2021年10月四半期決算【FCEL】フューエルセル・エナジー

米国株の四半期決算
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先日発表されたフューエルセル・エナジー(FuelCell Energy, Inc. / FCEL)の10月締め四半期決算(2021年第4Q)について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。

フューエルセル・エナジーの事業内容や年度末決算、銘柄分析を行った記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較

今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を下回っています。

FCELのEPS・売上_アナリスト予想と実績比較_2110

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

今期(2021年第4Q)は、前年同期の売上を18%下回りました。
また、前期の約半分程度の売上しか計上できていません。

売上の内訳を見ると、製品売上はゼロで変わりなく、サービス&ライセンスカテゴリの売上がマイナス13万ドルとなっています。
これはモジュール交換が無かったことと、見積もられていたコストが収益を上回ったことによるものだとしています。
ちなみに前期はモジュール交換が多く発生し、このサービス&ライセンスカテゴリの売上は約5.4百万ドルと大きくありました。

一方、発電、アドバンスドテクノロジー(先進技術)カテゴリの売上・収益は前年同期比でそれぞれ31%、14%増加しています。

ただ、カテゴリ(事業)別に見ると黒字となっているのはアドバンスドテクノロジー事業のみで、他は全て原価が売上を上回っています。
このアドバンスドテクノロジー事業には、顧客や政府の後援・共同開発契約による収益などが分類されます。

また、研究開発費なども前年同期より増加している他、トヨタプロジェクトの問題発生(安価な再生可能天然ガスの供給懸念)などで減損費用も発生しました。

ちなみに、2021年第1Q(1月締め四半期)の損失額が非常に大きくなっているのには、債務の期限前返済によるペナルティや、行使されたワラントの価値調整費用の発生も大きく影響しています。

3. その他の補足

3-1. バックログ

第4Q終了時点のフューエルセルのバックログ総額は前年同期とほぼ変わりませんが、内訳を見るとより発電事業への偏りが大きくなっています。

製品バックログはなく(前年同期も同様)、サービス&ライセンス事業が14%減、共同開発契約や政府プロジェクトが含まれるアドバンスドテクノロジー事業は17%減となっています。

発電事業は3%増加して約11億ドルありますが(前年同期は10億6,700万ドル)、このバックログが完遂されるには時間がかかることが予想されます。

なお、バックログの総額は約12億8,800万ドルです。

3-2. POSCO Energy社との和解

訴訟合戦のような状態に陥っていた韓国のPOSCO Energy社との和解が成立したと発表されました。
これによって、これまでアクセスが難しかったアジア市場へ再び手を伸ばしていくことが可能になると考えられます。

3-3. 2022年の取り組みについて

事業戦略の進展に伴うものとして、”売上、調整後EBITDAなどの短期指標ではなく、長期的な成長を見据えた設備投資に注力することを決定した”と発表がありました。

2021年には640万ドル程度だった設備投資額ですが、2022年には4,000万~5,000万ドルを見込んでいます。

また、研究開発費も2021年の1,130万ドルから4,500万~5,500万ドルに増加すると予測されます。
この研究開発活動では、分散型水素、水素を利用したエネルギー貯蔵などの先端技術の商業化加速を狙うとしています。

4. まとめ

フューエルセル・エナジー(FCEL)の2021年第4Qは、数字を見ると決して良い内容とは言えません。
そして更に来年度(10月締め)は研究開発・設備投資の費用が増加する見込みであることが発表されました。

長期的な視点で事業を行っているという点は周知の事実ではありましたが、利益を生み出せるようになるにはまだまだ先が長そうです。

また、唯一黒字となっているアドバンスドテクノロジー事業のバックログが減少した点も気になります。

良い点としては、POSCO Energy社との訴訟が解決したことが挙げられます。
これでアジア市場への道が開けたと考えられるので、今後の動向は注視しておきたいところです。

(フューエルセル・エナジーの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のFuelCell Energy, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

過去の分析記事はこちらに一覧化しています。

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