2021年7月四半期決算【FCEL】フューエルセル・エナジー

米国株の四半期決算
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フューエルセル・エナジー(FuelCell Energy, Inc. / FCEL)の7月締め四半期決算(2021年第3Q)について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。

フューエルセル・エナジーの事業内容や年度末決算、銘柄分析を行った記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較

アナリスト予想を下回る期が続いていましたが、2021年第3Qは赤字ながら予想を上回っています。

FCELのEPS_アナリスト予想と実績比較

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

2021年度(10月締め)に入ってから、前年同期を下回る売上が続いていましたが、今回の第3Qでは、前年同期比43%の売上増加となりました。
同様に、前年同期よりも増えていた純損失額が、今期は前年同期比で22%減少しています。

売上の内訳を見ると、2020年に引き続き、製品売上はありません。
しかし、固定費用が吸収できないくらいのごく少量の生産は行われているようです。
売上はゼロですが、約200万ドルの原価費用は発生しています。

第3Qの売上を牽引したのは、前年同期比102%の成長を見せた”サービスとライセンス”による収入です。
ただ、伸び率は大きいのですが、この売上増加の要因は主に今期の新規モジュール交換が多かったことです。
こういった点検・交換が今後も継続的に増加していくのかという点には、少々疑問を持っています。
実際、前期である2021年第2Qはモジュール交換が1件もなく、同収入は約22分の1しかなかったため、今期はその分の交換がまとめて行われた可能性もあります。

他にはPPAなどによる発電売上が増加していますが、この事業は未だに赤字です。
ただ、前年同期と比較すると、売上の増加や減価償却費の減少で赤字の割合は小さくなっているため、今後の成長に期待したい部分です。

また、研究開発費なども前年同期より増加しています。

ちなみに、2021年第1Q(1月締め四半期)の損失額が非常に大きくなっていますが、これには債務の期限前返済によるペナルティや、行使されたワラントの価値調整費用の発生も大きく影響しています。

3. その他の補足

3-1. バックログ

フューエルセルのバックログは、前年同期と比較すると減少しています。

製品バックログはなく(ただ、これは前年同期も同様)、サービスとライセンスは15%減、共同開発契約や政府プロジェクトが含まれる先進技術セグメントは23%減となっています。

発電事業に関しては前年同期と変わらず11億ドルありますが、これは発電量に依存するところが大きく、この11億ドルが実際に売上として認識されるのに何年かかるかわかりません。

4. まとめ

フューエルセル・エナジー(FuelCell Energy, Inc.)の2021年第3Qは、一見すると売上増、赤字削減と非常に良い結果に見えます。

しかし、内訳を見てみると”モジュール交換”の増加が売上の増加を牽引しており、この売上が今後も継続的に増加していくのかはわかりません。
ちょうど前期の交換がゼロだったというのも気になる点です。

また、事業戦略の影響もあるのでしょうが、製品のバックログがなく、安定して粗利の出ている先進技術セグメントのバックログが減少している点も少々不安です。

好調にも見える今回の四半期決算ですが、クロとしてはまだ様子を見たい銘柄です。
なお、累積赤字は12.4億ドルとなりました。

ちなみにPOSCO Energy社との問題も解決はしていないようです。

(フューエルセル・エナジーの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のFuelCell Energy, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

過去の分析記事はこちらに一覧化しています。

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