先日発表されたフューエルセル・エナジー(FuelCell Energy, Inc. / FCEL)の1月締め四半期決算(2022年度第1Q)について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。
■フューエルセル・エナジーの事業内容や年度末決算、銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
今四半期は売上がアナリスト予想をクリアしたものの、EPSは予想値を大きく下回っています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
今四半期の売上は前年同期比114%の増加となっています。
サービス売上、アドバンスドテクノロジー事業(先端技術事業)からの収益は減少していますが、発電収入が増加し、更に前年同期にはゼロだった製品売上が今四半期は18百万ドル発生しました。
この製品売上は韓国のPOSCO Energy社との和解に伴うもので、POSCO Energyの子会社へ6台の製品を納入することができました。
同社とのトラブルによってアジア市場へのアクセスが難しくなっていましたが、今後は改善されそうです。
また、追加で8台のモジュールを今年度中に生産する予定であるとしています。
なお、サービス売上が減少した主な理由は新しいモジュール交換がなかったことです。
また、事業別に見ると、アドバンスドテクノロジー事業以外は全て売上以上の原価が発生しており、赤字の状態となっています。
全体的な損失額の比較では、営業損失が前年同期比212%増加、純損失(非支配持分を除く)が12%減少となりました。
この営業損失の増加は、原価が大きくなったことと、管理費・販売費が急増したこと(POSCO Energyとの問題解決のため、弁護士費用などが発生し、前年同期比約4倍となった)が主な要因です。
また、研究開発費も前年同期比173%増加しています。
研究開発費や設備投資に多くの資金を投じることを前回の決算で発表しているので、この点は今後も増えていくと思われます。
ちなみに2021年度第1Qの純損失が大きかったことには、事業外の損失・費用が影響しています。
3. その他の補足
3-1. バックログ
2022年度第1Q終了時点のフューエルセルのバックログ総額は1,307百万ドルで、前年同期比約3%の増加です。
内訳を見ると、発電事業が増加した一方で、サービス、ライセンス、アドバンスドテクノロジー事業は減少しています。
また、前年同期はゼロだった製品に関するバックログが、今四半期末には60百万ドルありました。
バックログの総額が増えたことは良いのですが、発電事業のバックログが実際に売上として認識されるには年単位での長い時間がかかるため、少々気になる点でもあります。
4. まとめ
フューエルセル・エナジー(FCEL)の2022年度第1Qは、相変わらず大きな赤字となっていますが、製品販売による売上が発生しました。
POSCO Energy社と和解し、アジア市場へアクセスできるようになったことは大きな一歩になりそうです。
PPAへの方針転換もあって、長らく製品売上がゼロという状態が続いていましたが、これを機に売上は増加していくかもしれません。
ただ、今後目途が立っている製品売上としては今のところ8台しかないので、その点は注意しておきたいです。
(フューエルセル・エナジーの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事はFuelCell Energy, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
過去の分析記事はこちらに一覧化しています。
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