金融所得課税の見直し_引き上げを検討

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昨日総裁選が行われ、岸田氏が自民党総裁となりました。
そこで改めて注目されているのが金融所得課税の見直し施策についてです。
今回は、この課税制度と議論の概要をわかりやすくまとめました。

  • 金融所得課税は株式投資や配当金にかかる税金
  • 現行制度は逆進性が大きく不公平だとされている
  • 株式市場に警戒感が広まる
  • どのような形式での引き上げとするかはまだ不明

それでは詳しく見ていきましょう。

1. 金融所得課税とは

1-1. 概要

金融所得課税とは、株式投資(正確には株式譲渡益。キャピタルゲインとも呼ばれる)や配当金などの金融商品から得られる所得に対して課される税金です。

現在(記事作成時点)の金融所得課税は、課税対象となる収入が増えると税率も増える”累進課税”制度ではなく、一律で20%となっています。

1-2. 1億円の壁と公平性の議論

金融所得課税は”富裕層に有利”だという意見が根強く、その公平性が度々議論されてきました。

累進課税制度を取っている所得税であれば、年間所得(事業所得や給与所得などによる所得)によって税率が5%(年間所得が195万円以下の場合)~55%(年間所得が4,000万円を超える場合)と変動します。つまり、高所得者ほど税率も高くなるのです。

しかし現行の金融所得課税は、どれだけ所得を得ていようと一律20%です。
また、年間所得が大きい人ほど金融所得も大きい場合が多く、年間所得が1億円を超えるような人はむしろ所得全体に対する税率が下がると言われています。
これが今回岸田氏が「打破」を掲げる「1億円の壁」です。

2. 見直しに関する意見

2-1. 推進

前述した1億円の壁の話のような不公平をなくし、公正に課税するという目的があるとされています。
生活に余裕のある(所得に占める生活費の負担割合が小さい)高所得者に対しての増税であれば”逆進性が小さい”と考えられるからです。

逆進性とは累進性の反対の意味を表し、所得の少ない人ほど負担が大きく、所得の多い人ほど負担が小さくなる性質・状況のことを言います。

これによって得た税収入を他の政策と組み合わせることで所得の再分配が可能となり、収入格差が是正されるという意見が、金融所得課税引き上げを進める主な理由です。

2-2. 反対

金融市場の冷え込みを懸念する意見や、投資家には高所得者ではない人々も多いとして公平性に疑問を呈する意見があります。
実際、日本証券業協会が2020年10月21日に発表した「個人投資家の証券投資に関する意識調査」※1では、年収1,000万円以上(選択肢の中で最も高年収)と回答したのは5.8%でした。

また、一部の投資利益を非課税とするNISAなどを展開し、投資や資産形成を推進してきたこれまでの施策と矛盾しているという指摘も出てきています。

※1 日本証券業協会ホームページより

3. まとめ

複数の総裁選候補が見直しの方針を示していた金融所得課税ですが、いよいよ議論が動き始めました。
現段階ではどのような形式(一律引き上げなのか、金融所得額によるのか、など)での引き上げを考えているかがわかりませんが、株式市場への影響は避けられないでしょう。

報道は以前からされていたのですぐに下落が起きるわけではないと考えますが、この見直し案が通れば、日本株などを中心として一時的に市場が動揺する可能性は高いので、今後も注視しておきたい議論です。

記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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