3月15日~16日に実施されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)の声明が発表されました。
政策金利の引き上げ実施が決定され、更に年内のFOMC残り全て(残6回)で利上げが行われる可能性が高いことが示唆されています。
今回はFOMCから出された声明の内容を、米国の経済指標と併せてまとめていきます。
1. CPIと雇用統計
直近の米国CPI(消費者物価指数)、雇用統計は3月に発表された2月の実績数値です。
- CPI 予想通り7.9%
…前回から0.4ポイント上昇 - 雇用統計(非農業部門雇用者数) 予想40万人/結果67.8万人
…前回から21.1万人増加 - 雇用統計(失業率) 予想3.9%/結果3.8%
…前回から0.2ポイント低下
インフレが進んでいること、また、多少の上下はありつつも雇用が増えていることがわかります。
金融引き締めを行う土台としては十分だと言えそうです。
ちなみに次回の雇用統計の発表は4月1日、CPI発表は4月12日の予定です。
2. FOMC声明で発表されたこと
2-1. 政策金利引き上げ(利上げ)
政策金利(FF金利)の0.25ポイントの引き上げが決定(政策金利は0.25%を目指すことになる)しました。
今回の利上げは2018年以来の実施となりますが、以前から3月のFOMCで利上げがあることは確定的と見られており、パウエル議長が事前に米国下院金融委員会で”0.25ポイントの引き上げ”を検討していると具体的に話していたため、今回の決定は市場に既に織り込まれていました。
なお、初回の引き上げ幅が0.25ポイントなのか、0.5ポイントなのかという議論の発端ともなったセントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は、今回の議論でも0.5ポイントの引き上げを主張していたようです。
2-2. 政策金利の長期的見通し
FOMCメンバーによる金利予測では、2022年末の政策金利が1.9%とされています。
今回引き上げられた0.25%を引いた、残りの1.65%分を0.25ポイントずつ引き上げようとすると、7回の引き上げが必要になる計算になります。(1.65÷0.25=6.6となる)
2022年内のFOMCは残り6回しかないため、年内全てのFOMCで利上げが実施される可能性が高く、更にどこかで0.5ポイント近い引き上げが行われることも考えられます。
なお、2023年には2.8%への上昇が予想されています。
こちらも約0.25ポイントずつの利上げを行った場合、3~4回は利上げが行われる見通しです。
2-3. バランスシート縮小(QT)
バランスシート・資産縮小(QT)に関しては、”5月に開始する可能性がある”(次回FOMCは5月に実施)という点以外は示されませんでした。
ひとまずは5月のFOMCまで議論が先送りされたようですが、今後発表される議事録の内容には気を付けておきたいです。
なお、議事録の発表は4月6日の予定です。
3. まとめ・指標発表日程
今回のFOMCの声明内容は概ね市場の予想通りだったので、株価は上げ基調となりました。
ただ、2022年の政策金利引き上げ回数は7回となる可能性が高く、大幅な利上げが実施されようとしています。
バランスシート縮小議論と併せて注意しておきたいところです。
また、株価に影響を及ぼす可能性のある主な指標の直近の発表日としては、雇用統計発表が4月1日、3月のFOMC議事録発表が4月6日、CPI発表が4月12日、次回FOMCが5月3日~4日となっているので、注意が必要です。
なお、その先のFOMCの日程はこちらでまとめています。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
コメント