート縮小も予想より早い

この議論が、今回の株価暴落の最も大きな要因です。

1-2-1. バランスシート縮小とは

バランスシート縮小とは、量的緩和によって膨れ上がった債券等の資産(財務状態・バランスシート)を、通常の状態・量へ戻すために縮小していくことです。
直接売却(ただし金融市場に影響を及ぼす危険がある)、満期が到来した債券の再投資を縮小といった方法があります。

1-2-2. 議論内容

多くの参加者が「1回目の利上げ後にバランスシート縮小を開始するのが適切ではないか」という見方を示しました。
併せて「前回よりも速いペースが適切」という発言も出ています。

前回というのはリーマンショック後の金融正常化施策(テーパリング、政策金利引き上げ、バランスシート縮小)を指しています。
この時は2013年にテーパリング示唆(ただしこれは予期しないものだったとされる)、2014年にテーパリング実施、2015年後半から政策金利引き上げ開始と、かなりゆっくりとしたペースで施策が行われました。

更にバランスシート縮小が開始されたのは2017年10月と、政策金利引き上げが始まってから実に2年近く後になっています。

しかし今回は、前回のペースが全く参考にならないほど急ピッチで施策が進められているのです。

また、このバランスシート縮小について、一部の委員からは”国債よりも住宅ローン担保証券を優先的に削減する”という選択肢への言及もありました。
住宅バブルではないかと言われている状況なので、市場はもちろん、今後の施策にも、この発言がどう影響してくるのか注視しておきたいです。

2. まとめ

テーパリング加速によって3月には資産購入が完了するという点は既に織り込まれていましたが、今回の議事録発表によって”政策金利引き上げは予想以上に目前に迫っている”点や”バランスシート縮小はそう先の話ではない”点が新たに示されました。

いずれ市場もこれらの情報を織り込んでいくはずですが、グロース銘柄には厳しい相場となりそうです。

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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